通院送迎が楽になる車選び|高齢の親・車いす家族を自家用車で送るなら

高齢の親や車いすを使う家族を、自家用車で病院まで送っている。

そんな家庭では、通院のたびに小さな負担が積み重なっていきます。

「車いすを積むのが毎回大変」
「病院の駐車場で乗り降りに時間がかかる」
「雨の日の通院がつらい」
「診察後、本人が疲れていて車に乗せるのが大変」
「まだ何とかできているけど、この先も続けられるか不安」

このような悩みは、決して珍しいものではありません。

通院は、旅行やレジャーのような特別なお出かけではありません。
何度も繰り返される、生活の一部です。

だからこそ、車選びを間違えると、本人だけでなく、送迎する家族にも大きな負担がかかります。

この記事では、高齢の親や車いす家族を自家用車で通院送迎する場合に、どんな車を選べば負担を減らせるのかを解説します。

目次

通院送迎は「乗れればいい」だけでは続かない

通院送迎で見落としやすいのが、行きと帰りで本人の状態が変わることです。

行きは何とか車に乗れても、診察後は疲れて足が上がらない。
検査や待ち時間でぐったりして、車に乗り込むだけでも一苦労。
薬の影響や体調によって、いつもよりふらつくこともあります。

そのため、車選びでは「元気な日に乗れるか」だけで判断しないことが大切です。

本当に考えるべきなのは、

「疲れている日でも乗れるか」
「雨の日でも介助しやすいか」
「介助する家族が腰を痛めずに続けられるか」

という視点です。

通院送迎は一度きりではありません。
毎月、毎週、ときには何年も続くことがあります。

だからこそ、無理なく続けられる車を選ぶことが、本人と家族の両方を守ることにつながります。

通院送迎で大変になりやすい場面

病院の駐車場で乗り降りしにくい

病院の駐車場は、いつも広いとは限りません。

隣の車との間隔が狭い。
入口から遠い場所しか空いていない。
混雑していて、後ろの車を気にしながら乗り降りしなければならない。

そんな場面では、普通のヒンジドアだと大きく開けにくく、介助もしづらくなります。

高齢の親や車いす家族の通院送迎では、スライドドアの車がかなり便利です。

スライドドアなら、狭い駐車場でもドアを開けやすく、介助者が横に立って支えやすくなります。
本人も焦らず乗り降りしやすくなるため、通院時のストレスを減らせます。

車いすの積み下ろしが毎回つらい

車いすを使っている家族の場合、通院のたびに車いすを積み下ろしする必要があります。

たたんで、持ち上げて、荷室に入れる。
病院に着いたら、また降ろす。
帰るときにも同じ作業を繰り返す。

これを毎回やるのは、想像以上に大変です。

特に介助する家族が高齢だったり、腰や肩に不安があったりする場合、車いすの積み下ろしは大きな負担になります。

車いすを「積める」ことと、「楽に積める」ことは違います。

荷室の高さ、開口部の広さ、車いすを入れる向き、持ち上げる重さ。
こうした部分まで確認しておかないと、買ったあとに「毎回しんどい」と感じることになります。

雨の日や暑い日の通院がつらい

通院は天気を選べません。

雨の日でも、暑い日でも、寒い日でも、予約があれば病院へ行く必要があります。

雨の日に車いすを出して、本人を支えて、荷物を持って、傘も気にする。
この状況で車の乗り降りに時間がかかると、本人も介助者も疲れてしまいます。

通院送迎に向いた車は、乗り降りに時間がかかりにくい車です。

ドアが開けやすい。
座席に移りやすい。
車いすを積みやすい。
介助者が無理な姿勢にならない。

このような車を選ぶことで、悪天候の日の負担も軽くなります。

通院送迎が楽になる車選びのポイント

1. スライドドアは優先して考えたい

高齢の親や車いす家族を送迎するなら、まず候補に入れたいのがスライドドア車です。

スライドドアのメリットは、狭い場所でも開けやすいこと。
病院の駐車場や自宅の駐車スペースでも、ドアの開閉に気を使いにくくなります。

さらに、介助者が本人の横に立ちやすいため、乗り降りのサポートもしやすくなります。

特に、足腰が弱っている人の場合、車に乗るときに少し体を支えるだけでも安心感が変わります。

通院送迎では、車のかっこよさよりも、毎回の乗り降りのしやすさが大切です。

2. 座面の高さを必ず確認する

高齢の親を車に乗せるとき、座席の高さはとても重要です。

座面が低すぎると、座るときに体が沈み込み、立ち上がるときに力が必要になります。
反対に、座面が高すぎると、乗るときに足を大きく上げなければなりません。

理想は、お尻を横に移すような感覚で座れる高さです。

「足を大きく上げなくても乗れるか」
「立ち上がるときに踏ん張れるか」
「介助者が支えやすい姿勢になるか」

この3つは、実車で確認したいポイントです。

カタログだけでは分かりにくい部分なので、できれば本人と一緒に試乗して確認するのがおすすめです。

3. 車いすを積むだけか、車いすのまま乗るかを考える

車いす家族の通院送迎では、選び方が大きく2つに分かれます。

1つは、車いすから座席に移って、車いすは荷室に積む方法。
もう1つは、車いすのまま車内に乗り込む方法です。

少し歩ける、または座席への移乗ができる場合は、スライドドアの軽自動車やコンパクトミニバンでも対応しやすいです。

一方で、車いすから座席への移乗が大変になってきた場合は、スロープ付きの福祉車両も検討した方がよいでしょう。

無理に抱きかかえて乗せ続けると、介助する家族の腰や肩に負担がかかります。

「まだ何とかできる」
この言葉が出てきたときは、車選びを見直すタイミングかもしれません。

4. 荷室の広さと高さを見る

通院では、車いすだけでなく、荷物も意外と多くなります。

診察券、保険証、お薬手帳、着替え、ひざ掛け、介助用品。
場合によっては、歩行器やクッションなども必要です。

車いすを積んだら荷物がほとんど入らない。
付き添いの家族が乗るスペースが狭い。
こうなると、通院のたびに不便を感じます。

車を選ぶときは、車いすを積んだ状態で、ほかの荷物や同乗者のスペースが残るかを確認しましょう。

特に軽自動車の場合、近距離の通院には便利ですが、車いすや荷物が多い家庭ではスペースに注意が必要です。

軽自動車・コンパクトミニバン・福祉車両の違い

軽自動車は近距離通院に使いやすい

N-BOX、タント、スペーシアのようなスライドドア付きの軽自動車は、通院送迎でも使いやすい選択肢です。

小回りがきき、病院の駐車場でも扱いやすい。
維持費も抑えやすく、日常の買い物や近距離移動にも使いやすいです。

ただし、車いすを積む場合は荷室の広さに注意が必要です。

車いすを積むと、ほかの荷物を置くスペースが限られることがあります。
また、介助者や家族が複数人乗る場合、車内が窮屈に感じることもあります。

近距離通院が中心で、本人が座席に移れるなら、軽自動車は現実的な選択肢です。

コンパクトミニバンは付き添いしやすい

シエンタやフリードのようなコンパクトミニバンは、通院送迎と普段使いのバランスが取りやすい車です。

軽自動車より車内に余裕があり、車いすや荷物を積みやすい。
家族が一緒に乗る場面でも使いやすく、通院以外のお出かけにも対応しやすいです。

高齢の親の通院だけでなく、家族の買い物、外食、短距離のお出かけにも使いたい場合は、コンパクトミニバンが候補になります。

注意点としては、軽自動車より車体が大きくなるため、自宅や病院の駐車場で扱いやすいかを確認しておきましょう。

スロープ車は移乗がつらくなったときに有力

車いすから座席への移動が大変になってきた場合は、スロープ付きの福祉車両が有力です。

車いすのまま乗れるため、抱きかかえる介助を減らせます。
本人にとっても、無理に立ち上がったり、体をひねったりする負担が少なくなります。

介助者にとっても、腰への負担を減らせるのが大きなメリットです。

ただし、スロープ車は車いすのサイズや本人の姿勢によって合う・合わないがあります。
車内で頭上に余裕があるか、固定したときに窮屈ではないか、介助者が操作しやすいかを必ず確認しましょう。

福祉車両は、カタログだけで決めず、できれば実際の車いすで試すことが大切です。

通院送迎の車選びで失敗しやすい考え方

「今は乗れているから大丈夫」と考える

今は何とか乗れている。
だから、まだ普通の車で大丈夫。

そう考えたくなる気持ちは自然です。

でも、通院送迎では、本人の体調がいつも同じとは限りません。
体力が落ちる日もあれば、診察後に疲れ切ってしまう日もあります。

今できていることが、半年後、1年後も同じようにできるとは限りません。

車選びでは、今だけでなく、少し先の状態も考えておくことが大切です。

「車いすが積めるか」だけで選ぶ

車いすが荷室に入る。
それだけで安心してしまうのは危険です。

大事なのは、毎回無理なく積み下ろしできるかです。

高い位置まで持ち上げないといけない。
斜めにしないと入らない。
荷物を毎回どかさないと積めない。

こうした小さな不便は、通院のたびに家族の負担になります。

車いすを使う家庭では、「積める」ではなく「楽に積める」を基準にしましょう。

介助する家族の負担を後回しにする

車選びでは、本人の乗りやすさを優先するのは当然です。

でも、同じくらい大事なのが、介助する家族の負担です。

毎回、体を支える。
車いすを積む。
荷物を持つ。
病院の受付や会計、薬の受け取りまで付き添う。

通院送迎は、運転だけでは終わりません。

介助する家族が無理を続けると、通院そのものが大きなストレスになります。
場合によっては、腰を痛めたり、気持ちに余裕がなくなったりすることもあります。

車選びは、本人のためだけではありません。
送迎を続ける家族を守るための選択でもあります。

購入前に確認したいチェックリスト

通院送迎に使う車を選ぶときは、次の点を確認しておきましょう。

  • 病院の駐車場で扱いやすいサイズか
  • スライドドアで乗り降りしやすいか
  • 本人が足を上げやすい高さか
  • 座面が高すぎたり低すぎたりしないか
  • 介助者が横に立って支えやすいか
  • 車いすを楽に積み下ろしできるか
  • 車いすを積んでも荷物スペースが残るか
  • 雨の日でも乗り降りに時間がかかりすぎないか
  • 診察後に疲れていても乗り込めそうか
  • 将来的にスロープ車が必要になりそうか
  • 実際の車いすで確認できるか

特に大切なのは、本人が実際に乗ってみることです。

家族だけで「これなら大丈夫そう」と判断しても、本人にとっては足が上げにくい、座りにくい、怖いと感じることがあります。

通院送迎に使う車は、できるだけ実際の利用場面を想像しながら確認しましょう。

まとめ|通院送迎の車選びは「楽に続けられるか」で考える

高齢の親や車いす家族の通院送迎では、車に乗れるかどうかだけでなく、無理なく続けられるかが大切です。

病院の駐車場で乗り降りしやすいか。
車いすを毎回楽に積めるか。
雨の日でも焦らず介助できるか。
診察後に本人が疲れていても乗れるか。
介助する家族が腰を痛めずに続けられるか。

こうした視点で車を選ぶと、通院の負担は大きく変わります。

今は何とかできていても、通院はこれからも続くものです。

本人が安心して乗れること。
家族が無理なく送迎できること。
その両方を考えて車を選ぶことが、毎回の通院を少し楽にしてくれます。

通院送迎の車選びで大切なのは、特別な車を選ぶことではありません。

「この送迎を、これからも家族が無理なく続けられるか」

その視点を持つことです。

ひとりで悩まず、まず整理。

福祉車両の選び方や制度を一緒に整理します。


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この記事を書いた人

やんち
出歩くのが好きなやんちが、外出が困難な方に役立つ色んな情報を発信しています。

仕事:技士をしていましたが現在事務職です。車いすユーザーです。
   手動装置のクルマと電車で通勤してます。
趣味:テニスと英語と美術館巡り
特技:ラジオドラマ脚本は5分番組から1時間番組まで多数放送化されました。
資格:福祉車両取扱士

関西を中心に出来る限り実体験ベースで検証記事を書いています。
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