外出先で急にトイレへ行きたくなり、汗をかきながら必死に探した経験はないでしょうか。
一般のトイレを利用できる人でも焦るのですから、車いす対応トイレやバリアフリートイレしか使えない人にとっては、さらに大きな問題です。
ようやくトイレを見つけても、
「使用中だった」
「物置のようになっていた」
「車いすでは入れなかった」
ということもあります。
トイレの心配があると、外出そのものを諦めたくなります。
そこで選択肢の一つになるのが、大人用紙おむつや尿取りパッドを、外出時の備えとして使うことです。
最初は、かなり抵抗があると思います。
「まだ元気なのに、紙おむつなんて……」
僕も、その気持ちはよく分かります。
しかし、大人用紙おむつは、トイレへ行くことをやめるためのものではありません。
トイレへ間に合わないかもしれないという不安を減らし、外出の自由を守るための保険です。
紙おむつの中で実際に用を足さなかったとしても、
「最悪の場合でも何とかなる」
と思えるだけで、トイレを探すときの焦りはかなり違います。
この記事では、外出時に使いやすい大人用紙おむつの選び方、車いす利用者が注意したいこと、持ち歩く交換用品、外出先での交換・処分方法を紹介します。
大人用紙おむつは「最後の手段」ではなく外出の備え
紙おむつと聞くと、寝たきりの人や常に介護が必要な人が使うもの、という印象があるかもしれません。
しかし、実際にはさまざまな種類があります。
- 普通の下着に近い薄型パンツ
- 自分で上げ下げしやすい紙パンツ
- 下着に取り付ける尿取りパッド
- 長時間用の吸収量が多いタイプ
- 横になった状態で交換しやすいテープ式
外出中のトイレ不安を減らす目的なら、毎日使う必要はありません。
次のような日だけ使う方法もあります。
- 長時間電車や車に乗る日
- イベントや観光地へ行く日
- 車いす対応トイレが少ない場所へ行く日
- 渋滞が予想される日
- トイレへ移動するのに時間がかかる日
- 体調が不安定な日
- 介助者がすぐに対応できない日
「紙おむつを使う=排泄を諦める」ではありません。
必要な日だけ使える、外出用品の一つとして考えてみてください。
僕が一番伝えたいのは「必要になる前に準備すること」
外出先で本当に困ってから、初めて大人用紙おむつを買うのでは遅いことがあります。
サイズが合わなかったり、思ったより上げ下げしにくかったり、車いすに座ると隙間ができたりするからです。
また、初めて履いた状態で長時間出かけると、蒸れや締めつけが気になることもあります。
僕が一番伝えたいコツは、
必要になる前に使い始めることです。
ここでいう「使い始める」とは、無理に紙おむつの中で排泄するという意味ではありません。
まずは自宅で履いて、次のことを確認します。
- 自分一人で履けるか
- 車いすに座っても苦しくないか
- 脚の付け根に隙間ができないか
- 服の上から目立ちすぎないか
- トイレで上げ下げできるか
- 破らずに脱げるか
- 使用後にまとめられるか
短時間の外出から試し、問題がなければ少しずつ使用時間を延ばしましょう。
ぶっつけ本番は、紙おむつ界でもおすすめしません。
尿漏れが続く場合は、紙おむつだけで済ませない
大人用紙おむつは便利な備えですが、尿漏れの原因を治すものではありません。
尿失禁には複数の原因があり、状態に応じた治療や対処法があります。尿漏れが続く場合は、年齢や障がいのせいだと決めつけず、泌尿器科へ相談しましょう。
特に、次のような症状がある場合は受診を検討してください。
- 急に尿漏れが始まった
- 尿を出しにくい
- 尿が残っている感じがする
- 排尿時に痛みがある
- 血尿が出た
- 発熱を伴う
- 尿漏れが急に増えた
排尿困難、残尿感、血尿、痛みなどを伴う場合は、医療機関への受診が勧められています。
紙おむつを使いながら、必要な診察や治療を受けることは両立できます。
外出時に使う大人用紙おむつの種類
大人用紙おむつは、大きく分けると「尿取りパッド」「パンツタイプ」「テープ式タイプ」があります。
尿取りパッド
普通の下着や専用の紙パンツへ取り付けて使用します。
少量の尿漏れが中心で、自分でトイレへ行ける人には使いやすい選択肢です。
パッドだけを交換できるため、外出先で紙パンツ全体を脱がなくて済む場合があります。
ただし、下着との相性が悪いとズレることがあります。
普通の生理用品ではなく、尿を吸収するために作られた尿漏れ専用品を使いましょう。
パンツタイプ
普通の下着のように、足を通して履くタイプです。
立った状態、座った状態、手すりにつかまった状態などで、自分または介助者が上げ下げできる人に向いています。
外出用としては、薄型から長時間用まであります。
「パンツタイプだから外出向け」とは限らず、身体の動きや交換方法に合うかを確認する必要があります。
テープ式タイプ
両脇のテープで固定するタイプです。
横になった状態で交換しやすく、自分で立ったり腰を上げたりすることが難しい人に向いています。
介助者が交換する場合には使いやすいことがありますが、外出先に横になれる大型ベッドがなければ、交換が難しくなります。
大人用紙おむつは、身体の状態と主な排泄場所に合わせて選びます。メーカーの公式案内でも、生活状況に応じてパンツタイプまたはテープ式を選び、排尿量や交換回数に合わせて尿取りパッドを組み合わせる方法が紹介されています。
外出用紙おむつの選び方
自分で交換できるタイプを選ぶ
吸収量だけでなく、外出先で交換できるかを考えます。
自宅では家族に手伝ってもらえても、外出先では同じ姿勢や介助方法を取れないことがあります。
次の動作を実際に試してください。
- ズボンを下ろす
- 紙パンツやパッドを外す
- 新しいものに交換する
- ズボンを上げる
- 使用済みのおむつをまとめる
交換が難しい場合は、介助者と手順を決めておきましょう。
サイズは表示だけで決めない
大きすぎると脚まわりに隙間ができ、小さすぎると食い込みや痛みの原因になります。
パンツタイプはウエストまわり、テープ式はヒップまわりを基準に選ぶのが一般的です。
ただし、同じサイズ表示でもメーカーや商品によって形が異なります。
最初から大容量パックを買わず、少量パックやサンプルで試すほうが安心です。
吸収量は外出時間と交換回数で決める
商品には「2回分」「4回分」などの吸収量の目安が表示されています。
数値が大きいほど安心とは限りません。
吸収量が多い製品は厚くなりやすく、蒸れや動きにくさを感じることがあります。
次の条件から選びましょう。
- 外出時間
- 普段の排尿量
- トイレへ行ける回数
- 交換できる場所
- 飲み物を取る量
- 車や電車での移動時間
なお、トイレが心配だからといって、水分を極端に控えるのは避けましょう。
脚まわりと背中側のフィットを確認する
パンツタイプは、腰側と背中側までしっかり引き上げます。
脚まわりがたるんだり、背中側が下がったりすると、漏れやズレにつながります。
尿取りパッドを併用する場合は、紙パンツの漏れ防止ギャザーを内側へ押し込まないよう注意します。
車いす利用者は「薄型だから安心」とは限らない
外出時は、服の上から目立ちにくい薄型を選びたくなります。
しかし、車いす利用者の場合は注意が必要です。
車いすに座ると、お尻と紙おむつが座面へ長時間密着します。
僕の経験では、立っているときには問題がなくても、座った姿勢になると紙パンツがずれたり、吸収部分が押された状態になったりすることがあります。
特に尿量が多い場合、薄型だけでは不安が残ります。
車いすで使用する場合は、実際に座った状態で次の点を確認しましょう。
- 脚の付け根に隙間ができないか
- 背中側が下がっていないか
- 股部分が強く食い込まないか
- 座面と擦れて痛くならないか
- 姿勢保持ベルトを締めても苦しくないか
- 長時間座っても蒸れすぎないか
- パッドがずれていないか
服の上から見えにくいことも大切ですが、まず漏れないこと、痛くないことを優先してください。
紙おむつを履いていると周囲に気づかれる?
初めて使うときに気になるのが、
「外から見て、紙おむつだと分からないだろうか」
ということです。
目立ちにくくするには、次の方法があります。
- 身体に合ったサイズを選ぶ
- 必要以上に厚いタイプを選ばない
- 尿取りパッドを何枚も重ねない
- ゆったりしたズボンを履く
- 長めの上着を選ぶ
- 自宅で鏡を使って後ろ姿も確認する
ただし、目立たないことを優先して吸収量が不足すると、漏れの心配が増えます。
見た目と安心感のバランスを考えましょう。
実際には、周囲の人は自分が思うほど他人の下着を見ていません。
そこは、少し図太くいきましょう。
外出時に持っていきたい交換セット
紙おむつを履いて出かける場合は、交換用品をまとめたポーチを用意します。
基本の持ち物
- 交換用の紙パンツまたはパッド
- 防臭袋または中身が見えないポリ袋
- おしり拭きや清拭用品
- ティッシュ
- 使い捨て手袋
- 小さなタオル
- 着替え用の下着
- 必要に応じてズボン
- 汚れた衣類を入れる袋
外出時間が長い日は、交換用を1枚だけでなく、余分に持っておくと安心です。
紙パンツはかさばるため、軽く折りたたみ、防臭袋と一緒に一組ずつ分けておくと交換しやすくなります。
ただし、強く圧縮したまま長期間保管すると形が崩れることがあるため、旅行用の圧縮袋へ入れっぱなしにはしないほうがよいでしょう。
外出前にトイレと交換場所を調べる
紙おむつを使っていても、トイレの確認は必要です。
交換するには、身体の状態に合った設備が必要だからです。
事前に確認したいのは次の点です。
- 車いす対応トイレの場所
- 大型ベッドの有無
- フィッティングボードの有無
- 介助者と一緒に入れる広さ
- オストメイト設備の有無
- 使用済みおむつを処分できるか
- トイレまで段差なく移動できるか
「バリアフリートイレあり」と書かれていても、大人が横になれるベッドがあるとは限りません。
テープ式のおむつを使用する方や、横にならなければ交換できない方は、施設へ直接問い合わせるほうが確実です。
外出先での交換方法
パンツタイプは両脇を破って外せる
多くのパンツタイプは、交換するときに両脇を破って外せます。
靴やズボンを完全に脱がずに済むため、外出先での交換に便利です。
ただし、新しい紙パンツを履くときは足を通す必要があります。
立位を取れない場合や、ズボンを完全に脱げない場合は、交換方法をあらかじめ練習しておきましょう。
使用後は小さくまとめる
使用済みの紙パンツは、汚れた部分を内側にして丸めます。
処理用テープが付いている商品は、テープで固定します。
その後、防臭袋やポリ袋へ入れて口をしっかり閉じます。
皮膚を強くこすらない
排尿や排便後の皮膚は湿っており、強くこすると傷つきやすくなります。
日本創傷・オストミー・失禁管理学会は、排泄後の皮膚をこすらず、軽く押さえるように拭くことや、必要に応じて弱酸性洗浄剤で洗う方法を案内しています。
赤み、ただれ、痛みが続く場合は、医師や皮膚・排泄ケアに詳しい看護師へ相談してください。
使用済み紙おむつは勝手にトイレのごみ箱へ捨てない
外出先の汚物入れが、成人用紙おむつに対応しているとは限りません。
小さなサニタリーボックスへ無理に押し込むのは避けましょう。
処分方法が表示されていない場合は、施設スタッフへ確認します。
施設で処分できない場合は、防臭袋へ入れて持ち帰ります。
自宅での分別方法は、住んでいる自治体のルールに従ってください。
例えば大阪市では、汚物を取り除き、臭気が漏れないようポリ袋などに包んだ紙おむつを普通ごみとして出すよう案内しています。
排便があった場合は、可能な範囲で便をトイレへ流し、紙おむつ自体は流さないでください。
実際に紙おむつで用を足すのは意外に難しい
紙おむつを履いていても、いざその中で排泄しようとすると、思った以上に心理的な抵抗があります。
長い間、
「排泄はトイレでするもの」
と身体も頭も覚えているからです。
そのため、紙おむつを履いていれば、いつでも簡単に用を足せるとは限りません。
しかし、それで問題ありません。
紙おむつは、必ず中で排泄しなければならないものではありません。
トイレへ間に合えば、普段どおりトイレを使えばよいのです。
本当に間に合わなかったときに、服や車いすまで汚れるのを防ぐ。
その安心感が、紙おむつを使う大きな意味です。
大人用紙おむつはどこで買える?
大人用紙おむつは、次の場所で購入できます。
- ドラッグストア
- スーパー
- ホームセンター
- 介護用品店
- 病院や薬局
- 通販サイト
店頭で購入する場合、大きな袋はかさばります。
車いすで持ち帰るのが難しい場合や、人目が気になる場合は、通販が便利です。
初めて購入するときは、大容量パックより、少量パックや試供品を探しましょう。
自分に合う商品が分かってから、まとめ買いするほうが失敗を減らせます。
メーカー名だけで選ぶのではなく、サイズ、吸収量、交換方法、肌との相性で判断してください。
大人用紙おむつを使う前のチェックリスト
商品選び
- 自分で交換できるタイプか
- ウエストやヒップのサイズを測ったか
- 外出時間に合う吸収量か
- 脚まわりに隙間がないか
- 座ったときに食い込まないか
- 少量パックで試したか
自宅での練習
- 自分または介助者が履かせられるか
- トイレで上げ下げできるか
- 両脇を破って外せるか
- 使用済みおむつをまとめられるか
- 車いすに長時間座っても痛くないか
- 服の上からの見え方を確認したか
外出準備
- 交換用を持ったか
- 防臭袋を持ったか
- おしり拭きや手袋を持ったか
- 着替えを持ったか
- 交換できるトイレを調べたか
- 使用済みおむつの処分方法を確認したか
まとめ|紙おむつは外出を諦めないための保険
大人用紙おむつを使うことに、抵抗を感じる人は多いと思います。
しかし、トイレに間に合うかどうかが心配で外出を諦めてしまうなら、一度試してみる価値はあります。
大人用紙おむつは、トイレへ行かなくなるためのものではありません。
- トイレを探す焦りを減らす
- 長時間の移動に備える
- 車いす対応トイレが見つからないときに備える
- 服や車いすが汚れるのを防ぐ
- 外出を続ける自信を持つ
そのための道具です。
大切なのは、本当に困る前に、自分に合った商品と交換方法を確認しておくことです。
必要な日だけ使っても構いません。
中で一度も排泄せずに帰宅しても構いません。
それでも、
「今日は紙おむつを履いているから、最悪の場合でも何とかなる」
と思えたなら、十分に役目を果たしています。
紙おむつを履くことで外出できるなら、僕は履いたほうがいいと思います。
恥ずかしさより、自由を優先しましょう。

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