俺「このクルマいいなあ。払っていけそうなら、これに決めようかな」
(半年後)
俺「そんなこと言ってられないや。母さん歩けなくなったし、送り迎えは俺のクルマでしなきゃ」
(ショールーム前を通りかかる)
天の声「諦めなくていいんです!」
俺「そうなの⁉」
運営者が言っちゃいけないけど・・・福祉車両はダサい!!
好きな車で家族の介護しませんか?
このシリーズでは、SUVと福祉車両の両立を目指します。
第1回は全体像。
そのあとは、機能別に見ていきます。
第2回 メーカー純正の福祉車両があるSUV
第3回 回転シート・リフトアップシートに改造できるSUV
第4回 ハードル高め⁉ 車いすのまま乗降できるSUV
(自操用とSUVはまた別に特集します)
SUVを福祉車両にする方法は、大きく3つ
SUVを介護に使うには、どんな装備が必要なのでしょうか。
大きく分けると、次の3つの方法があります。
| 方法 | 主な装備 |
|---|---|
| ① メーカー純正の福祉車両を選ぶ | 回転・昇降シートなど |
| ② 好きなSUVを福祉車両に改造する | 回転シート、リフトアップシート、補助ステップなど |
| ③ 車いすのまま乗車できるようにする | スロープ、リフト、床下げ、車いす固定装置など |
①と②は、基本的に車の座席に座って乗車する方法です。
③は車いすから座席に乗り移らず、そのまま乗車する方法。SUVでは車体構造に関わる大がかりな改造が必要になる場合があります。
それぞれ具体的な車種を見ていきましょう。
① メーカー純正の福祉車両があるSUV
まずは、最初から福祉装備が組み込まれたSUVです。
ミニバンや軽自動車に比べると種類は少ないものの、SUVにもメーカー純正の福祉車両が存在します。
マツダ CX-5|助手席リフトアップシート車
CX-5には、助手席が電動で回転し、車外へ下降する「助手席リフトアップシート車」が設定されていました。
従来型の仕様では、助手席の座面を地上約47.5cmまで下げることができます。
SUVの高い座席まで身体を持ち上げなくても、車外でシートに座ってから車内へ移動できる仕組みです。
ただし、2026年5月にCX-5はフルモデルチェンジしています。紹介している福祉仕様は従来型のもので、新型への設定や販売状況は別途確認が必要です。
日産 エクストレイル|助手席スライドアップシート
日産も、先代エクストレイル(T32型)に福祉車両を設定していました。
助手席が電動で回転・昇降する「助手席スライドアップシート」です。
シートのスライドやリクライニングもリモコンで操作できる仕様でした。
現行型とは異なるため、これから探すなら中古車が中心になります。
スバル フォレスター|トランスケア・ウイングシート
スバルにも、フォレスターをベースとした福祉車両がありました。
「トランスケア・ウイングシート リフトタイプ」は、助手席を電動で回転・昇降させる仕様です。
2001年発売のモデルなどで採用され、後の世代にも設定されました。
現在のフォレスターには同仕様の純正設定は確認できませんが、中古車なら探す価値のある一台です。
第2回では、メーカー純正の福祉仕様が存在したSUVを取り上げ、新車・中古車の状況や装備を詳しく紹介します。
② 回転シートやリフトアップシートに改造できるSUV
ここからが、車種選びの幅が広がるところです。
メーカーに福祉仕様が用意されていなくても、専門業者に依頼してSUVを改造する方法があります。
回転シートとリフトアップシートの違い
回転シート
助手席などをドアの方向へ回転させる装置です。足を車内へ入れる動作が楽になります。
ただし、シートの高さは基本的に大きく変わらないため、座面の高いSUVでは乗り移りにくい場合があります。
回転昇降シート(リフトアップシート)
シートが回転するだけでなく、車外へせり出して下降します。
車いすからの乗り移りや、足腰の弱い人の乗降を補助する装備です。
スウェーデンのBraunAbility(ブラウンアビリティ)社が製造する「Turny Evo(ターニーエヴォ)」などの後付け装置が使われています。
実際に福祉車両へ改造されたSUV
国内の福祉車両改造専門業者が公開している施工事例には、次のような車種があります。
| メーカー | SUV車種 | 改造内容 |
|---|---|---|
| トヨタ | ハリアー | 助手席回転昇降シート |
| トヨタ | FJクルーザー | 助手席回転昇降シート |
| トヨタ | ランドクルーザー | 助手席回転昇降シート |
| スバル | フォレスター | 助手席回転昇降シート |
| スバル | アウトバック | 助手席回転シート |
| 日産 | ジューク | 助手席回転昇降シート |
| BMW | X1 | 助手席回転シート |
| ポルシェ | カイエン | 助手席回転昇降シート |
国産SUVだけでなく、輸入SUVでも施工例があるのは注目したいところです。
例えばポルシェ・カイエンの施工例では、地上約79cmだった座面を、昇降装置によって約46cmまで下げています。
トヨタのFJクルーザーには、回転昇降シートと車いす収納装置を組み合わせた施工例もあります。
また、SUVの乗降を補助する装備はシートだけではありません。
マツダCX-80には、ドアの開閉に連動して展開・収納する電動補助ステップの施工例があります。
後部座席をリフトアップシートにできる?
助手席ではなく、後部座席に座ってもらいたい場合もあります。
ミニバンでは、2列目シートが回転・昇降する「サイドリフトアップシート」が採用されています。
SUVでも同様の装備を取り付けられないか、検討する余地はあります。
ただし、SUVの後部ドアは一般的にヒンジ式で、スライドドアのミニバンとは開口部やシート周辺の構造が異なります。
助手席への装着実績がある車種でも、後席への装着が可能とは限りません。
第3回では、国産・輸入SUVの回転シートやリフトアップシートの施工例を紹介します。後部座席への装着や、車いす収納装置についても詳しく見ていきます。
※改造の可否は車種だけでなく、年式・型式・グレード・装備によって変わります。上記は施工実績のある車種であり、すべてのモデルへの取り付けを保証するものではありません。
③ 車いすのまま乗降できるSUVはある?
最後は、最も難易度の高い改造です。
車いすに座ったままSUVへ乗り込み、そのまま車内で乗車する方法です。
一般的な国産SUVでは、車いすに乗ったまま乗車できるメーカー純正仕様はほとんど見当たりません。
しかし、海外には実際に商品化されたSUVがあります。
シボレー・トラバース|車いすのまま乗れるSUV
アメリカのシボレー・トラバースには、BraunAbility社による車いす対応仕様があります。
主な装備は次のとおりです。
- 助手席側から乗り込む電動スロープ
- 車内床面を低くするフロアローダウン
- 車体を下げてスロープの傾斜を緩やかにするニーリング
- 車いす固定装置と乗員用の拘束装置
車いす利用者が運転席や助手席の位置に乗車できる構成も用意されています。
フォード・エクスプローラー|過去にも改造実績
同じくアメリカでは、フォード・エクスプローラーをベースにした車いす対応SUVも製造されていました。
こちらも床下げと側面スロープを組み合わせたタイプです。
現在の新車向け商品ではありませんが、SUVを車いす乗車仕様へ改造した実例として参考になります。
SUVの荷室から車いすで乗り込めないのか?
SUVの後部ハッチは大きく開き、荷室も広い車種があります。
そこで考えられるのが、荷室側にスロープや昇降リフトを設置する方法です。
ただし、確認しなければならない点があります。
① 荷室の床が高い
一般的なSUVは最低地上高が高く、荷室の床面も高めです。
スロープを設置すると傾斜が急になりやすく、十分な長さを確保する必要があります。
② 車内の高さが足りない
車いす利用者が座った状態で乗車するためには、床面から天井までの高さが必要です。
荷室が広くても、頭上の空間が不足する場合があります。
③ 車いすを安全に固定する必要がある
車いすを載せるだけでは、乗車用の福祉車両にはなりません。
車いす固定装置と、乗員を保護するシートベルトなどが必要です。
④ 床下げができるとは限らない
SUVには燃料タンク、排気系、駆動系、バッテリーなどが床下に配置されています。
車体を下げたり床を作り替えたりする改造は、これらの配置によって大きく制限されます。
シボレー・トラバースの車いす対応仕様でも、床下げと後輪駆動系が干渉するため、AWDには対応していません。
つまり、ニーリングだけで解決するわけではないのです。
第4回では、国内の人気SUVを中心に、スロープ・昇降リフト・ニーリング・床下げによって、車いすのまま乗車できる可能性を探ります。
海外の完成車両も紹介しながら、日本での改造や車両登録の問題まで調べます。
注目の新型SUV「日産エクステラ」はどうなる?
SUVの話題として、もう一台紹介しておきたいのが日産エクステラ(Nissan Xterra)です。
エクステラは、かつて北米などで販売されていた本格派SUV。
日産はその復活を正式に予告しています。
米国日産の発表によると、新型エクステラは2028年後半の発売を目標としており、V6エンジンまたはV6ハイブリッドを搭載する新しいフレーム構造のSUVとなる予定です。
ただし、2026年10月時点では福祉車両仕様の設定は発表されていません。
回転昇降シートの装着や車いす乗車への改造についても、現段階では判断できません。
新型の詳細が明らかになれば、福祉車両への対応という点でも確認したい車種です。
SUVを福祉車両にする前に確認したいこと
気になるSUVが見つかったら、購入前に次の点を確認しておきましょう。
- 回転シートや昇降シートを取り付けられる車種・年式なのか
- 乗車する人に合わせて座面の高さを調整できるか
- ドアの開口部に十分な余裕があるか
- 使用する車いすを荷室に収納できるか
- 車いす収納リフトなどの補助装置も取り付けられるか
- 改造費用や車検・登録への対応はどうなるか
特に、車いすを使用する場合は、乗車する人の身体寸法だけでなく、車いすの全幅・全高・重量・折りたたみ寸法なども必要です。
また、車いすに座ったまま乗車する場合は、乗車位置と固定方法を含めて専門業者に確認する必要があります。
できれば車を購入する前に、福祉車両の改造業者へ相談するのがおすすめです。
次回は、メーカー純正の福祉車両があるSUV
第2回では、マツダCX-5、日産エクストレイル、スバル・フォレスターなど、メーカー純正の福祉車両が設定されていたSUVを詳しく紹介します。
装備の特徴や、新車・中古車での入手方法も調べます。
第2回「メーカー純正の福祉車両があるSUV」へ続く。
参考資料・車両情報
- マツダ CX-5 助手席リフトアップシート車
- 日産 エクストレイル 助手席スライドアップシート(メーカー資料)
- スバル フォレスター ウイングシート(メーカー発表資料)
- オフィス清水 福祉車両改造事例
- BraunAbility シボレー・トラバース車いす対応SUV(英語)
- 米国日産 新型エクステラ発表情報(英語)
※車種・装備・販売状況は2026年10月時点で確認できた情報を基にしています。改造の適合や購入の可否は販売店・施工業者にご確認ください。

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