福祉車両は、車いすを使う家族にとって大きな助けになります。
車いすのまま乗れる。
介助者の負担が減る。
病院や買い物、家族のお出かけにも行きやすくなる。
これは間違いありません。
ただし、実際に福祉車両を購入した人の声を調べていくと、「買ってよかった」という声の一方で、思わぬ後悔も見えてきます。
その後悔の多くは、車そのものが悪いというより、買う前に実際の使い方で試していなかったことから起きています。
結論から言うと、福祉車両選びで一番危険なのは、実際に乗って確かめないことです。
カタログを見て「車いす対応」と書いてあっても、家族が使っている車いすが本当に入るかは別問題です。
展示車で便利そうに見えても、本人が長時間乗ってつらくないかは別問題です。
販売店ではスムーズに見えても、自宅や病院の駐車場で同じように使えるかは別問題です。
この記事では、実際の口コミや体験談をもとに、福祉車両で後悔しやすいポイントを整理します。
後悔1:自分の車いすが乗らなかった
福祉車両でまず怖いのが、「車いす仕様車なのに、自分の車いすがうまく乗らない」という後悔です。
実際に、フリード+の車いす仕様車を購入した人の口コミでは、「家族5人と車いすが乗れる」ことに魅力を感じて買い替えたものの、介助用車いすのハンドルがスロープに引っかかり、そのままでは乗せにくかったという声がありました。車いすの後輪を少し浮かせたり、足置きを外して奥まで入れたりする必要があったそうです。
ここで大事なのは、メーカーが嘘をついているという話ではありません。
Honda公式サイトにも、車いすの種類やタイプによっては乗車できない場合がある、と明記されています。
つまり、「車いす対応」と書いてあっても、すべての車いすに対応しているわけではないのです。
特に注意したいのは、次のような車いすです。
・ハンドルが高い車いす
・リクライニング車いす
・ティルト式車いす
・障害児用バギー
・電動車いす
・フットレストやヘッドレストが大きい車いす
カタログ寸法だけで判断すると危険です。
必ず、実際に使っている車いすやバギーを持ち込んで、乗せられるか確認しましょう。
後悔2:車いすのまま乗ると、本人の乗り心地がつらかった
介助する側から見ると、車いすのまま乗れる福祉車両はとても便利です。
車いすから車のシートへ移乗しなくていい。
抱きかかえなくていい。
乗せ降ろしの負担が減る。
だから、「これは本人も楽だろう」と思いがちです。
でも、実際にはそうとも限りません。
カーセンサーの記事では、車いすのまま試乗した人が、背もたれが直角に近い姿勢、座席位置の高さ、上半身の揺れ、急ブレーキやカーブで踏ん張る疲れを感じた体験が紹介されています。
また、Yahoo!知恵袋にも、スロープタイプの福祉車両について「短距離移動には便利だが、長時間は乗れない」「車いすで乗り込む部分が少し傾斜していて、本人が振動を感じる」という声がありました。
価格.comの口コミでも、車いすのまま荷室側に乗るため、乗り心地は正直快適ではなく、長時間移動はつらい、1時間くらいなら大丈夫という使用感が書かれています。
ここは本当に重要です。
福祉車両は、介助者だけで決めてはいけません。
できる限り、実際に乗る本人が試乗するべきです。
確認するポイントは、次の通りです。
・車いすの姿勢がつらくないか
・頭や上半身が揺れすぎないか
・足元が窮屈ではないか
・カーブやブレーキで不安がないか
・30分以上乗っても大丈夫そうか
・冷暖房が届くか
「乗れる」と「楽に乗れる」は違います。
ここを間違えると、せっかく福祉車両を買っても、外出そのものがしんどくなってしまいます。
後悔3:乗せ降ろしの操作が思ったより大変だった
スロープ車には、電動ウインチや固定ベルトが付いている車種もあります。
これ自体はとても便利です。
カーセンサーの記事でも、電動ウインチによって車いすを車内へ引き入れられ、介助者の負担がかなり軽くなる様子が紹介されています。
ただし、実際の介助では「スロープを出す」「ウインチベルトを付ける」「車いすを乗せる」「固定する」「シートベルトを付ける」「スロープをしまう」という手順があります。
一つひとつは難しくなくても、毎回やるとなると負担になります。
特に、介助者が高齢の場合や、腰に不安がある場合は注意が必要です。Yahoo!知恵袋にも、スロープから乗せて車いすを固定する一連の介助について、介助者側の体力や慣れを心配する声がありました。
購入前には、販売店の人にやってもらうだけでは不十分です。
実際に介助する人が、自分の手で最初から最後まで操作してみることが大切です。
できれば、次の条件で試しましょう。
・介助者が一人で操作する
・普段使う車いすで試す
・本人を乗せた状態で試す
・スロープの出し入れまで試す
・車いす固定とシートベルト装着まで試す
・雨の日や暗い時間帯も想像する
販売店ではできても、自宅前では大変。
昼間はできても、夜は見えにくい。
元気な日はできても、疲れている日はきつい。
こういう現実があります。
後悔4:駐車場でスロープやリフトが使いにくかった
福祉車両は、車内だけ見て選ぶと失敗します。
実際に使うときは、車の外側にスペースが必要です。
スロープ車なら後ろにスペースが必要です。
リフトアップシート車なら横にスペースが必要です。
ハイルーフのリフト車なら高さ制限にも注意が必要です。
価格.comの口コミでは、スロープ長、車いす、介助者のスペースを考えると、車の後方に3m弱のスペースが必要だと書かれています。外出先では、車いすマークの区画でも後方スペースが足りないことがあり、頭から駐車したり、通路にはみ出して昇降したりすることがあるそうです。
また、福祉車両オーナー座談会でも、SAやショッピングセンターの優先駐車場が埋まっていると、一般区画ではリフトアップシートを横に出せず困る、という声が紹介されています。
これはかなり現実的な問題です。
福祉車両は、車内に乗れるかだけでなく、どこで乗り降りするかまで考える必要があります。
確認したい場所は、次の通りです。
・自宅の駐車場
・自宅前の道路
・よく行く病院
・通所施設
・スーパー
・ショッピングモール
・親戚の家
・旅行先の駐車場
特にスロープ車は、後ろにスペースがないと使いにくくなります。
「車いすマークの駐車場なら大丈夫」と思い込まない方が安全です。
後悔5:大きい車を選んだら、普段使いが大変だった
車いすスペースだけを考えると、大きい車は安心です。
ノア、ヴォクシー、セレナ、ステップワゴン、ハイエースなどは、車内空間に余裕があります。
リクライニング車いすや電動車いすを使う場合、大きい車の方が合うこともあります。
ただし、大きい車は普段使いで負担になることがあります。
運転に不安がある。
狭い道で気を使う。
駐車場に入りにくい。
高さ制限に引っかかる。
維持費が高くなる。
特にハイルーフのリフト車は、立体駐車場や屋根付き駐車場で困ることがあります。Yahoo!知恵袋でも、10人乗りリフト車やハイルーフ車について、高さ制限に注意すべきという声がありました。
もちろん、大きい車が悪いわけではありません。
問題は、「広いから安心」とだけ考えて選ぶことです。
福祉車両は、本人の快適性と介助のしやすさだけでなく、運転する人が毎日扱えるかも大切です。
後悔6:中古車で福祉装置の故障が心配になった
福祉車両は高額なので、中古車を検討する人も多いです。
中古なら新車より安く買える。
納期が短いこともある。
希望に近い車が見つかることもある。
一方で、福祉車両の中古車には、普通の中古車とは違う注意点があります。
それが、スロープ、リフト、ウインチ、固定装置、スライド昇降シートなどの福祉装置です。
福祉車両専門店の解説でも、福祉車両の機能は普通の自動車にはない特殊なもので、使用上の不注意や消耗による故障があると説明されています。
中古車を選ぶときは、エンジンや走行距離だけでなく、福祉装置の状態も確認する必要があります。
確認したいのは、次のような点です。
・スロープがスムーズに出るか
・電動ウインチが正常に動くか
・固定ベルトに劣化がないか
・リフトが途中で止まらないか
・昇降シートに異音がないか
・福祉装置の保証があるか
・故障時にどこで修理できるか
・代車やレンタカーの対応があるか
中古の福祉車両は、本体価格だけで判断しない方がいいです。
「安く買えたけど、福祉装置が壊れて使えない」では意味がありません。
後悔7:オプションや仕様をよく理解せず契約してしまった
福祉車両を選ぶときは、スロープやリフトに意識が向きます。
でも、実際には普通の車選びと同じように、グレード、駆動方式、オプション、燃費、維持費も大切です。
医療的ケア児の家族の体験談では、福祉車両を購入して外出は楽になったものの、購入後に4WDを選んでいたことに気づき、2WDより18万円ほど高かったという後悔が書かれています。
本人は4WDと2WDの意味をよく知らず、商談メモにも目を通していたつもりだったそうです。
これはかなりリアルな後悔です。
福祉車両は確認することが多いため、福祉装備ばかりに気を取られて、普通の車としての仕様確認が抜けやすいのです。
契約前には、最低限これを確認しましょう。
・2WDか4WDか
・ガソリン車かハイブリッドか
・車両本体価格
・福祉装備の追加費用
・必要なオプション
・不要なオプション
・燃費
・自動車税や保険料
・納期
・補助金や助成制度
・消費税の非課税対象になるか
商談メモは、家族で一緒に確認した方が安全です。
後悔しないために、必ずやるべきこと
福祉車両で後悔しないために、いちばん大事なのは「実際に試すこと」です。
カタログを見る。
動画を見る。
販売店で説明を聞く。
これらも大切です。
でも、それだけでは足りません。
必ず、実際の生活に近い形で確認しましょう。
1. いつもの車いすを持ち込む
展示車に置いてある車いすではなく、普段使っている車いすやバギーで試しましょう。
車いすは種類によって大きさも形も違います。
ハンドル、フットレスト、ヘッドレスト、リクライニング角度によって、乗せやすさは変わります。
2. 本人を乗せて試乗する
車いすだけが入っても意味がありません。
本人が乗った状態で、姿勢、揺れ、足元、視界、シートベルト、冷暖房を確認しましょう。
できれば短い距離だけでなく、少し長めに乗ってみるのがおすすめです。
3. 介助者が一人で操作する
販売店の人がやると簡単そうに見えます。
でも、実際に毎回やるのは家族です。
スロープを出すところから、車いす固定、シートベルト装着、スロープ収納まで、介助者が一人でやってみましょう。
4. 自宅やよく行く場所を想定する
福祉車両は、買ったあとに使う場所が決まっています。
自宅の駐車場で使えるか。
病院の駐車場で使えるか。
スーパーで乗せ降ろしできるか。
車内だけでなく、車の外のスペースも確認しましょう。
5. 中古車は福祉装置の保証まで見る
中古車の場合は、走行距離や年式だけでなく、福祉装置の状態を必ず確認しましょう。
できれば、福祉車両に詳しい販売店で買う方が安心です。
故障したときに、どこで直せるのか。
修理費はいくらくらいか。
代車はあるのか。
ここまで確認しておくと安心です。
まとめ:福祉車両選びで一番危険なのは、実際に乗って確かめないこと
福祉車両は、家族の外出を助けてくれる心強い車です。
車いすのまま乗れることで、介助者の負担が減ります。
病院や通所、買い物、旅行にも行きやすくなります。
家族にとって、移動の自由が増える大切な選択肢です。
でも、福祉車両なら何でも安心、というわけではありません。
実際の声を見ていくと、後悔の多くは次のようなところから起きています。
・自分の車いすが乗らなかった
・本人の乗り心地がつらかった
・乗せ降ろし操作が大変だった
・駐車場でスロープやリフトが使いにくかった
・大きい車を選んで普段使いに困った
・中古の福祉装置に不安があった
・オプションや仕様を見落とした
これらは、買う前に実際に試していれば気づける可能性があります。
だからこそ、福祉車両選びで一番危険なのは、実際に乗って確かめないことです。
カタログではなく、実車。
展示車ではなく、自分の車いす。
販売店の説明ではなく、本人と介助者の体感。
福祉車両は、車種名だけで選ぶものではありません。
家族の体、介助者の力、車いすの形、自宅の駐車場、よく行く病院まで含めて選ぶものです。
買ってから後悔しないために、契約前に必ず一度、実際の使い方で試してみてください。

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