シリーズ第3回は、後付け改造で、回転シートやリフトアップシートを取り付けた事例の紹介です。
改造してくれる業者さんに頼んで、自分の好きなSUVを福祉車両に変えてもらいましょう!
ただし、なんの制約もなければいいのですが、できる改造とできない改造があります。
ステップや手すりを取り付けないと乗降が難しくなる場合もあります。
SUVの福祉車両改造には、どんな装置がある?
まずは、SUVに後付けできる代表的な乗降補助装置を紹介します。
① 回転シート
助手席などのシートを車外へ向けて回転させる装置です。
普通のシートでは、ドアを開けて身体を横向きにし、足を車内へ入れながら座らなければなりません。
回転シートなら、車外を向いたシートに腰を下ろしてから、身体ごと車内へ回転できます。
代表的なのが、スウェーデンのBraunAbility(ブラウンアビリティ)社が製造する「Turnout(ターンアウト)」です。
手動タイプと電動タイプが用意されています。
ただし、基本的に座面は下降しません。
SUVは座席が高いので、車外へ回転した状態でもシートに座るのが難しい場合があります。
② 回転昇降シート(リフトアップシート)
回転シートに昇降機能を加えた装置です。
シートが電動で回転し、ドアの外へ移動した後、乗り移りやすい高さまで下降します。
代表的な製品は「Turny Evo(ターニーエヴォ)」。
車種に合わせてシートの移動軌道や下降位置を設定できます。
背の高いSUVやRVにも取り付けられる製品ですが、すべての車種に対応するわけではありません。
なお、後付けの回転昇降シートは、純正シートをそのまま使うのではなく、専用のシートに交換する方式が一般的です。
実際に回転シート・リフトアップシートへ改造されたSUV一覧
国内の福祉車両改造専門業者が公開している施工事例から、SUVを選びました。
| メーカー | 車種 | 確認できた改造 |
|---|---|---|
| トヨタ | ハリアー | 回転シート・回転昇降シート |
| トヨタ | ランドクルーザープラド | 回転昇降シート |
| トヨタ | FJクルーザー | 回転昇降シート |
| スバル | フォレスター | 回転昇降シート |
| スバル | アウトバック | 回転シート |
| 日産 | ジューク | 回転昇降シート |
| レクサス | RX300 | 回転昇降シート |
| レクサス | LX570 | 回転昇降シート |
| BMW | X1 | 回転シート |
| BMW | X2 | 回転シート |
| アウディ | Q7 | 回転昇降シート |
| ポルシェ | カイエン | 回転昇降シート |
※施工事例の確認ができた車種です。すべての年式・型式・グレードに装着できるという意味ではありません。
それでは、車種別に見ていきましょう。
① トヨタ ハリアー|回転シートもリフトアップシートも施工実績あり
トヨタの人気SUV、ハリアー。
後付けの回転シートだけでなく、電動回転昇降シートの施工実績もあります。
福祉車両改造専門業者のオフィス清水では、2023年にハリアーの助手席へ「ターニーエヴォ」を取り付けた事例を公開しています。
また、ハリアーHV・4WD車への取り付け実績もあります。
確認できた改造
- 助手席の回転シート
- 助手席の電動回転昇降シート
- 荷室への車いす収納リフト
別の施工事例では、車いすを荷室へ積み込む「カロリフト40」も取り付けられています。
乗る人は助手席へ移り、車いすは荷室に収納するという使い方が可能です。
ただし、それぞれの装備を同時に取り付けられるかは、対象車両ごとの確認が必要です。
② トヨタ ランドクルーザープラド|車高の高いSUVにも対応
ランドクルーザープラドにも、助手席へターニーエヴォを取り付けた実績があります。
プラドは車高が高く、普通の助手席では足を大きく持ち上げて乗り込む必要があります。
回転昇降シートなら、座席を車外へ下降させることで乗降を補助できます。
さらに、電動補助ステップを後付けした事例もあります。
2024年には、純正のランニングボードの下に電動ステップを追加した施工が公開されています。
シートの昇降だけでなく、ステップを組み合わせる方法も選択肢になります。
③ トヨタ FJクルーザー|車いす収納装置も組み合わせたSUV
個性的なデザインのFJクルーザー。
2026年6月に公開された施工例では、助手席にターニーエヴォが装着されました。
施工業者の公表資料によると、シートの地上高は約53cmに設定されています。
さらに、同じ車両に車いす収納装置「カロリフト40」も取り付けられました。
改造内容
- 助手席の電動回転昇降シート
- 荷室への車いす収納装置
- シート移動軌道の車種別設定
FJクルーザーには、車のシートを車外へ取り出して車いすとして使用する「カロニークラシック」の施工例もあります。
一般的な回転昇降シートとは違う方法で、車いすと車の座席との乗り移りを補助する装置です。
④ スバル フォレスター|回転昇降シートを後付け
スバルのフォレスターにも、助手席にターニーエヴォを取り付けた実績があります。
2021年の施工例では、RECARO製シートと組み合わせた仕様が紹介されています。
2023年には、別のフォレスターから取り外したターニーエヴォを、次のフォレスターへ移設した事例も公開されました。
取り付けられた装置は、電動で助手席を回転・昇降させるタイプです。
スバルのSUVに乗り続けたい場合に、参考になる施工事例です。
⑤ スバル アウトバック|回転シートを後付け
レガシィ アウトバックには、助手席を回転シートに変更した実績があります。
2025年6月に公開された施工例では、BraunAbility製「ターンアウト」が採用されました。
施工例の特徴
- 助手席を車外へ回転させる方式
- シート表皮を内装に近いアイボリーへ変更
- 座面の地上高は約58cm
- 座面前方の高さを調整できる機構も装備
こちらはシートが地面近くまで下降するタイプではありません。
約58cmの座面に座れるかどうかが、選択する際のポイントになります。
⑥ 日産 ジューク|コンパクトSUVにも回転昇降シート
日産ジュークにも、ターニーエヴォの後付け施工例があります。
2018年に公開された事例では、助手席が電動回転昇降シートへ変更されています。
大型SUVだけでなく、比較的コンパクトな車種でも改造実績があるという一例です。
ただし、ジュークは現在国内で新車販売されていないため、中古車を含めて検討することになります。
⑦ レクサス RX300|助手席を回転昇降シートに
レクサスRX300にも、ターニーエヴォを取り付けた実績があります。
オフィス清水では、2021年9月と12月に施工例が公開されています。
装置は助手席を車外へ回転・昇降させるタイプで、車種に合わせて動作を設定します。
RX450hには電動補助ステップの施工例もあります。
ただし、RX300とRX450hでは車両の仕様が異なるため、装置の適合はそれぞれ確認する必要があります。
⑧ レクサス LX570|大型SUVをリフトアップシート車に改造
レクサスの大型SUV、LX570にも回転昇降シートの施工例があります。
福祉車両専門店ウェルモビリティでは、LX570の助手席にターニーエヴォを取り付けた事例を紹介しています。
大型SUVでは座面の高さだけでなく、シートを回転させる際の頭上空間やドアの形状も重要です。
この施工例でも、実車を使って装置の取り付け可否や動作範囲を確認してから改造を行っています。
なお、施工例を公開している販売店では、現在この装置を取り扱っていないと案内しています。
⑨ BMW X1|輸入SUVに回転シートを取り付け
BMW X1にも、助手席回転シートの施工実績があります。
2023年の施工例では、ターンアウトを使用し、座面の地上高は約62cmでした。
さらに2026年9月にも、家族の乗降負担を軽減するため、BMW X1の助手席を回転シートに改造した事例が公開されています。
ただし、どちらも座面を大きく下降させる昇降シートではありません。
シートが回転して車外を向くことで乗降を補助する方式です。
⑩ BMW X2|クーペスタイルのSUVにも回転シート
BMW X2にも助手席回転シートの施工実績があります。
2021年に公開された事例では、BraunAbility製ターンアウトを取り付けています。
X2はクーペスタイルのSUVなので、車種や年式によってドア開口部や室内空間の条件が異なります。
実際にシートを車外へ回転させたときの位置や、乗降時の頭上空間などを確認しておきたい車種です。
⑪ アウディ Q7|大型輸入SUVにもリフトアップシート
アウディQ7にも、助手席の回転昇降シートを取り付けた実績があります。
2019年に公開された施工例では、ターニーエヴォが採用されています。
Q7は大型SUVなので、車外へ下降する装置が乗降補助の選択肢になります。
ただし、装置を取り付ける際には車種・年式・シートの仕様に応じた適合確認が必要です。
⑫ ポルシェ カイエン|高い座面を約46cmまで下降
ポルシェ・カイエンにも、後付けの電動回転昇降シートが取り付けられています。
2024年の施工例では、助手席にターニーエヴォを装着しました。
施工例の座面地上高
- 通常の車内座面:約79cm
- 車外へ下降した座面:約46cm
- 下降量:約33cm
SUVの高い座面を、乗り移りやすい高さまで下げられる実例です。
ただし、この数字は施工された車両のものです。ほかの年式・グレードでも同じ高さまで下降できるとは限りません。
回転シートだけじゃない! SUVの乗降を助ける追加装備
SUVを福祉車両に改造する方法は、回転シートやリフトアップシートだけではありません。
車種によっては、補助ステップや移乗補助装置を取り付けることもできます。
マツダ CX-8|電動補助ステップ
マツダCX-8には、電動補助ステップの施工実績があります。
2023年の施工例では、地面からステップ上面まで約25cmの位置に設定されています。
ドアの開閉に連動してステップが展開・格納される方式です。
この施工例の装置は耐荷重85kg、LED照明付きとなっています。
マツダ CX-80|電動補助ステップ
2026年10月には、マツダCX-80へ薄型の電動補助ステップを取り付けた事例も公開されています。
ドアの開閉に合わせてステップが展開・収納され、メインスイッチで作動を停止できます。
この施工例では耐荷重85kg、LED照明付きの装置が使われています。
ただし、これは回転シートや昇降シートの施工例ではなく、ステップ単独の事例です。
マツダ CX-30|移乗を助けるティップアッププレート
CX-30には「ティップアッププレート」を取り付けた実績があります。
車いすと座席の間に生じる隙間を補う移乗用のプレートです。
車いすから座席へ横方向に乗り移る際の補助装置として使われます。
回転シートとは異なる方式ですが、乗降方法によっては検討できる装備です。
レクサス NX|サイドサポートシート
レクサスNXには、車いすからの移乗を補助する「サイドサポートシート」の施工例があります。
2023年の事例では、左右に移乗補助用の装置を取り付けています。
座面の高さは地上約60cmに設定されました。
こちらも回転昇降シートではありませんが、座席と車いすの間を移動する際の補助装置です。
後部座席にサイドリフトアップシートを後付けできる?
ここまで紹介した施工例の多くは、助手席を改造したものです。
では、後部座席を回転・昇降させることはできないのでしょうか。
後付け装置のターニーエヴォは、製品としてはセカンドシートへの取り付けにも対応しています。
ただし、車種によって取り付けられない場合があります。
特にSUVの後部座席では、以下の条件が重要になります。
- 後部ドアの開口幅
- ドアが開く角度
- シートの回転に必要なスペース
- 前席との距離
- 車外へ下降させる際の車体との干渉
- シートの固定強度やシートベルトの構造
ミニバンでは2列目へのリフトアップシート装着実績がありますが、SUVでも同じように取り付けられるとは限りません。
今回確認したSUVの施工事例では、後席への回転昇降シート装着を車種別に裏付けられる例は見つかりませんでした。
したがって、SUVの後部座席への取り付けは、専門業者による実車確認が必要です。
SUVの回転シート・リフトアップシート改造費用はいくら?
後付け改造の費用は、回転のみのタイプと電動昇降タイプで大きく異なります。
2026年10月に確認できた専門業者の掲載価格を紹介します。
| 装置 | 掲載価格 |
|---|---|
| ターンアウト(回転シート) | 部品価格76万6,500円~ |
| ターニーエヴォⅡ(電動回転昇降シート) | 238万8,000円~ |
ターンアウトはオフィス清水の参考部品価格で、取り付け工賃などは別途確認が必要です。
ターニーエヴォⅡはオートフォーラムの掲載価格で、標準のFLEXシートとアームレストを含む仕様です。
どちらも、最終的な総額は車種や改造内容によって変わります。
古い価格情報ではもっと安い金額が紹介されている場合もありますが、購入時には最新の見積もりを確認してください。
また、福祉車両への改造費用が必ず消費税非課税になるわけではありません。装備の組み合わせなどで扱いが異なります。
好きなSUVを改造する前に確認したいこと
後付け装置は、車種名だけで取り付け可否が決まるわけではありません。
同じSUVでも年式・型式・グレードによってシートやドアの構造が異なります。
① 純正シートを交換できるか
後付け回転シートは、専用シートへの交換が必要になる場合があります。
純正シートに内蔵されたエアバッグ、シートベルト、電動調整装置、着座センサーなどへの対応を確認する必要があります。
特に、シートベルト一体型の座席には取り付けできない装置もあります。
② シートが車外へ出るスペースがあるか
ドアの開口部が狭い場合や、ダッシュボード・ピラーなどに干渉する場合は、回転や昇降の範囲が制限されます。
SUVは座席が高いため、十分な下降量を確保できるかも重要です。
③ ステップや手すりも取り付けられるか
回転シートを付けても、座面が高すぎて乗り移れない場合があります。
その場合には、補助ステップや車内の手すりなどを追加できるか確認しましょう。
ただし、補助ステップを使う方法が適しているかどうかは、実際の乗降動作によって変わります。
④ 車いすを荷室に積めるか
回転昇降シートによって助手席へ乗れたとしても、車いすの収納方法は別に考える必要があります。
車いす収納装置の施工例があるSUVには、ハリアーやFJクルーザーなどがあります。
荷室の開口部、車いすの重量、収納装置の取り付け位置などを確認しましょう。
⑤ 改造後の車検・保安基準に対応できるか
座席を交換する改造では、座席固定部やシートベルトなどについて、保安基準への適合確認が必要です。
改造内容によっては、強度に関する書類や構造等変更検査が必要になる場合があります。
改造業者には、装置の適合だけでなく、必要な手続きまで確認しておきましょう。
福祉車両への改造を相談できる専門業者
今回紹介した車種の施工事例は、主に次の専門業者などで確認できます。
オフィス清水(東京都)
回転シート、回転昇降シート、車いす収納装置、電動補助ステップなどを取り扱い、国産車・輸入車の施工事例を多数公開しています。
オートフォーラム(広島県)
BraunAbility製ターニーエヴォなどの後付け福祉装置を取り扱っています。製品仕様や価格も掲載されています。
アイウェル(福島県)
回転シート、回転昇降シート、車いす収納装置、補助ステップなどの福祉車両改造を取り扱っています。
いずれも、車種によって施工可否が変わるため、車両情報を伝えて相談する必要があります。
まとめ|後付け改造で福祉車両にできるSUV
今回紹介したように、メーカーが福祉車両を販売していないSUVでも、回転シートやリフトアップシートに改造した実績があります。
特に注目したいのは、次の3点です。
- ハリアーやフォレスターなど、人気の国産SUVにも回転昇降シートの施工例がある
- BMW、アウディ、ポルシェなどの輸入SUVにも施工例がある
- シートだけでなく、補助ステップや車いす収納装置を組み合わせる方法もある
ただし、改造できるかどうかは、実際の車両と装置の適合確認が必要です。
これからSUVを購入する場合は、契約前に専門業者へ相談しておくと安心です。
そして次回は、さらに難易度の高い改造に挑戦します。
車いすから助手席に乗り移るのではなく、車いすに座ったままSUVへ乗車する方法です。
SUVの高い荷室をどうするのか。
スロープや昇降リフトは取り付けられるのか。
ニーリングで車高を下げれば解決するのか。
海外の改造実績も調べながら、国内SUVで実現できる可能性を検討します。
第4回「ハードル高め⁉ 車いすのまま乗降できるSUV」へ続く。
※本記事は2026年10月時点で確認できた改造専門業者の公開施工事例・製品情報を基に作成しています。掲載車種への装置取り付けや現在の施工受付を保証するものではありません。価格・年式・装備・適合条件は各専門業者にご確認ください。

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