家族旅行に福祉車両レンタカーという選択肢
「家族旅行に行きたいけれど、足腰が弱った親の移動が心配」「車いすの家族がいても、みんなで出かけたい」──そんなときに頼りになるのが福祉車両のレンタカーです。
この記事では、レンタル可能な福祉車両の種類や料金、取り扱うレンタカー業者の比較まで、旅行前に知っておきたい情報を網羅的にご紹介します。
安心して旅を楽しむための第一歩として、ぜひ参考にしてください。
福祉車両とは?通常の車と何が違う?
福祉車両の定義と特徴
福祉車両とは、障がい者や高齢者など移動に不自由を感じる方が、より快適に車を利用できるように設計された車両のことです。
通常の自家用車とは異なり、乗降時のサポート機能や車いすを搭載できる構造になっているのが特徴です。
車いす対応/スロープ車/回転シートなどの基本装備
福祉車両にはさまざまなタイプがありますが、代表的な装備には以下のようなものがあります:
- スロープ式:車いすのまま乗り降りができるスロープ付き
- リフト式:電動リフトで車いすを持ち上げて車内に収納
- 回転・昇降シート:座席が回転し、乗り降りをサポート
レンタルできる福祉車両の種類一覧
車いすスロープ車(軽自動車・ミニバンなど)
車いすのままスロープで乗り込めるタイプ。
軽自動車からワンボックスカーまで幅広いラインナップがあり、少人数〜中規模の家族に適しています。
リフト付き車両
電動リフトを使って車いすを持ち上げて乗車するタイプ。より大型で、多人数や重度障がいの方に適しています。
回転シート・昇降シート付き車両
助手席や2列目の座席が回転・昇降し、乗り降りがしやすい設計。足腰に不安のある高齢者に適しています。
同乗人数や収納スペースの違いにも注意
同じ福祉車両でも、同乗できる人数や荷物スペースは車種ごとに異なります。旅行時にはスーツケースや介護用品も考慮する必要があります。
主要レンタカー会社の福祉車両サービス比較
トヨタレンタリース
全国的に展開しており、スロープタイプや回転シート車など複数の福祉車両をラインナップ。
Web予約にも対応し、店舗によっては自宅への配車も可能です。
車両クラス | 車種例 | 〜6時間 | 〜12時間 | 〜24時間 | 以降1日 | 超過/時 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
W1(小型スロープ) | シエンタ | 7,000円 | 9,000円 | 12,000円 | 9,000円 | 1,500円 | 免責補償1,100円/日 |
W2(中型スロープ) | ノア | 13,000円 | 14,000円 | 19,000円 | 14,000円 | 2,000円 | 免責補償1,100円/日 |
W4(大型リフト) | ハイエース(Bタイプ) | 16,800円 | 21,600円 | 27,000円 | 18,400円 | 2,000円 | 免責補償1,100円/日 |
*すべての会社とも、店舗によって料金が違うのであくまで参考までに。
ニッポンレンタカー
一部店舗で福祉車両の取り扱いあり。地域限定のため、事前の確認が必要。回転シート車やスロープ車が中心。
クラス | 車種例 | 6時間 | 12時間 | 24時間 | 以降1日 |
---|---|---|---|---|---|
K‑AU | 軽スロープ等 | 一般 5,500円 福祉優待 4,400円 | — | — | — |
W‑BU | ミニバン等 | 一般 7,000円 福祉優待 5,600円 | 一般 8,100円 福祉優待 6,500円 | 一般 9,700円 福祉優待 7,800円 | — |
S‑SY | 中型車種 | 一般 6,490円 福祉優待 5,170円 | 一般 7,150円 福祉優待 5,720円 | 一般 8,910円 福祉優待 7,150円 | — |
W‑AY | ミニバン大 | 一般 15,400円 福祉優待 12,320円 | 一般 16,610円 福祉優待 13,310円 | 一般 22,550円 福祉優待 18,040円 | — |
【免責補償料】K‑AU・S‑SY:660円/日、W‑BU・W‑AY:1,100円/日 ※細かい追加時間・返却については直接確認を |
日産レンタカー
福祉車両の品ぞろえは多くありませんが、都市部の店舗で回転シート付き車両の貸出あり。
車種名 | 6時間 | 12時間 | 24時間 | 以降1日 |
---|---|---|---|---|
キャラバン チェアキャブ (チェアキャブシリーズ) | 会員 8,360円~ 一般 8,800円~ | 店舗問合せ | 店舗問合せ | — |
オリックスレンタカー
比較的豊富な車種を扱い、全国展開の安心感。車いすスロープ車を中心に、軽自動車からミニバンまで対応。
クラス | 車種例 | 6時間 | 12時間 | 24時間 | 以降1日 | 追加1時間 |
---|---|---|---|---|---|---|
LCS | N‑BOX, タント 等 | 7,590円 | 8,690円 | 10,890円 | 8,690円 | 1,430円 |
LCA | シエンタ, フリード | 8,690円 | 9,790円 | 11,880円 | 9,790円 | 1,650円 |
LCB | ノア, セレナ 等 | 14,080円 | 15,180円 | 20,570円 | 15,180円 | 2,200円 |
LCC | ハイエース, キャラバン 等 | 16,830円 | 21,670円 | 27,060円 | 18,370円 | 2,970円 |
※任意免責補償料:1,100円/24時間 ※消費税非課税扱い |
地方の専門業者もチェック
自治体や介護関連の地域密着型業者が、福祉車両レンタルサービスを展開していることもあります。長期レンタルや介助付きサービスを提供する事業者も。
福祉車両レンタルの料金相場と費用の目安
1日あたりの基本料金(車種別)
- 軽スロープ車:5,000~7,000円程度
- ミニバンタイプ:8,000~12,000円程度
- リフト付き大型車両:12,000~18,000円程度
※地域や時期、オプションにより変動あり
オプション装備や保険料金
- カーナビ、ETC、バックモニターなど:無料または数百円/日
- 保険(免責補償制度):1,100~2,200円/日程度
割引制度や自治体補助の可能性
障害者手帳を提示すると割引が受けられる場合があります。また、一部自治体では福祉目的の移動に対する補助制度が存在します。
福祉車両レンタル時の注意点とチェックリスト
運転資格(普通免許でOK?)
多くの福祉車両は普通自動車免許で運転可能です。ただし、リフト操作や車幅感覚などに不安がある場合は事前に確認をおすすめします。
予約方法とキャンセル規定
レンタカー会社の公式サイトまたは電話での事前予約が必要です。福祉車両は台数が限られているため、早めの予約が安心です。
キャンセル料は通常車と同様、前日までは無料〜50%、当日キャンセルは100%が多い傾向です。
使い方のレクチャーやサポート体制
受け渡し時にスタッフからスロープの使い方や車いすの固定方法をレクチャーしてもらえることが多く、初めてでも安心です。
返却時のルールとトラブル対策
ガソリン満タン返却や、返却時間の厳守は通常のレンタカーと同様です。また、車内の衛生管理(除菌)や緊急連絡先の確認も忘れずに。
福祉車両を借りて、家族旅行をもっと自由に
実際の事例紹介
例えば、伊勢志摩バリアフリーツアーセンターでは、車いすのまま乗り降りできる福祉タクシーや電動車いすの貸し出しによって、歩行が難しい方向けの観光サポートを行っています 。実際に、車いす利用者と同行者が安心して旅行を楽しんでいる事例が多数紹介されています。
家族全員が快適に移動できる喜び
「これまで移動が大変で、遠出は諦めていた」という声も多い中、福祉車両の活用で“移動=楽しみ”に変わったという例もあります。乗り降りの安心感が、旅の充実度にも直結します。

まとめ:レンタルで“移動の不安”をなくし、思い出を広げよう
家族旅行やグループのお出かけの際、「移動が不安」という理由で断念してしまうのはとてももったいないことです。福祉車両のレンタカーは、そうした不安を払拭するための強力な選択肢です。
種類や料金、サポート体制などをしっかり比較して、あなたのニーズに合った一台を選びましょう。安心・快適な移動が叶えば、旅の思い出はさらに豊かなものになります。
この記事が、あなたの素敵な旅の第一歩となれば幸いです。
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