軽自動車で車いすのまま乗れる福祉車両を探すと、必ず候補に入ってくるのがダイハツ タント スローパーです。
電動ウインチとスロープを備え、車いすのまま後方から乗車できます。
ただ、タントスローパーを選ぶときに見ておきたいのは「車いすが載るか」だけではありません。
特に重要なのが、
- 車いすに座った状態で頭上に余裕があるか
- 車いすの幅・長さが収まるか
- 介助者が動きやすいか
- 普段使いでも不便にならないか
という部分です。
この記事では、2026年8月時点のダイハツ公式諸元をもとに、タントスローパーの使いやすさを検証します。
軽福祉車両をまとめて比較したい方は、軽自動車の福祉車両ランキング2026|N-BOX・タントなどを比較も参考にしてください。
タントスローパーの主要寸法
まず、車いす乗車で重要になる部分をまとめます。
| 項目 | タントスローパー |
|---|---|
| 全長 | 3,395mm |
| 全幅 | 1,475mm |
| 全高 | 1,775mm |
| 通常時の室内高 | 1,370mm |
| 車いす乗車スペース高 | 1,385mm |
| 車いす乗車スペース幅 | 700mm |
| 車いす乗車スペース長(リヤシート装着時) | 1,170mm |
| リヤシート取り外し時 | 約1,265〜1,505mm |
| 通常時乗車定員 | 4名 |
| 車いす乗車時 | 3名 |
| 駆動方式 | 2WD |
ここで特に重要なのが、車いす乗車スペース高1,385mmです。
車いす乗車時の室内高は1,385mm
タント自体の室内高は1,370mmですが、スローパーでは車いす乗車スペース高が1,385mm確保されています。
ただし、
「1,385mmあるから身長○cmまで大丈夫」
とは単純には判断できません。
見るべきなのは身長ではなく、
車いすに座った状態で、床から頭の一番高い位置まで何mmあるか
です。
同じ身長でも、
- 車いすの座面高
- 座クッションの厚さ
- 背もたれ角度
- 座位姿勢
によって頭の位置はかなり変わります。
特にリクライニング車いすや背もたれの高い車いすでは、1,385mmあっても余裕が少なくなる可能性があります。
カタログ寸法だけで決めず、普段使っている車いすに本人が座った状態で実車確認することが重要です。
車いす乗車スペース幅は700mm
車いす乗車スペース幅は700mmです。
一般的な自走式・介助式車いすなら候補に入りやすい寸法ですが、大型車いすでは注意が必要です。
車いすのカタログに書かれている「座幅」ではなく、
ハンドリムや車輪を含めた車いす全体の幅
を確認してください。
電動車いすや大型のリクライニング車いすでは、幅だけでなくフットレストや転倒防止バーの形状も影響します。
リヤシートを外すと足元スペースを広げられる
タントスローパーの車いす乗車スペース長は、リヤシート装着時で1,170mm。
さらにリヤシートを取り外すと、前席位置によって約1,265〜1,505mmまで広げられます。
これはタントスローパーの大きなメリットです。
標準的な車いすならリヤシートを残した状態でも使える可能性がありますが、
- フットレストが前に長い
- リクライニング車いす
- 大型車いす
- 足を前へ伸ばした姿勢が必要
といった場合は、リヤシートを外した状態まで含めて確認した方がいいでしょう。
電動ウインチで車いすを引き上げられる
タントスローパーには電動ウインチが装備されています。
車いす前方にベルトを接続し、ワイヤレスリモコンを操作して車内へ引き上げる仕組みです。
介助者が車いすを力いっぱい押してスロープを上る必要がないため、毎日の送迎ではかなり助かる装備です。
ただし、完全自動で車いすが乗っていくわけではありません。
介助者は車いすの向きや進行方向を確認しながら操作します。
リトラクタブルスロープは普段使いもしやすい
後部にはリトラクタブルスロープを採用しています。
スロープは引き出して車いす乗車に使い、使わないときは前方へ倒すことで荷室をフラットにできます。
つまり、
「福祉車両だから常に荷室に大きなスロープが立っている」
という作りではありません。
車いすを乗せない日は、買い物など普段の軽自動車として使いやすいのもタントスローパーの特徴です。
タント最大の強みはミラクルオープンドア
N-BOXなど他の軽スロープ車と比べたとき、タントスローパーの大きな特徴になるのがミラクルオープンドアです。
助手席側の前後ドアを開けると、センターピラーのない大きな開口部ができます。
これが福祉車両では意外と効きます。
車いすを後ろから乗せること自体には直接関係ありませんが、
- 利用者の姿勢を整える
- 横から身体を支える
- シートベルトを確認する
- 荷物や介助用品を出し入れする
- 座席への移乗を介助する
といった場面では、横から近づきやすい方が介助しやすくなります。
タントスローパーは、単純な室内サイズよりも介助者の動線を考えたときに評価しやすい車です。
N-BOXと迷っている方は、N-BOXスロープとタントスローパーはどっちがいい?軽の車いす仕様車を比較で違いを詳しく比較しています。
車いす乗車時は3人乗り
通常時の乗車定員は4人ですが、車いす乗車時は3人になります。
基本的には、
- 運転席
- 助手席
- 車いす利用者
という構成です。
家族4人で移動しながら車いす利用者も乗せたい場合などは、軽自動車では人数が足りません。
この場合はシエンタなど普通車サイズの福祉車両まで広げて考えた方がいいでしょう。
軽自動車で足りる家庭・厳しい家庭については、車いすの家族に軽自動車はきつい?N-BOX・タントスローパー・スペーシアベース・シエンタ福祉車両を比較でも詳しく解説しています。
2026年のグレードと価格
2026年8月時点のメーカー希望小売価格は次の通りです。
| グレード | 価格 |
|---|---|
| L | 1,655,000円 |
| L ターンシート仕様 | 1,755,000円 |
| X | 1,810,000円 |
| X ターンシート仕様 | 1,910,000円 |
| カスタムRS | 2,085,000円 |
※すべて2WD・CVT。価格は消費税非課税のメーカー希望小売価格です。
基本的な車いす乗車機能である、
- リトラクタブルスロープ
- 電動ウインチ
- 車いす固定ベルト
はLにも装備されています。
一方、Xには両側パワースライドドアや電動パーキングブレーキなどが加わります。
毎日の送迎や介助まで考えるなら、装備と価格のバランスではXが比較しやすいグレードでしょう。
ターンシート仕様は必要?
XとLには「ターンシート仕様」もあります。
これは助手席が外側へ回転するため、車いすから助手席へ移乗する人には便利です。
ただし、
いつも車いすのまま後方から乗車する人なら、必須ではありません。
車いすのまま乗ることが中心なのか、助手席への移乗もするのかで判断すると分かりやすいでしょう。
タントスローパーの注意点
タントスローパーにも弱点はあります。
4WDがない
現行タントスローパーは2WDのみです。
雪が多い地域で4WDが必要なら、N-BOXスロープやスペーシア車いす移動車なども比較した方がいいでしょう。
大型車いすでは室内高を確認したい
車いす乗車スペース高は1,385mmありますが、リクライニング車いすや大型車いすでは余裕が少なくなることがあります。
「車いすが入った」だけで判断せず、乗車後の頭上スペースまで確認したいところです。
後方にスロープを展開するスペースが必要
車いすは車両後方から乗り降りします。
壁際や他車との間隔が狭い駐車場ではスロープを使いにくいため、自宅駐車場や普段利用する施設の駐車環境も確認しておきましょう。
購入前に実車で確認したいポイント
タントスローパーを検討するなら、販売店には実際に使っている車いすを持って行くのがおすすめです。
確認したいのは次の5点です。
- 車いすに座った状態で頭上に十分な余裕があるか
- 車いすの車輪まで含めた全幅が問題ないか
- フットレストを含めた全長が収まるか
- シートベルト・固定ベルトを無理なく装着できるか
- 介助者自身がスロープやウインチを扱いやすいか
カタログ寸法だけでは分からないのが、本人の姿勢と車いすの形状です。
ここは実車確認が一番確実です。
まとめ|タントスローパーは「介助しやすさ」で選びたい軽福祉車両
タントスローパーは、
車いす乗車スペース高1,385mm、幅700mmを確保し、電動ウインチとリトラクタブルスロープを備えた軽福祉車両です。
さらにタント独自のミラクルオープンドアがあるため、後方から車いすを乗せるだけでなく、乗車前後の介助までしやすいのが大きな強みです。
特に向いているのは、
- 軽自動車で車いすのまま乗りたい
- 通院や送迎など近距離利用が多い
- 介助者が横から身体を支えることが多い
- 普段の買い物にも使いたい
- N-BOXより購入価格を抑えたい
という家庭です。
反対に、大型・リクライニング車いす、4人以上での乗車、4WDが必要な場合は別の車種も比較した方がいいでしょう。
最終的にはスペック表ではなく、本人+普段の車いすを実際に乗せて確認してから決める。
タントスローパーでは、ここが一番大切です。

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