障害児の車選びは成長で変わる|抱っこ・バギー・車いす移動に合わせた選び方

障害児のいる家庭にとって、車はただの移動手段ではありません。

通院、リハビリ、学校や施設への送迎、買い物、家族でのお出かけ。
日々の生活を支える大切な道具です。

けれど、子どもの成長に合わせて、車に求めるものは少しずつ変わっていきます。

小さい頃は抱っこで乗せ降ろしができた。
バギーも折りたためば何とか積めた。
近場の移動なら、今の車でも大きな不便はなかった。

そんな家庭でも、子どもが成長するにつれて、少しずつ困りごとが出てくることがあります。

この記事では、障害児の車選びについて、「この車が正解です」と決めつけるのではなく、抱っこ移動、バギー移動、車いす移動へと変わっていく可能性を踏まえながら、後悔しにくい考え方を整理していきます。

目次

障害児の車選びは「今だけ」で考えない方がいい

障害児の車選びで大切なのは、今の使いやすさだけで判断しないことです。

もちろん、今の生活に合っているかはとても大事です。
毎日の送迎で使いにくい車では、家族の負担が大きくなってしまいます。

ただ、子どもは成長します。

体重が増え、身長が伸び、身体の動かし方も変わります。
今は抱っこで乗せられていても、数年後には同じ方法が難しくなることがあります。

さらに、成長に合わせて使う道具も変わることがあります。

ベビーカーやバギーだけでなく、座位保持装置、歩行器、装具、車いすなど、移動に必要なものが増えていく家庭もあります。

だからこそ、車選びでは「今、乗れるか」だけでなく、
「3年後、5年後も無理なく使えそうか」
という視点を持っておくと安心です。

これは、必ず大きな車を買いましょうという話ではありません。
高い福祉車両を選びましょうという話でもありません。

大切なのは、子どもの成長と、家族の介助負担を見越して考えることです。

小さい頃は「抱っこで何とかなる」ことが多い

子どもが小さいうちは、抱っこで車に乗せ降ろししている家庭も多いと思います。

チャイルドシートに座らせる。
抱えて車内に移動する。
バギーは畳んで荷室に積む。

この時期は、車の大きさよりも、普段の運転のしやすさや維持費を重視して車を選ぶこともあります。

軽自動車やコンパクトカーでも、生活範囲や荷物の量によっては十分に使いやすい場合があります。

ただし、この時期に少し考えておきたいのが、親の身体への負担です。

抱っこでの乗せ降ろしは、子どもが小さいうちは何とかできても、成長とともに腰や腕への負担が大きくなります。

特に、車のシートが高すぎる、ドアの開き方が狭い、車内で身体をひねる姿勢になる場合は、介助する側に負担がかかりやすくなります。

「まだ抱っこできるから大丈夫」と思える時期こそ、少し先を考える余裕がある時期でもあります。

バギーや座位保持装置を使うと、荷物スペースが重要になる

障害児の成長に合わせて、バギーや座位保持装置を使う家庭もあります。

この段階になると、車選びで大きなポイントになるのが荷室の広さです。

バギーを畳んで積めるか。
座位保持装置や装具も一緒に積めるか。
兄弟姉妹の荷物や買い物袋を置くスペースが残るか。

ここが思ったより大事です。

車そのものには乗れるけれど、荷物が積みにくい。
バギーを積むたびに大きな力が必要になる。
荷室に入れるために、毎回向きを変えたり、部品を外したりしなければならない。

こうなると、外出のたびに小さなストレスが積み重なります。

また、雨の日や暑い日、寒い日には、積み降ろしに時間がかかるだけでも負担になります。

車を選ぶときは、カタログ上の荷室容量だけでなく、実際に使っているバギーや道具が積みやすいかを確認することが大切です。

可能であれば、購入前に販売店で実際に積ませてもらうと安心です。

車いす移動を考えるなら、乗せ方の選択肢が変わる

子どもが成長して車いすを使うようになると、車選びの考え方はさらに変わります。

車いすを畳んで荷室に積み、本人は座席に移乗する方法もあります。
一方で、車いすに乗ったまま車内に入れる福祉車両を検討する家庭もあります。

どちらが正解というわけではありません。

本人の身体の状態、座位の安定性、移乗のしやすさ、介助する人の体力、車を使う頻度によって、合う方法は変わります。

たとえば、短時間の移動が多く、移乗が比較的しやすい場合は、一般車に車いすを積む方法でも使いやすいことがあります。

一方で、移乗そのものが大きな負担になる場合や、子どもの身体が大きくなって抱えるのが難しくなってきた場合は、スロープ付きの福祉車両が選択肢になることもあります。

ここで大切なのは、親が限界になるまで我慢しないことです。

「まだ何とかなる」と思っているうちに、腰や肩を痛めてしまうことがあります。
介助する人が無理をしすぎると、外出そのものが減ってしまうこともあります。

子どものために頑張ることは大切ですが、親の身体を守ることも同じくらい大切です。

車選びで見たいポイントは「広さ」だけではない

障害児の車選びでは、つい車内の広さに目が行きます。

もちろん広さは大切です。
ただ、それだけで選ぶと、実際に使い始めてから困ることがあります。

見るべきポイントは、広さだけではありません。

まず確認したいのは、ドアの開口部です。
子どもを抱っこして乗せる場合、ドアが大きく開くか、身体をぶつけずに乗せられるかが大切です。

次に、シートの高さです。
高すぎると持ち上げる負担が増えます。
低すぎると、かがむ姿勢が増えて腰に負担がかかります。

荷室の高さや奥行きも重要です。
バギーや車いすを積むとき、持ち上げる高さが高いと、それだけで大変になります。

また、車内で介助するスペースがあるかも見ておきたいところです。
ベルトを締める、姿勢を整える、荷物を置く。
こうした小さな動作がしやすいかどうかで、日常の使いやすさは大きく変わります。

車は、スペック表だけでは分からないことが多いです。
できれば実車を見て、実際の動きを想像しながら確認するのがおすすめです。

軽自動車・ミニバン・福祉車両、それぞれに向き不向きがある

障害児のいる家庭の車選びでは、軽自動車、コンパクトカー、ミニバン、福祉車両など、いくつかの選択肢があります。

軽自動車は、維持費が比較的抑えやすく、小回りが利きます。
狭い道や駐車場でも扱いやすいため、日常の送迎には便利です。

ただし、子どもが成長してバギーや車いすが大きくなると、荷室や車内スペースが足りなくなることがあります。

ミニバンは、車内が広く、荷物も積みやすい車種が多いです。
家族での移動や、兄弟姉妹がいる家庭にも向いています。

一方で、車体が大きくなるため、駐車場の広さや運転のしやすさ、維持費も考える必要があります。

福祉車両は、スロープやリフトなどによって、介助負担を減らせる可能性があります。
車いすのまま乗れるタイプなら、移乗の負担を大きく減らせることもあります。

ただし、価格、駐車場、普段使いのしやすさ、乗車人数、荷物スペースなども確認が必要です。

どの車にもメリットと注意点があります。

だからこそ、「障害児がいるならこの車」と決めつけるのではなく、家族の生活に合うかどうかを丁寧に見ることが大切です。

買い替えを考えるサイン

車の買い替えは、大きなお金がかかることです。
簡単に決められるものではありません。

だからこそ、無理に急ぐ必要はありません。

ただ、次のような場面が増えてきたら、車選びを見直すタイミングかもしれません。

子どもを抱っこして乗せるのがつらくなってきた。
乗せ降ろしのたびに腰や腕が痛い。
バギーや車いすを積むのに毎回苦労する。
雨の日の外出がかなり負担に感じる。
荷物が増えて、車内がいつもいっぱいになる。
通院や送迎の回数が増えてきた。
子どもの身体が大きくなり、今の車では姿勢が安定しにくい。

こうしたサインは、「今すぐ買い替えなければいけない」という意味ではありません。

ただ、今の車が家族の生活に合わなくなり始めている可能性があります。

早めに気づければ、情報を集めたり、試乗したり、予算を考えたりする時間が取れます。
追い込まれてから選ぶより、落ち着いて判断しやすくなります。

賢い車選びは、家族の外出を守ること

障害児の車選びで大切なのは、立派な車を選ぶことではありません。

家族が無理なく使えること。
子どもが安全に乗れること。
介助する人の身体に負担がかかりすぎないこと。
通院や送迎だけでなく、家族のお出かけにも使いやすいこと。

こうした視点を持つことが、賢い車選びにつながります。

車選びを考えるとき、親はどうしても子どものことを優先しがちです。

もちろん、それは自然なことです。
でも、介助する親の身体も大切です。

親が疲れ切ってしまうと、外出する気力がなくなってしまいます。
車への乗せ降ろしが大変すぎると、「今日はやめておこう」と思う日が増えてしまうかもしれません。

それは、子どもにとっても家族にとっても、少しもったいないことです。

だから、車選びでは「子どものため」だけでなく、「家族全体が続けられる形」を考えることが大切です。

まとめ|成長に合わせて、車選びの正解は変わっていく

障害児の車選びに、ひとつの正解はありません。

抱っこで移動している時期。
バギーや座位保持装置を使う時期。
車いす移動を考える時期。

子どもの成長や身体の状態によって、必要な車の条件は変わっていきます。

今の車で問題なく使えているなら、それは大切なことです。
無理に買い替える必要はありません。

ただ、「今は大丈夫」の先に、どんな変化がありそうかを考えておくと、あとで慌てずに済みます。

車は、障害児のいる家庭にとって、生活の自由度を広げてくれる大切な道具です。

通院に行く。
学校へ送る。
リハビリに通う。
買い物に出かける。
家族で少し遠くへ行ってみる。

そうした日常を支えるためにも、子どもの成長に合わせて、車選びを見直す視点を持っておきたいところです。

大切なのは、無理をしないこと。
焦って決めないこと。
そして、家族に合った一台を選ぶことです。

「まだ何とかなる」と頑張りすぎる前に、少し先の暮らしを想像してみる。
それだけでも、後悔しにくい車選びに近づけます。

ひとりで悩まず、まず整理。

福祉車両の選び方や制度を一緒に整理します。


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この記事を書いた人

やんち
出歩くのが好きなやんちが、外出が困難な方に役立つ色んな情報を発信しています。

仕事:技士をしていましたが現在事務職です。車いすユーザーです。
   手動装置のクルマと電車で通勤してます。
趣味:テニスと英語と美術館巡り
特技:ラジオドラマ脚本は5分番組から1時間番組まで多数放送化されました。
資格:福祉車両取扱士

関西を中心に出来る限り実体験ベースで検証記事を書いています。
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