家族が車いすを使っていると、車でのお出かけにはいくつかの悩みが出てきます。
「車いすは普通の車に積めるの?」
「軽自動車でも大丈夫?」
「本人は座席に移乗できるけど、車いすを積むのが毎回大変」
「どんな車なら、介助する家族の負担が少ないの?」
このように悩んでいる人は多いです。
この記事で扱うのは、車いすに乗ったまま車内へ乗り込むスロープ車ではありません。
本人が助手席や後部座席へ移乗したあと、空になった車いすを荷室や後部座席に積むケースです。
つまり、考えるべきポイントは「車いすの人が乗れる車」ではなく、移乗後の車いすをラクに積める車かどうかです。
車いすは、たたんでも意外と大きく、重さもあります。
カタログ上は積めそうに見えても、実際に毎回持ち上げるとなると、介助する家族の腰や腕にかなり負担がかかることもあります。
この記事では、車いすを積みやすい車を選ぶポイントや、軽自動車・コンパクトカー・ミニバンそれぞれの特徴、実車確認で見るべき点をわかりやすく解説します。
この記事でいう「車いすを積みやすい車」とは?
まず最初に、この記事でいう「車いすを積みやすい車」の意味を整理しておきます。
ここで想定しているのは、本人が車いすに乗ったまま車に乗り込むのではなく、車の座席へ移乗できるケースです。
たとえば、流れとしては次のようになります。
本人が車いすから助手席や後部座席へ移乗する。
そのあと、介助者が車いすをたたむ。
たたんだ車いすを荷室や後部座席へ積む。
目的地に着いたら、また車いすを下ろして本人が移乗する。
この一連の動作を、できるだけラクに行える車が「車いすを積みやすい車」です。
スロープ車とは目的が違う
スロープ車は、車いすに乗ったままスロープを使って車内に乗り込む福祉車両です。
一方で、この記事で扱うのは、本人が座席に移乗し、車いすは荷物として積む使い方です。
どちらが正解という話ではありません。
本人の身体状況、介助する家族の体力、外出頻度、車の使い方によって向いている方法が変わります。
ただし、まだ座席への移乗ができる場合は、いきなりスロープ車を選ぶ前に、普通の車で車いすを積みやすいかどうかを確認する人も多いです。
そのため、この記事ではまず「普通の車で車いすを積む場合」に絞って考えていきます。
車いすを積みやすい車を選ぶ5つのポイント
車いすを積みやすい車を選ぶときは、単純に「荷室が広いか」だけで判断しないほうがいいです。
大切なのは、介助者が無理なく積み下ろしできるかです。
ここでは、特に確認したい5つのポイントを紹介します。
1. 荷室の開口部が広い
まず大事なのが、荷室の入口の広さです。
バックドアを開けたときに、車いすをスムーズに入れられるかを確認します。
車いすは折りたたんでも、タイヤやフットレスト、ハンドグリップの部分が引っかかることがあります。
荷室の入口が狭いと、車いすを斜めにしたり、向きを変えたりしながら積む必要が出てきます。
毎回これをするのは、かなり面倒です。
特に雨の日や、病院帰りで疲れているときには、少しの引っかかりでも大きなストレスになります。
車を選ぶときは、荷室の容量だけでなく、車いすを入れる入口が広いかを確認しましょう。
2. 荷室の床が低い
次に大事なのが、荷室の床の高さです。
車いすを積むときは、車いすを持ち上げて荷室に入れる必要があります。
このとき、荷室の床が高い車だと、持ち上げる高さが増えます。
車いすそのものが軽くても、毎回持ち上げるとなると負担は大きいです。
特に介助者が女性、高齢の親、腰痛持ちの場合は、荷室の床の高さがとても重要になります。
「積めるかどうか」だけではなく、無理なく持ち上げられる高さかを見てください。
ここを甘く見ると、最初は大丈夫でも、通院や外出のたびにじわじわ負担がたまります。
腰にくるやつです。地味だけど強敵です。
3. 車いすを立てて積めるか
車いすの積み方には、横に寝かせて積む方法と、立てて積む方法があります。
横に寝かせて積む場合は、荷室の床面積が必要になります。
一方で、立てて積める車なら、荷室のスペースを効率よく使えることがあります。
特に軽スーパーハイトワゴンやミニバンのように室内高がある車では、折りたたんだ車いすを立てて積める可能性があります。
ただし、立てて積む場合は注意も必要です。
車いすが走行中に倒れないように、固定ベルトや荷物固定用の工夫が必要になります。
急ブレーキのときに車いすが動くと危険です。
「立てて積めるか」だけでなく、安全に固定できるかまで確認しましょう。
4. 後部座席を倒さずに積めるか
車いすを積むために、毎回後部座席を倒す必要がある車もあります。
一人や二人で乗るだけなら、それでも問題ないかもしれません。
しかし、家族で乗る場合は話が変わります。
後部座席を倒さないと車いすが積めない車だと、乗れる人数が減ってしまいます。
たとえば、本人、介助者、きょうだい、祖父母など、複数人で出かける家庭では、後席を使えるかどうかがかなり重要です。
車いすを積めるかだけでなく、家族全員が乗った状態で車いすも積めるかを確認しましょう。
ここは、車選びでかなり見落としやすいポイントです。
5. 介助者が一人で積めるか
最後に一番大事なのが、介助者が一人で車いすを積めるかどうかです。
カタログ上の荷室寸法を見て「入る」とわかっても、それだけでは十分ではありません。
実際には、車いすを持ち上げる人の身長、腕力、腰の状態、車いすの重さ、荷室の高さによって負担が大きく変わります。
車いすを積む作業は、外出のたびに発生します。
通院のたび。
買い物のたび。
雨の日も、暑い日も、疲れている日もあります。
だからこそ、車いすを積みやすい車を選ぶときは、スペック上で積めるかよりも、普段積む人が無理なく積めるかを重視してください。
車いすを積む方法は主に3パターン
車いすの積み方は、車の形や車いすの大きさによって変わります。
代表的な積み方は、主に3つです。
荷室に積む
もっとも一般的なのが、車いすをたたんで荷室に積む方法です。
荷室に積めれば、後部座席を人が使いやすくなります。
家族で出かける場合にも便利です。
ただし、荷室に積むには、開口部の広さ、床の高さ、奥行き、室内高が合っている必要があります。
特にコンパクトカーや軽自動車では、車いすのサイズによって積みやすさが大きく変わります。
後部座席に積む
荷室に入らない場合や、荷室が荷物でいっぱいになる場合は、後部座席に車いすを積む方法もあります。
ただし、この方法では座席が1つつぶれます。
また、車いすが車内で動かないように固定する必要があります。
シートや内装が汚れやすくなる点にも注意が必要です。
普段の乗車人数が少ない家庭なら選択肢になりますが、家族全員で乗る機会が多い場合は不便になることがあります。
後席の足元や助手席周辺に積む
小さめの折りたたみ車いすであれば、後席の足元や助手席周辺に積めるケースもあります。
ただし、これは車いすのサイズや車内の広さにかなり左右されます。
また、安全面には注意が必要です。
車いすがブレーキ時に動いたり、乗っている人の足元を圧迫したりするような積み方は避けるべきです。
あくまで、無理なく安全に積める場合の選択肢と考えましょう。
車種タイプ別|車いすを積みやすい車の特徴
ここからは、車のタイプごとに車いすの積みやすさを見ていきます。
車種名だけで判断するのではなく、自分の家族の使い方に合っているかを考えることが大切です。
軽スーパーハイトワゴン
軽自動車の中で候補になりやすいのが、N-BOX、タント、スペーシアのような軽スーパーハイトワゴンです。
このタイプは室内高があり、スライドドアで乗り降りしやすい車が多いです。
後席のアレンジもしやすく、日常使いにも向いています。
一方で、軽自動車なので荷室の奥行きには限界があります。
折りたたんだ車いすを積む場合、後席を前にスライドしたり、座席を倒したりする必要が出ることもあります。
軽自動車でも車いすを積めるケースはあります。
ただし、家族の乗車人数や車いすのサイズによっては窮屈になることがあります。
軽スーパーハイトワゴンを検討する場合は、実際に使っている車いすを持って販売店で積んでみるのが安心です。
コンパクトカー
フィット、ノート、ヤリス、アクアなどのコンパクトカーも、普段使いしやすい車として候補に入ります。
運転しやすく、燃費や維持費の面でも魅力があります。
買い物や通院など、日常の移動には使いやすいタイプです。
ただし、車いすの積みやすさという点では、車種差が大きくなります。
荷室の開口部が狭かったり、床が高かったり、荷室の高さが足りなかったりすると、車いすを積むときに苦労します。
コンパクトカーを選ぶ場合は、荷室容量だけでなく、車いすを入れるときの角度や持ち上げる高さを確認しましょう。
「数字上は入りそう」でも、実際にはタイヤやフットレストが引っかかることがあります。
コンパクトミニバン
シエンタやフリードのようなコンパクトミニバンは、車いすを積む普通車としてかなり検討しやすいタイプです。
軽自動車より荷室や車内に余裕があり、ミニバンほど大きすぎない。
スライドドアで乗り降りもしやすく、家族で使いやすいバランスがあります。
本人が座席へ移乗できる場合でも、介助者が横から支えやすいか、ドアの開口部が広いかは重要です。
コンパクトミニバンは、車いすを積むだけでなく、本人の乗り降りや家族の同乗も考えやすい車種タイプです。
「軽では少し不安。でも大きなミニバンまでは必要ない」
という家庭には、候補になりやすいでしょう。
ミニバン
ノア、ヴォクシー、セレナ、ステップワゴンなどのミニバンは、積載力に余裕があります。
車いすだけでなく、買い物の荷物、旅行バッグ、介助用品なども一緒に積みやすいです。
家族での外出が多い家庭には安心感があります。
一方で、車体が大きくなるため、運転しやすさや駐車のしやすさも考える必要があります。
また、価格や維持費も軽自動車やコンパクトカーより高くなりやすいです。
車いすの積載だけを考えると有力ですが、普段使う人が運転しやすいかどうかも大切です。
軽自動車でも車いすは積める?
「車いすは軽自動車にも積めるの?」という疑問を持つ人は多いです。
結論から言うと、積めるケースはあります。
ただし、車いすのサイズ、重さ、積み方、乗車人数によって変わります。
特に軽スーパーハイトワゴンは、室内高があるため候補になりやすいです。
ただし、荷室の奥行きには限界があるため、後席をスライドしたり倒したりしないと積みにくい場合があります。
家族で乗る人数が多い場合や、大きめの車いすを使っている場合は、軽自動車だと余裕が少なく感じるかもしれません。
軽自動車を検討する場合は、次の3つを必ず確認してください。
| 確認すること | 見るポイント |
|---|---|
| 車いすの折りたたみサイズ | 幅・高さ・奥行きが荷室に合うか |
| 車いすの重さ | 介助者が一人で持ち上げられるか |
| 乗車人数 | 後席を倒しても家族が乗れるか |
軽自動車は維持費が安く、運転しやすいメリットがあります。
ただし、車いすを積む前提なら「入るか」だけでなく「毎回ラクに積めるか」を見て選びましょう。
車いすを積むときに見落としやすい注意点
車いすを積める車を選ぶとき、意外と見落としやすいポイントがあります。
実際の生活では、こういう小さな不便が積み重なって、外出の負担になりやすいです。
車いすは意外と重い
車いすは、折りたためばコンパクトになります。
でも、軽い荷物になるわけではありません。
自走式の車いすは大きなタイヤがあり、持ち上げるときにバランスを崩しやすいこともあります。
介助式の車いすでも、毎回持ち上げるとなると負担はあります。
「1回なら持てる」ではなく、外出のたびに何度も持てるかを考えることが大切です。
タイヤで荷室が汚れやすい
車いすは外で使うものなので、タイヤが汚れます。
雨の日、病院の駐車場、砂利道、公園などを通ると、タイヤに泥や水分がつきます。
そのまま荷室に積むと、車内が汚れやすくなります。
防水マットや荷室マットを敷いておくと、掃除がラクになります。
車いすを積む前提なら、車内の汚れ対策も考えておきましょう。
車内で車いすが動かないようにする
車いすを積んだあと、走行中に動かないようにすることも大切です。
急ブレーキやカーブのときに車いすが倒れたり、滑ったりすると危険です。
荷室に積む場合でも、後部座席に積む場合でも、固定ベルトや荷物固定用のフックを使うなど、安全に固定できる方法を考えておきましょう。
車いすは「荷物」ではありますが、動くと危ない大きな荷物です。
介助者の腰への負担
車いすを積む作業で一番心配なのが、介助者の腰への負担です。
車いすを持ち上げる。
向きを変える。
荷室に押し込む。
目的地でまた下ろす。
この動作を何度もくり返すと、腰や肩に負担がかかります。
本人のために頑張っている家族ほど、自分の負担を後回しにしがちです。
でも、介助者が無理をし続けると、外出そのものが続けにくくなります。
車選びでは、本人の乗りやすさと同じくらい、介助する家族の体を守れるかも大切です。
車選びで必ず確認したいチェックリスト
車いすを積む前提で車を選ぶなら、販売店で次の項目を確認しましょう。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 車いすの折りたたみサイズ | 幅・高さ・奥行きが車に合うか |
| 車いすの重さ | 普段積む人が一人で持てるか |
| 荷室の開口部 | 斜めにせず入れやすいか |
| 荷室の床の高さ | 持ち上げる負担が少ないか |
| 荷室の奥行き | 後席を倒さず積めるか |
| 室内高 | 車いすを立てて積めるか |
| 後席の使いやすさ | 家族全員が乗れるか |
| スライドドアの有無 | 移乗や乗り降りがしやすいか |
| 雨の日の積み下ろし | すばやく積めるか |
| 固定方法 | 走行中に車いすが動かないか |
| 汚れ対策 | 荷室マットや防水シートを使えるか |
このチェックリストを見ながら確認すると、単に「車いすが入る車」ではなく、実際の生活で使いやすい車を選びやすくなります。
おすすめは「実車で車いすを積んで確認する」こと
車いすを積みやすい車を選ぶうえで、一番確実なのは、実際に使っている車いすを販売店に持って行って積んでみることです。
カタログには荷室寸法が書かれています。
しかし、車いすは形が複雑です。
タイヤ、フットレスト、ブレーキ、ハンドグリップなどがあるため、単純な箱のようには積めません。
また、同じ車いすでも、積む人の身長や力によって感じ方が変わります。
できれば、普段車いすを積む人が実際に試してください。
確認したいのは、次のような点です。
車いすをたたむ動作がスムーズか。
荷室まで持ち上げる高さがきつくないか。
車いすが入口に引っかからないか。
後席を倒さずに積めるか。
車いすを積んだあと、他の荷物も入るか。
目的地で下ろすときもラクか。
販売店で試すのは少し勇気がいるかもしれません。
でも、車いすを積む前提で車を選ぶなら、ここは遠慮しないほうがいいです。
買ってから「思ったより大変だった」となるほうが、ずっと困ります。
車いすを積むのがつらいなら、スロープ車も検討する
本人が座席へ移乗できるうちは、普通の車に車いすを積む方法でも外出できます。
ただし、次のような状態になってきたら、スロープ車や福祉車両も検討してよいタイミングです。
本人の移乗がだんだん大変になってきた。
介助者が車いすを持ち上げるのがつらい。
車いすが重くて、積み下ろしのたびに疲れる。
通院や外出のあと、家族の負担が大きい。
外出したいけれど、車への乗り降りを考えると気が重い。
このような場合は、「まだ普通の車で頑張れる」と無理を続けるより、スロープ車を含めて考えたほうが安心です。
スロープ車なら、車いすに乗ったまま車内へ乗り込めるため、移乗や車いすの積み下ろしの負担を減らせる可能性があります。
もちろん、スロープ車にも価格、車内スペース、乗り心地、駐車場との相性など、確認すべき点はあります。
それでも、家族の負担が大きくなっているなら、早めに選択肢に入れておく価値があります。
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まとめ|車いすを積みやすい車は「広さ」より「積み下ろしやすさ」で選ぶ
車いすを積みやすい車を選ぶときは、荷室の広さだけで判断しないことが大切です。
もちろん、車いすが入るスペースは必要です。
でも、それ以上に大事なのは、介助する家族が無理なく積み下ろしできるかどうかです。
車いすを積みやすい車を選ぶポイントは、次のとおりです。
荷室の開口部が広いこと。
荷室の床が低いこと。
車いすを立てて積めるか確認すること。
後部座席を倒さずに積めるか見ること。
介助者が一人で無理なく積めること。
軽自動車でも車いすを積めるケースはあります。
ただし、車いすのサイズや乗車人数によっては窮屈になることもあります。
コンパクトカー、コンパクトミニバン、ミニバンも含めて、実際の車いすを使って確認するのが一番確実です。
車いすを積める車ではなく、毎回ラクに積める車を選ぶこと。
これが、家族で安心して外出を続けるための大切なポイントです。
そして、もし移乗や積み下ろしの負担が大きくなってきたら、スロープ車や福祉車両も早めに検討してみてください。
車選びの目的は、ただ移動することではありません。
本人も、介助する家族も、少しでもラクに、安心して出かけられるようにすることです。

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