車いす用レインコート(ポンチョ)の選び方|クッションの濡れ・蒸れ・ハンドリム対策【車いすで外出するときの便利グッズ・全3回/第1回】

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雨の日に車いすで外出するとき、一般的なレインコートを着ていれば大丈夫だと思っていないでしょうか。

介助する側でも、本人でも、経験がある人なら当たり前のことですが、車いすでは座った姿勢のまま雨に当たるため、身体だけを覆っても十分ではありません。

背中や腰、太ももを伝った雨水が座面へ流れ、車いすクッションまで濡れることがあるからです。

特にウレタンなどを使用したクッションは、一度内部まで濡れると簡単には乾きません。

外出先でクッションが濡れると、その後も湿った状態で座り続けることになり、不快なだけでなく、衣類まで濡れてしまいます。

そこで必要になるのが、身体だけではなく、膝、足元、背もたれ、座面付近までまとめて覆える車いす用の雨具です。

商品によって、

・車いす用レインコート
・車いす用レインポンチョ
・車いす用レインカバー

など呼び方が異なりますが、この記事では、車いすに座った人と座面付近をまとめて覆う「ポンチョ型」の雨具を中心に紹介します。

雨に濡れにくいことだけでなく、自走や介助の操作を妨げないこと、内側が蒸れにくいこと、濡れたハンドリムでも安全に操作できることまで考えて選びましょう。

目次

一般的なレインコートでは車いすクッションを守れない

一般的なレインコートは、着ている人の身体だけを雨から守るためのものです。

上下が分かれたセパレートタイプでも、一体型のコートでも、車いすの本体や座面までは覆いません。

車いすに座っていると、背中や腰まわりに当たった雨が下へ流れます。

さらに、膝や太ももに落ちた雨が座面へ入り込むこともあります。

介助者が傘を差してくれる場合も、頭や上半身に直接当たる雨は減らせますが、完全には防げません。

・横から吹き込む雨
・背中を伝って流れる雨
・膝や太ももから座面へ流れる雨
・タイヤや路面から跳ね上がる水

つまり、一般的なレインコートだけでは、車いすクッションの防水対策にはできません。

クッションを守るためには、身体だけでなく、背もたれの外側や座面付近まで覆える車いす用ポンチョを選ぶ必要があります。

車いす用ポンチョにも種類がある

「車いす用」と書かれていれば、どの商品でも同じように使えるわけではありません。

市販されている車いす用雨具には、大きく分けて次のような形があります。

袖のないポンチョタイプ

頭からかぶせて、上半身から膝、足元まで広く覆うタイプです。

着脱しやすく、急に雨が降り始めたときにも比較的使いやすいのが特徴です。

ただし、布が大きすぎると、後輪やハンドリムに更には地面に接触して危険なことがあります。

自走する人は、腕を動かしたときに布がタイヤへ触れないかを確認する必要があります。

袖のあるポンチョ・コートタイプ

腕を通す袖があり、上半身を動かしやすいタイプです。

車いす用雨具の中には、自走時に両腕を動かせるよう、袖を付けた製品もあります。メーカーによっては、着脱しやすいポンチョ型と、自走にも対応した袖付きタイプを分けて販売しています。

ただし、袖が長すぎたり袖口が広すぎたりすると、ハンドリムへ触れる可能性があります。

袖口をボタンなどで細く調整できるかも確認しましょう。

車いす全体を広く覆うタイプ

背もたれ、座面、膝、足元まで大きく覆うタイプです。

介助式車いすや、背もたれの高い車いすには使いやすい一方で、布の面積が大きいため、風の影響を受けやすくなります。

また、大きすぎると前輪や後輪へ巻き込まれることがあります。

「大きいほど安心」と考えず、使用する車いすの寸法に合っているかを確認することが大切です。

自走式車いすで傘を使うのは基本的に難しい

手動の自走式車いすでは、自分で傘を差すのは基本的に無理です。

片手で傘を持ちながら自走するのは、まともに運転できません。

肩と頭で支えるのも風があると無理です。

傘を車いすへ固定する器具もありますが、雨が吹き込む方向に傘を向けることができませんし、巨大な傘をつけることになり周囲の人や物へ接触する可能性があります。

体に固定する補助具も同じ理由で実用的ではありません。
(見た目もあまりよくありません。笑)

手動車いすで自走する場合は、両手を自由に使える袖付きの車いす用ポンチョを基本に考えましょう。

介助式車いすでは介助者の両手を空ける

介助者が車いすを押す場合は、介助者が傘を差す方法も考えられます。

しかし、片手で傘を持つと、車いすを両手で押せなくなります。

濡れた路面、段差、傾斜路では、とっさに車いすの方向や速度を調整できるよう、介助者も両手を空けておくほうが安全です。

利用者には車いす用ポンチョを使用し、介助者自身もレインウェアを着る方法が基本になります。

また、利用者が一般的なレインコートを着て、介助者が傘を差したとしても、車いすクッションまで覆えなければ、座面への雨の侵入は防ぎ切れません。

介助式車いすで使うポンチョは、次の部分を確認しましょう。

・押し手をポンチョの外へ出せる
・介助ブレーキを握れる
・介助者の手元が見える
・背もたれ側から雨が入りにくい
・介助者の足元へ布が垂れない

車いすで特に濡れやすい場所

車いすでは、立っている人とは雨の当たり方が異なります。

ポンチョを購入する前に、どこまで覆う必要があるのか確認しておきましょう。

背中から座面

車いすクッションを濡らさないために、特に重要な部分です。

前側だけを長く覆うポンチョでも、背もたれ側が短ければ、水が座面へ入り込みます。

背中側の布を背もたれの外へかぶせられるか、押し手付近に大きな隙間ができないかを確認しましょう。

膝と太もも

座った姿勢では膝が前に出ているため、雨を受けやすくなります。

膝の上に落ちた水が太もも側へ流れると、ポンチョの内側や座面へ入り込むことがあります。

膝から足元へ水が流れるようになっているかも確認したいポイントです。

足先とフットサポート

足先は、上から降る雨だけでなく、前輪から跳ね上がる水にもさらされます。

足元まで十分な長さがあることに加え、風でめくれないよう固定できることが重要です。

ただし、布をフットサポートの下まで垂らしてしまうと、キャスターや地面へ接触する可能性があります。

足先を覆いながら、前輪へ近づかない位置で固定できるものを選びましょう。

腕と手

自走する場合は、腕を大きく動かしてハンドリムを操作します。

腕を前後へ動かしてもポンチョが引っ張られないか、袖や横側の布がハンドリムへ触れないかを確認します。

濡れたハンドリムは「こぎにくい」だけではない

雨の日の手動車いすで、特に注意したいのがハンドリムです。

ハンドリムが濡れると、手との間に水が入り、力を伝えにくくなります。

問題は、前へ進みにくくなることだけではありません。

手動車いすでは、ハンドリムを握ったり、手のひらで押さえたりして速度を調整します。

そのため、ハンドリムが滑ると十分に減速できず、下り坂や傾斜路で速度が上がってしまう危険があります。

車いすの取扱説明書にも、水分が付いたハンドリムは滑りやすくなり、速度調整ができず、事故や転倒につながるおそれがあると記載されています。

濡れたハンドリムへの対処法

安全な場所で停止して水分を拭く

ハンドリムが滑ると感じたら、走行しながら拭こうとせず、屋根のある平らな場所で停止します。

乾いたタオルで、

・左右のハンドリム
・手のひら
・車いす用グローブ

の水分を拭き取ってから再出発します。

ただし、すぐに手のひらが濡れる場合は、膝の上にタオルを乗せ、何度も拭くようにします。

雨の日に使いやすい車いす用グローブを検討する

雨や手汗に対応した素材を使用した車いす用グローブもあります。

ただし、グリップ力が強ければ強いほど操作しやすいとは限りません。

ハンドリムを強く握ったときは滑りにくく、手を軽く添えたときには適度に滑らせられるほうが、速度や方向を調整しやすい人もいます。

特に、普段は素手でハンドリムを滑らせながら減速している人の場合、グリップ力が強すぎる手袋では、いつもの操作感と大きく変わることがあります。

購入したグローブは、いきなり坂道で使用せず、平らで安全な場所で次の操作を試しましょう。

・前進しやすいか
・左右へ方向転換できるか
・ゆっくり減速できるか
・手袋の中で手がずれないか
・濡れた状態でも力加減を調整できるか

雨の日に向いた車いす用グローブについては、第3回の便利グッズ紹介で取り上げます。

急な坂道や長い下り坂を避ける

濡れたハンドリムでは、上り坂で力を伝えにくくなります。

下り坂では、ハンドリムを押さえても十分に減速できない可能性があります。

雨の日は、普段通っている道でも同じように操作できるとは限りません。

遠回りになっても傾斜の緩い道を選び、不安を感じた場合は介助を頼むことも必要です。

ポンチョの布をハンドリムへ近づけない

ポンチョの横側や袖口がハンドリムへ触れると、布が濡れるだけでなく、手とハンドリムの間へ挟まる可能性があります。

ポンチョを着た状態で実際に腕を動かし、

・腕を前へ伸ばす
・ハンドリムの上側を握る
・後ろ側まで手を引く
・左右へ方向転換する

という操作を確認しましょう。

車いす用ポンチョの蒸れを減らす方法

ポンチョは広い範囲を覆うため、雨が入りにくい一方で、内側に熱や湿気がこもることがあります。

特に梅雨や夏場は、雨が降っていても気温と湿度が高くなります。

厚生労働省も、高温多湿の環境では、涼しい場所を選び、体調の変化に注意しながら、早めに水分を補給するよう案内しています。

通気口があるものを選ぶ

背中側や脇部分に通気口があるポンチョは、密閉されたものより熱を逃がしやすくなります。

ただし、通気口が背もたれやクッションで完全にふさがれてしまう場合もあります。

実際に車いすへ装着した状態で、通気口の位置を確認しましょう。

屋内では早めにポンチョを外す

駅、店舗、病院などへ入った後もポンチョを着たままにすると、内側に熱がこもります。

屋根のある場所へ入ったら、できるだけ早くポンチョを外しましょう。

濡れたポンチョを入れるための大きめの袋を用意しておくと、バッグや床を濡らさずに収納できます。

衣類を着込みすぎない

雨の日は肌寒く感じるため、厚着をしやすくなります。

しかし、防水素材のポンチョは風を通しにくいため、移動中に暑くなることがあります。

脱ぎ着しやすい服を重ね、温度に合わせて調整できるようにしましょう。

利用者の体調をこまめに確認する

自分で暑さや体調の変化を伝えにくい人の場合は、介助者が次の様子を確認します。

・顔が赤くなっていないか
・汗を多くかいていないか
・呼吸が苦しそうではないか
・衣類が汗で濡れていないか
・水分を取れているか

ポンチョの外側が涼しく感じても、内側が同じ温度とは限りません。

車いす用ポンチョを選ぶ10のチェックポイント

商品を購入する前に、次の項目を確認しましょう。

1.背もたれの外側まで覆えるか

身体の背中側だけではなく、背もたれの外側へ布をかけられるかを確認します。

2.座面とクッションの横まで覆えるか

腰まわりに隙間があると、雨水が座面へ入り込みます。

3.膝から足先まで長さがあるか

膝だけでなく、靴やフットサポート付近まで覆える長さが必要です。

4.裾を安全な位置で固定できるか

風でめくれず、タイヤやキャスターへ近づかない位置で固定できるものを選びます。

5.自走時に両腕を動かせるか

袖の有無だけでなく、肩や腕を前後へ動かせる余裕を確認します。

6.ハンドリムへ布が触れないか

実際にハンドリムを回したときに、袖口や横布を巻き込まないか確認します。

7.介助者が押し手とブレーキを操作できるか

介助式では、押し手や介助ブレーキの周辺に布が重ならないことが重要です。

8.フードをかぶっても左右が見えるか

フードが深すぎると、交差点や人混みで左右を確認しにくくなります。

9.反射材が付いているか

雨の日は周囲が暗くなり、自動車や自転車から見えにくくなります。

車いす用ポンチョの中には、肩や横側に反射材を付けた製品や、持ち運び用の収納袋が付属する製品があります。

10.使用後に乾かしやすいか

濡れたまま収納すると、臭いやカビ、素材の劣化につながります。

自宅で広げて乾かせる大きさか、裏側の水分を拭き取りやすい素材かも確認しましょう。

背もたれの高い車いすはサイズ確認が重要

一般的な車いす用ポンチョの多くは、標準的な車いすを想定して作られています。

そのため、次のような車いすではサイズが合わない可能性があります。

・ティルト式車いす
・リクライニング式車いす
・ヘッドサポート付き車いす
・姿勢保持装置付き車いす
・障害児用バギー
・大型の電動車いす

購入前に測りたいのは、次の部分です。

・頭から足先までの長さ
・背もたれの高さ
・車いすの横幅
・座面からフットサポートまでの長さ
・押し手を含む背面の形
・ティルトやリクライニングを使用したときの全長

商品ページに「フリーサイズ」と書かれていても、すべての車いすへ対応できるとは限りません。

車いすの寸法だけでなく、実際に座っている姿勢も含めて確認しましょう。

失敗しやすい車いす用ポンチョの選び方

大きければ安心だと思って選ぶ

布が大きすぎると、タイヤやキャスターへ近づき、巻き込みの危険が高くなります。

必要な部分を覆いながら、余った布を固定できるものを選びましょう。

防水性能だけで選ぶ

防水性が高くても、自走できない、介助ブレーキを握れない、視界が狭くなるものでは安全に使えません。

操作性と通気性も重要です。

自走用と介助用を区別せず選ぶ

自走する人には腕の動かしやすさが必要です。

介助式では、押し手とブレーキを確実に操作できる必要があります。

誰が車いすを操作するのかを先に決めましょう。

車いすクッションの位置を確認しない

前側が長くても、腰や背中側に隙間があれば、クッションへ雨が流れ込みます。

ポンチョを購入するときは、足元だけでなく、座面と背もたれ側の形を確認することが大切です。

出発前に確認したい安全チェック

ポンチョを装着したら、平らで安全な場所で次の項目を確認しましょう。

□ 後輪やキャスターに布が触れていない
□ 左右へ曲がっても裾が巻き込まれない
□ ハンドリムを普段どおり操作できる
□ 手や腕を十分に動かせる
□ 介助者が押し手を握れる
□ 介助ブレーキを操作できる
□ 足がフットサポートから落ちていない
□ 顔まわりの視界が確保されている
□ 首元が締まりすぎていない
□ 背中や腰から雨が入りにくい
□ クッションの横まで覆えている
□ 内側が暑くなりすぎていない

停止した状態で問題がなくても、走行中の風や腕の動きによって、ポンチョの位置がずれることがあります。

外出中も、ときどき足元や後輪周辺を確認しましょう。

まとめ|クッションを守り、安全に進み止まれるポンチョを選ぶ

車いすで雨の日に外出するとき、一般的なレインコートだけでは、車いすクッションまで十分に守れません。

背中や腰、膝を伝った雨水が座面へ流れるため、身体だけでなく、背もたれや座面付近まで覆える車いす用ポンチョが必要です。

選ぶときは、次の点を確認しましょう。

・背中とクッションの横まで覆える
・膝から足先まで守れる
・裾がタイヤやキャスターへ近づかない
・自走時に両腕とハンドリムを操作できる
・介助者が押し手とブレーキを操作できる
・フードをかぶっても視界を確保できる
・通気性があり蒸れにくい
・使用後に乾かしやすい

特に自走式車いすでは、濡れたハンドリムが滑り、十分に減速できなくなる危険があります。

タオルや雨天時に使いやすい車いす用グローブを準備し、急な坂道や長い下り坂は避けましょう。

また、グローブは単に滑り止めが強いものではなく、自分が普段行っているハンドリム操作に近い感覚で使えるものを選ぶことが大切です。

第3回では、車いす用レインポンチョ、雨天時に使いやすいグローブ、防水クッションカバーなど、車いすでの外出をラクにする便利グッズをまとめて紹介します。

※使用できる雨具や安全な操作方法は、車いすの種類や身体状況によって異なります。車いすと雨具の取扱説明書を確認し、初めて使用する場合は平らで安全な場所で操作を試してください。

車いすで外出するときの便利グッズ【全3回】

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この記事を書いた人

やんち
出歩くのが好きなやんちが、外出が困難な方に役立つ色んな情報を発信しています。

仕事:技士をしていましたが現在事務職です。車いすユーザーです。
   手動装置のクルマと電車で通勤してます。
趣味:テニスと英語と美術館巡り
特技:ラジオドラマ脚本は5分番組から1時間番組まで多数放送化されました。
資格:福祉車両取扱士

関西を中心に出来る限り実体験ベースで検証記事を書いています。

Xでは日常で気づいたことを書いています。

Substackでは「やんち」名義で、テーマを深掘りしています。

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