事故映像を見るにつけ 悪質極まりない運転で相手運転手を死亡させてます。
なぜ過失致死で家裁送致になるのか納得できないですよね。
理由は 危険運転の要件「制御困難な運転状況」に当てはまらなかった ということらしいのですが、一般人の感覚とはかけ離れています。
詳しく見ていきましょう。
事故の概要
衝突の瞬間
画像引用元:集英社オンライン
日曜早朝の事故
9月29日㈰の午前5時40分頃 川口市の市道交差点で乗用車同士の衝突事故が起きました。
一方通行の道路を100キロ以上で逆走してきた 18歳の男が運転する車が、十字路で別の車の後部側面に激しく当たり その車を運転していた51歳の男性が搬送先の病院で亡くなりました。
男は飲酒運転が見つかる前に逆走していた道路を抜けようとしていたらしく スピードを出していたようです。
自ら110番通報した男の呼気からは アルコールが検出されました。
同乗していた男性2人は 警察が到着する前に現場から離れたのが防犯カメラの映像で分かっています。
事故後の動き
警察は…
衝突された車の運転手・縫谷茂さん(51)が死亡したのをうけて、逮捕した中国籍で18歳の男を危険運転致死と酒気帯び運転の疑いで送検しました。
検察は…
さいたま地検は、危険運転致死より刑の軽い過失運転致死と酒気帯び運転の容疑で家庭裁判所へ送りました。
世間の反応
危険運転致死にならないのはなぜ?
検察の見解
さいたま地検の井ノ口検事は 「結果が極めて重大で運転は危険で悪質。捜査を尽くしたが危険運転致死罪を適用できなかった」旨を答えています。
現場の一方通行道路は二輪が除外されている自動車専用道路。道路幅はおよそ2.5メートルです。
かつ直線道路です。またアルコールも「酒気帯び」のレベルでした。
これが法律上「制御困難」とはならない理由なのです。
『真っすぐにシッカリ走っている』というのが、制御出来ているという考え方のようです。
法解釈の限界
無謀な高速で運転して相手を死傷させても 直線道路だと「制御困難な運転」にあたらない。
つまり 危険運転致死傷罪にはならない ということなのです。
こういった判例が増え 多くの遺族が苦しんできたにも拘わらずまだ続いています。
ただ2013年に処罰法ができて 危険運転の適用が広がり、アルコールを抜いてから出頭するような逃げ得や無免許にも厳しく対応できるようにはなりました。
が 今回のような事故を見ると 一日も早く法改正が必要です。
「危険運転」見直しの流れ
平成13年 | 危険運転致死傷罪 成立 |
平成16年 | 法定刑上限が15年から20年に引き上げられる |
平成19年 | 過失による事故を懲役7年以下で罰する過失致死傷罪が成立 |
平成25年 | 自動車運転処罰法が成立 |
令和2年 | あおり運転・妨害運転を危険運転の項目に追加 |
令和5年 | 自民党内で「危険運転致死傷罪」の要件明確化を求める提言 |
令和6年2月 | 法務省の検討会が初会合を開く |
法制定のきっかけとなった事故
1999年 東名高速で家族4人の乗った車に飲酒運転のトラックが追突し 炎上しました。
運転をしていた妻と大やけどを負った夫は無事でしたが、後部座席の幼い姉妹が犠牲になりました。
当時は過失運転致傷しかなく わずか懲役4年の判決が出たことで問題となりました。
多くの人の署名の結果 危険運転致死傷罪が作られました。
2006年 福岡で飲酒運転の車が追突事故を起こし 追突された車が橋から転落しました。
この事故で子供3人が犠牲となりました。
追突した運転手は飲酒運転を隠すために現場から逃げて、水を大量に飲んだことが分かっています。
危険運転致死傷罪が確定されました。
その後 危険運転致死傷罪が適用されない判例がいくつか続いたことで処罰法が制定され、危険運転の適用範囲が広がりました。
2017年 東名高速であおり運転の末 高速道路上に停止させた車にトラックがぶつかり夫婦二人が亡くなる事故が起きました。
SAで注意されたことに腹を立て 追いかけていった男の運転について検証された結果 危険運転致死傷罪が成立しています。
多くの遺族の悲痛な努力の結果として 法が作られてきたことが分かります。
猛スピードでの運転にも危険運転致死傷罪が適用されるべきではないか…という訴えは以前からありましたが、法制化には至っていませんでした。
そんな中で今回の事故は起きました。
今後は…
去年12月の法務大臣の記者会見で 自民党内のプロジェクトチームで危険運転致死傷罪についての提言がまとめられていると言っています。
今年2月に検討しているようですが どうなったんでしょうか? なかなか見えてきません。
一般感情とはかけ離れた判決で 苦しむ遺族が増えるばかりです。
実情にあったものにして頂きたいですね。
被害に遭われた縫谷さんのご冥福をお祈りいたします。
そしてご遺族の方々が平穏に過ごせることを願います。
まとめ
今回の飲酒運転逆走事故が 危険運転致死傷罪に当たらないのは
直線道路で真っすぐ車を運転していた というのが理由でした。
現在の法律では『制御困難ではない』という解釈です。
逆送はないのか?
少年法が改正され18歳19歳は特定少年として、家裁から検察官へ戻され刑事裁判所へ起訴されることがあります。
今回の事故はそうなるんでしょうか?
注目していきたいと思います。