キーワード:障害者に優しい雨具/雨具 外出 工夫/障害者 雨の日 対策
導入:雨の日の外出がしんどい理由と、この記事でわかること
雨の日の外出は、服や車いすが濡れる・足元が滑りやすい・着脱が難しい……など、障害の有無を問わず大変です。特に障害のある方や介助者にとっては、濡れによる体温低下や視界・聴覚情報の減少が安全性と快適さを直撃します。
本記事では、そんな悩みを軽くする障害者に優しい雨具と外出の工夫を、選び方の基準から具体アイテム、活用事例、購入前チェックリストまで丁寧にまとめました。――雨は待ってくれませんが、準備は今日からできます。
障害者の雨の日の外出で起こりやすい課題
濡れによる体温低下や健康リスク
濡れと風は体温を奪います。
衣類が濡れたら可能なら速やかに着替えるか、濡れを避ける外層で守るのが鉄則です。
レインウェアはただ着るだけでなく、フード・袖口・裾の調整で外気と水の侵入を防ぎましょう。
介助が必要な場面における雨の影響
雨天時は路面が滑りやすく、車両の制動距離も伸びがち。
歩行者や車いす利用者は見落とされやすく、通常以上の注意が必要です。
乗降や段差越えの介助は、屋根付き動線を選ぶだけで負担がぐっと下がります。
傘と杖は両立しないと考えておきましょう。
両手がふさがり、重心も上がるので、危険です。
視界不良・聴覚情報の制限による危険性
傘で視界が狭くなり、雨音や傘自体が周囲音を遮って危険察知が遅れます。
特に横断時は“止まって・見て・聴く”の徹底を。夜間・薄暮は反射材とライトの併用が効果的です。
障害の種類別、雨具選びのポイント
車いす利用者向けのレインカバー・雨合羽
- 座位パターンのカッティングで膝に水がたまりにくい設計を選ぶ。
- ポンチョ型/上下分離型は着脱しやすく、蒸れや車輪巻き込みの低減に有利。
- 裾の反射ラインや車輪巻き込み対策、フラップ構造など安全性に直結する仕様を優先。
視覚障害者に配慮した反射素材・タッチでわかる工夫
- 反射材は運転者からの視認性を上げます。衣類・バッグ・靴・杖に反射ポイントを。
- レインウェアは明るい色+反射パイピングやロゴ入りを選ぶと夜間の安心感が段違い。
聴覚障害者と傘の相性、視認性の工夫
- 傘は音・視界を遮りやすいので、透明傘やレインハット+レインウェアで視界確保する手も。
- 周囲も雨音で聴こえにくい前提で、反射材・ライトを併用。
上肢・下肢に障害がある方向けの着脱しやすいタイプ
- ポンチョは被るだけで素早く装着可能。片手操作に向くモデルも多いです。
- マグネット式前合わせ/大型タブのファスナー/面ファスナーなど、留め具の工夫で自立度アップ。
便利な雨具のタイプ別おすすめアイテム
ポンチョ・セパレート型レインウェアの利点と比較
- ポンチョ型:被るだけで素早く着脱。車いす全体を覆いやすい。
- セパレート型:蒸れにくく、袖や裾の調整で車輪巻き込みを回避しやすい。
- レッグカバー併用:脚部の濡れをピンポイントで防止。
自立支援に役立つ片手でも装着できる雨具
マグネット式留め具/大型タブ/面ファスナーは、指先の巧緻性が低くても扱いやすく、装着時間を短縮します。
防水性・通気性・軽さのバランスをチェック
- はっ水/耐水:はっ水=水をはじく、耐水=浸入に耐える。
- 耐水圧(mm):どの程度の水圧に耐えられるかの指標。
- 透湿度(g/㎡・24h):汗の水蒸気を逃がしムレ軽減に有利。
- 通気性:生地を通る空気量の目安。軽快さやムレ感に影響。
迷ったら:「耐水圧 10,000mm 前後 × 透湿 8,000–15,000g/㎡・24h」は日常〜梅雨の妥協点。酷暑・梅雨は透湿重視、台風レベルなら耐水重視が無難です。
ユニバーサルデザインの雨具紹介(国内外メーカー)
- モンベル:車いす用レインウエア(座位設計・防水透湿)/レッグカバー。
- Carewill:上下分離・袖有無切替・巻き込み対策・強化リフレクターなど。
- 日本エンゼル:車いす用レインコートの定番。
- 弘進ゴム:車いす用ポンチョ系。
- Mambe・Vive Health:海外の防水ケープ/ポンチョ系。
参考リンク:各ブランドの製品ページ
- モンベル|車椅子用レインウエア(レインウエア一覧)
- モンベル|「パラカグール」詳細ページ
- Carewill|車いす利用者用レインウェア
- Carewill|上下セット商品(通販)
- 日本エンゼル|ケアーレイン(車いす用レインコート)
- 日本エンゼル|上半身のみモデル(楽天)
- 弘進ゴム|車いすレイン はおるっちゃ(ポンチョ)
- 弘進ゴム|ポンチョタイプ(Amazon)
- Mambe|Wheelchair Poncho(海外)
- Vive Health|Wheelchair Poncho(海外)
雨の日の外出を快適にする周辺グッズアイディア
防水のカバン・カバー・シューズ
- ロールトップのドライバッグ:口を三つ折り+バックルで高い防水性。通院書類や電子機器の雨対策に。
- 電子機器の防水等級(IPコード):IPX4=飛まつ、IPX5=噴流水、IPX7/8=水没耐性などを確認。
車いす用シートカバー・泥除け
室内移動や車載時の汚れ対策に車輪カバー/車体カバーが便利。玄関での水切りスペースと併用を。
歩行器・杖用の傘ホルダー・カバー
傘ホルダーで「手を塞がない」雨対策。歩行器・シルバーカー用の製品も増えています。
雨に強い通院バッグ・防災兼用用品
通院バッグ=防災バッグとして兼用し、レインコート・タオル・モバイルバッテリー等を常備すると安心です。
タオル類や大きな袋など
見落とされがちな、目的地に着いた後のレインコートの扱い。
帰りも着るのなら、乾かさないととても着る気になりません。
干しておく場所があるならいいのですが、なければ水滴を飛ばし大きな袋に入れて置きましょう。
あえて、布製のバッグを使うほうが、残った水滴を吸収してくれるのでオススメです。
便利な雨具を活用した外出の工夫・事例紹介
当事者事例:自分で着られるポンチョで“待たせない”
- ポンチョ型を玄関ドア横に吊るし、ワンアクションで被れるように。
- ひざ~足先はレッグカバーで追加保護。
- 反射材タブを縫い足して夜間の視認性を確保(手芸店の反射テープでOK)。
介助者から見た「こうすれば楽!」ポイント
- 目的地までの屋根付き動線を地図で事前チェック。
- 玄関でポンチョ → ベルト → 脚部の順で装着(濡れやすい部位から覆う)。
- 施設入口では水切り・車輪カバーで室内の濡れを最小化。
施設・介護現場での雨の日対応の工夫例
- 視認性の高い案内表示・音声案内・誘導ブロックの適切配置。
- 滑らないマットや水切りスペースの設置で安全性を底上げ。
失敗しない!障害者向け雨具選びのチェックポイント
購入前に確認したいサイズ・防水性能・素材
- 表示の根拠:レインコートなどの「はっ水表示」はJIS基準(L 1092)に基づく。広告・下げ札の表現も確認。
- 耐水圧・透湿度:長時間の雨は耐水重視/梅雨・夏は透湿重視。
- 反射材の有無:前後左右に反射ポイントがあるモデルを優先。
返品・交換対応の有無とネット購入時の注意点
- 家庭での試着・着脱テストは必須。片手操作や座位姿勢での可動域、袖口や裾の巻き込みリスクを確認。
- 返品条件(タグ・商品状態・期日)やサイズ交換の可否を事前チェック。
長く使える設計や修理対応の有無確認
- 消耗部位(裾・袖口・ファスナー・面ファスナー)の補修可否、撥水再加工の案内有無。
- パーツ交換(フード・ベルト・ループ等)が効くモデルは長持ち。
図解:障害者に優しい雨具の選び方・早見表
目的/状況 | すぐ外出 | 長時間雨天 | 蒸れが気になる | 夜間・薄暮の移動 |
---|---|---|---|---|
推しタイプ | ポンチョ | セパレート | 透湿高め(JIS L 1099) | 反射材+ライト |
補助アイテム | レッグカバー | 車輪カバー | ベンチレーション | 反射テープ/反射ロゴ |
操作性 | マグネット留め/大型タブ/面ファスナー(片手操作◎) |
まとめ:雨の日こそ「使いやすさ」に投資を
濡れない・見える・気づける・着脱しやすい――この4点を押さえるだけで、雨の日の外出負担は大きく下がります。
障害の有無にかかわらず、誰もが安心して移動できる社会を実現するには、使いやすさへのこだわりが近道です。
あなたやご家族・利用者に合う障害者に優しい雨具を見つけ、雨の日のストレスを減らしてみませんか?
機能優先でいきましょう!
この記事のチェックリストや事例を、ぜひ比較検討の起点にしてください。

参考情報・用語メモ
- 耐水圧(mm):水圧への耐性。数値が高いほど雨の侵入を防ぎやすい。
- 透湿度(g/㎡・24h):汗の水蒸気を逃がす能力。数値が高いほどムレにくい。
- IPコード(IPX):電子機器の防水等級。IPX4=飛まつ、IPX5=噴流水、IPX7/8=水没耐性。
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