「車いすを使う家族と旅行したい」
「通院や退院の日だけ、車いすのまま乗れる車を借りたい」
「帰省中に福祉車両が必要だけれど、自宅から持っていくのは難しい」
そんなときに利用できるのが、福祉車両のレンタカーです。
福祉車両は購入するだけでなく、必要な日だけ借りることもできます。
ただし、一般的なレンタカーに比べると台数が少なく、同じ「福祉車両」でも、車いすのまま乗れる車、座席が回転する車、大型リフトを備えた車など、仕組みはさまざまです。
車種選びを間違えると、
「車いすが車内に入らなかった」
「家族全員が乗れなかった」
「荷物を積む場所がなかった」
といったことも起こります。
この記事では、福祉車両レンタカーの種類、主要レンタカー会社の料金、予約前に確認したいポイントをまとめます。
※掲載している料金は2026年8月1日現在の通常期における参考料金です。地域、店舗、時期、補償内容によって変わるため、予約時には必ず各社へご確認ください。
福祉車両レンタカーは目的に合ったタイプを選ぶ
福祉車両レンタカーを選ぶときに、最初に確認したいのは「利用者がどのように乗車するか」です。
| 利用者の乗り方 | 適している福祉車両 |
|---|---|
| 車いすから座席へ移乗せず、そのまま乗りたい | 車いすスロープ車 |
| 大型車いすや重い電動車いすで乗りたい | リフト付き車両 |
| 車いすから座席へ移乗できる | 回転シート車 |
| 座席への乗り移りや立ち上がりが難しい | リフトアップシート車 |
| 家族や介助者も多く乗車したい | ミニバン・大型ワゴンタイプ |
料金だけで決めるのではなく、利用者の身体状況、車いすの大きさ、同乗人数、荷物の量まで考えて選ぶことが大切です。
レンタルできる福祉車両の種類
車いすスロープ車
車両後部に収納されたスロープを広げ、車いすに乗ったまま車内へ乗り込むタイプです。
軽自動車、コンパクトカー、ミニバンなどに多く採用されています。
スロープ車のメリットは、車いすから車の座席へ乗り移る必要がないことです。
抱きかかえて移乗するのが難しい人や、姿勢保持装置付きの車いすを使っている人にも選ばれています。
ただし、車いすを乗せると後部座席の一部が使えなくなる車種があります。
軽スロープ車では、車いす利用者を含めて3人程度しか乗れないこともあるため、家族の人数を必ず確認しましょう。
また、背もたれの高い車いす、リクライニング式車いす、バギー型車いすでは、車内高が足りない場合があります。
ミニバンタイプのスロープ車
シエンタ、フリード、ノア、ヴォクシーなどをベースにした福祉車両です。
軽スロープ車よりも車内が広く、家族旅行や長距離移動に向いています。
車いす利用者と複数の家族が一緒に乗りやすく、軽自動車よりも荷物を積める可能性があります。
ただし、通常仕様のミニバンと同じ人数が乗れるとは限りません。
車いすを固定するスペースによって座席数が減るため、「車いす乗車時の定員」を確認する必要があります。
リフト付き車両
車両後部に取り付けられた電動リフトで、車いすを持ち上げて乗車するタイプです。
ハイエースやキャラバンなどの大型車両に多く、次のような場合に向いています。
・大型の車いすを使用している
・電動車いすを使用している
・リクライニングした姿勢で乗車する
・車いすを2台乗せたい
・家族や介助者も多く乗車する
スロープを押し上げる必要がないため、介助者の身体的な負担を抑えやすい点もメリットです。
一方で、車体が大きく、狭い道路や立体駐車場では扱いにくくなります。
ホテルや観光施設を利用する場合は、駐車場の高さ制限や車両サイズも確認しておきましょう。
回転シート車
助手席や後部座席がドア側へ回転し、乗り降りしやすくなる車です。
杖を使って歩ける人や、車いすから座席へ移乗できる人に向いています。
通常の座席よりも身体をひねる動作が少なくなるため、足腰が弱い高齢者にも利用しやすいタイプです。
ただし、車いすに乗ったまま乗車する車ではありません。
車いすから座席への移乗が必要なため、本人や介助者が安全に移乗できるかを確認してください。
リフトアップシート車
座席が車外へ回転し、電動で上下するタイプです。
座席が低い位置まで下がるため、通常の座席へ乗り移るのが難しい人でも乗車しやすくなります。
回転シート車より乗降を助ける範囲が広い一方、利用者の身体状況によっては介助が必要です。
また、リフトアップシート車と車いすスロープ車では仕組みがまったく違います。
予約時には「車いすのまま乗りたいのか」「車の座席へ移乗するのか」を明確に伝えましょう。
福祉車両レンタカーの料金相場
福祉車両レンタカーの料金は、車両の大きさや装備によって異なります。
通常期の24時間料金は、おおむね次の範囲が目安です。
| 車両タイプ | 24時間料金の目安 |
|---|---|
| 軽・小型スロープ車 | 約7,800~11,000円 |
| コンパクト・小型ミニバン | 約9,000~12,000円 |
| 中型ミニバン | 約19,000~23,000円 |
| 大型リフト車 | 約25,000~27,000円 |
これは車両の基本料金です。
実際には、免責補償、ノンオペレーションチャージ補償、乗り捨て料金、スタッドレスタイヤなどの料金が加わる場合があります。
【料金比較】主要レンタカー会社の福祉車両
24時間料金の比較
| レンタカー会社 | 車両・クラス例 | 通常期の24時間料金 | 予約方法の特徴 |
|---|---|---|---|
| トヨタレンタカー | ルーミーなどの小型車 | 7,800円~ | Webから申込み後、店舗が在庫を確認 |
| トヨタレンタカー | シエンタクラス | 9,200~12,000円 | 車種・仕様によってクラスが異なる |
| トヨタレンタカー | ノア・ヴォクシークラス | 19,000円~ | 店舗によって取扱車種が異なる |
| トヨタレンタカー | ハイエースクラス | 27,000円~ | 大型リフト車などを用意 |
| オリックスレンタカー | 軽スロープ車 | 10,890円~ | 福祉車両取扱店舗へ直接問い合わせ |
| オリックスレンタカー | シエンタ・フリードクラス | 11,880円~ | Web予約の対象外 |
| オリックスレンタカー | ノア・セレナクラス | 20,570円~ | 障がい者割引は店舗へ確認 |
| オリックスレンタカー | ハイエース・キャラバンクラス | 27,060円~ | 取扱店舗が限られる |
| ニッポンレンタカー | N-BOXスローパー・エブリイ | 一般9,700円/福祉優待7,800円 | 予約センターでの予約が必要 |
| ニッポンレンタカー | フリード | 一般10,800円/福祉優待8,800円 | 地域によって取扱車種が異なる |
| ニッポンレンタカー | 乗降補助装置付きノア | 一般22,550円/福祉優待18,040円 | 車いすのまま乗る車とは限らない |
| バジェットレンタカー | タントなどの軽スロープ車 | 通常8,800円/Web会員7,920円 | 一部店舗ではWeb予約可能 |
| バジェットレンタカー | ラクティスなど | 通常11,000円/Web会員9,900円 | 取扱店舗へ確認が必要 |
| バジェットレンタカー | レジアスエースなど | 通常25,300円/Web会員22,770円 | 大人数向け車両は一部店舗のみ |
※料金は通常期の参考料金です。
※東京料金、北海道夏季料金、ハイシーズン料金などが設定される場合があります。
※基本料金が非課税となる福祉車両でも、補償制度、オプション、乗り捨て料金などには消費税がかかる場合があります。
トヨタレンタカーの福祉車両
トヨタレンタカーでは、福祉車両を「ウェルキャブ」として取り扱っています。
主なタイプは次のとおりです。
・車いす仕様車
・サイドリフトアップシート車
・助手席リフトアップシート車
・助手席回転スライドシート車
・サイドアクセス車
小型車からミニバン、大型ワゴンまで選択肢があり、利用者の乗り方に合わせて探しやすいのが特徴です。
ただし、Webで申し込んだ時点では予約は確定しません。
店舗が車両の在庫や仕様を確認した後、予約できるかどうかが連絡されます。
また、同じ車種名でもスロープ式、リフト式、座席昇降式などの違いがあるため、車種名だけで判断しないようにしましょう。
オリックスレンタカーの福祉車両
オリックスレンタカーでは、軽スロープ車から大型のハイエース・キャラバンクラスまで用意されています。
代表的なクラスは次の4種類です。
・軽自動車クラス
・シエンタ、フリードなどのクラス
・ノア、セレナなどのクラス
・ハイエース、キャラバンなどのクラス
福祉車両は通常のWeb予約の対象外となっており、取扱店舗へ直接問い合わせる必要があります。
利用したい店舗が福祉車両を保有しているとは限らないため、まず取扱店舗を探してから日程と車両を確認しましょう。
障がい者割引についても、予約する店舗へ直接確認してください。
ニッポンレンタカーの福祉車両
ニッポンレンタカーでは、福祉車両を「ユニバーサルカー」として案内しています。
大きく分けると、次の2タイプがあります。
・ケアタイプ:車いすに乗ったまま乗車する車
・カインドタイプ:乗降補助装置が付いた車
ケアタイプには、N-BOXスローパー、エブリイ、フリードなどがあります。
身体障害者手帳、ミライロID、療育手帳などを持っている人は、福祉優待料金を利用できます。
介助者が運転する場合も対象です。
福祉優待料金を利用するときは、予約センターで予約し、出発手続きの際に手帳などを提示します。
バジェットレンタカーの福祉車両
バジェットレンタカーでは、タントなどの軽スロープ車、ラクティスなどの小型車、レジアスエースなどの大型車両を取り扱っています。
一部店舗ではWeb予約が可能で、Web会員料金が設定されています。
ただし、福祉車両を取り扱っている店舗は限られます。
車種によっては、Webに表示されていても希望地域に車両がない場合があるため、利用店舗へ確認しましょう。
料金だけで決めると失敗しやすい理由
福祉車両レンタカーは、安い車両を選べばよいとは限りません。
軽スロープ車は料金を抑えやすい一方で、車いすを乗せると家族全員が乗れなかったり、荷物をほとんど積めなかったりすることがあります。
旅行や帰省では、次のような荷物も必要になります。
・折りたたみ式の歩行器
・車いす用クッション
・吸引器や呼吸器などの医療機器
・紙おむつや着替え
・スーツケース
・車いすの予備部品
・介助用具
車いすが入るだけではなく、利用者、家族、介助者、荷物がすべて安全に収まるかを考えましょう。
予約前に測っておきたい車いすの寸法
福祉車両を予約するときは、「車いすを使っています」と伝えるだけでは不十分です。
最低でも、次の項目を確認しておきましょう。
車いすの全幅
左右のハンドリムや操作部分を含めた、最も広い部分を測ります。
入口の幅だけでなく、車内の固定スペースに収まるかどうかにも関係します。
車いすの全長
フットサポートや転倒防止バーを含めた長さを測ります。
リクライニングすると全長が長くなる車いすは、倒した状態でも確認してください。
乗車時の高さ
床から利用者の頭までの高さを測ります。
背もたれの高い車いすでは、車いす本体の高さだけでなく、乗車している人の頭の位置が重要です。
スロープを上がる途中で頭が入口に近づくこともあります。
車いすと利用者を合わせた重さ
電動車いすや大型の姿勢保持装置付き車いすでは、スロープやリフトの耐荷重確認が必要です。
利用者を含めたおおよその総重量を伝えましょう。
車いす乗車時の定員を必ず確認する
レンタカー会社のページに「4人乗り」「8人乗り」と書かれていても、車いすを乗せた状態では定員が変わることがあります。
例えば、通常時は4人乗れる軽自動車でも、車いす乗車時には、
・車いす利用者1人
・運転者1人
・同乗者1人
という構成になることがあります。
「運転者を含めて何人乗れるのか」
「車いす利用者は定員に含まれているのか」
「使用できなくなる座席はあるのか」
を予約時に確認してください。
車いすの固定方法も確認する
車いす仕様車では、車いすを車内に入れた後、専用ベルトなどで車両に固定します。
それとは別に、車いす利用者本人が使用するシートベルトも必要です。
受け渡し時には、スタッフから次の操作について説明を受けましょう。
・スロープやリフトの出し方
・車高を下げる操作
・車いす固定ベルトの取り付け方
・車いす利用者用シートベルトの使い方
・スロープやリフトの収納方法
・電動装置が動かない場合の対処方法
説明を聞くだけでなく、できればスタッフの前で実際に一度操作してみると安心です。
福祉車両レンタカーを予約するときの伝え方
店舗へ問い合わせる際は、次の内容をまとめて伝えると、車両を探してもらいやすくなります。
予約時に伝える内容
・利用する日時
・出発店舗と返却店舗
・車いすに乗ったまま乗車するか
・車の座席へ移乗するか
・手動車いすか電動車いすか
・車いすの幅、長さ、高さ、重さ
・リクライニング機能の有無
・運転者を含めた乗車人数
・スーツケースや医療機器などの荷物量
・チャイルドシートの必要性
・希望する補償内容
「車いす対応車をお願いします」だけでなく、利用者の乗り方や車いすの情報まで伝えることが重要です。
予約は日程が決まり次第、早めに行う
福祉車両は、一般車両ほど保有台数が多くありません。
店舗に1台しかない場合や、近隣店舗から車両を回送して用意する場合もあります。
特に次の時期は予約が集中しやすいため、日程が決まったら早めに問い合わせましょう。
・ゴールデンウイーク
・お盆
・年末年始
・春休みや夏休み
・連休
・冠婚葬祭が多い週末
Web上で空車に見えても、福祉装置の種類や車いすとの適合確認が必要になることがあります。
予約が確定したという連絡を受けるまでは、車両を確保できたと考えない方が安心です。
基本料金以外にかかる費用
レンタカーの総額を比較するときは、基本料金だけでなく、次の費用も確認してください。
免責補償料
事故時の対物・車両免責額を補償する制度です。
1日単位で料金が加算されることが一般的です。
ノンオペレーションチャージ補償
事故や故障などで車両を営業に使えなくなった場合の休業補償をカバーする制度です。
免責補償とは別の制度になっていることがあります。
乗り捨て料金
借りた店舗とは別の店舗へ返却すると、追加料金が必要になる場合があります。
旅行先の空港や駅で返却する場合は、予約前に確認しましょう。
オプション料金
スタッドレスタイヤ、チャイルドシートなどを利用すると、追加料金が発生する場合があります。
燃料代・高速道路料金
福祉車両は車体が重く、大型車では燃料代が高くなることがあります。
ETC車載器が付いていても、ETCカードは自分で用意するケースが一般的です。
旅行先で借りる場合に確認したいこと
空港や駅の近くで福祉車両を借りれば、自宅から遠い旅行先でも車いすのまま移動しやすくなります。
ただし、通常のレンタカーより受け渡しに時間がかかることがあります。
スロープの操作や車いすの固定方法について説明を受けるため、到着後の予定には余裕を持たせましょう。
また、旅行先では次の点も確認しておくと安心です。
・ホテルの駐車場に高さ制限がないか
・車いす用駐車スペースを予約できるか
・観光施設に段差の少ない入口があるか
・利用できるバリアフリートイレがあるか
・長時間乗車できる姿勢を保てるか
・体調不良時に利用できる福祉タクシーがあるか
福祉車両を確保するだけでなく、降りた後の移動まで考えて計画することが大切です。
レンタカーより福祉タクシーが向いている場合
次のような場合は、福祉車両レンタカーではなく、福祉タクシーや介護タクシーの方が利用しやすいことがあります。
・家族に運転できる人がいない
・スロープや固定装置の操作が不安
・乗車や移乗の介助が必要
・病院と自宅の片道だけ利用したい
・短時間の移動だけでよい
・旅行先の道路や駐車場に不安がある
レンタカー会社が行うのは、基本的に車両の貸し出しです。
乗降介助や外出先での付き添いまで必要な場合は、介助サービスのある移動手段も含めて検討しましょう。
福祉車両レンタカーのよくある質問
普通免許で運転できますか?
軽自動車、コンパクトカー、一般的なミニバンなど、多くの福祉車両は普通免許で運転できます。
ただし、乗車定員が11人以上の車両など、普通自動車の条件を超える車両には対応する免許が必要です。
大型車両を借りるときは、予約時に必要な免許区分を確認してください。
障害者手帳がなくても借りられますか?
福祉車両を借りること自体は、障害者手帳がなくても可能な場合があります。
ただし、福祉優待料金や障がい者割引を利用する場合は、身体障害者手帳、療育手帳、対象となる手帳アプリなどの提示が必要です。
対象となる手帳や割引条件は、レンタカー会社によって異なります。
車いすも一緒に借りられますか?
レンタカー会社の福祉車両には、通常、車いすそのものは含まれていません。
旅行先で車いすも必要な場合は、福祉用具レンタル店、旅行先のホテル、地域の観光案内所などへ別に確認する必要があります。
当日でも借りられますか?
取扱店舗に空車があれば借りられる可能性はありますが、福祉車両は台数が限られています。
また、車いすの寸法や乗車方法を確認する必要があるため、一般車両のようにすぐ借りられないこともあります。
急な利用でも、まずは複数の取扱店舗へ電話で問い合わせてみましょう。
車種を指定できますか?
車種名ではなく、車両クラスや福祉装置の種類で予約を受け付ける会社があります。
同じクラスでも、年式、車内寸法、スロープの長さ、座席配置などが違う場合があります。
大型車いすや背もたれの高い車いすを使用している場合は、車種名だけでなく、実際に用意される車両の仕様まで確認してください。
まとめ|福祉車両レンタカーは「車いすが入るか」だけで選ばない
福祉車両レンタカーは、旅行、帰省、通院、退院、冠婚葬祭など、必要なときだけ車いす対応車を利用できる便利な移動手段です。
しかし、福祉車両であれば、どの車でも利用できるわけではありません。
予約前には、次の点を確認しましょう。
・車いすに乗ったまま乗車するか
・車いすの幅、長さ、高さ、重さ
・車いす乗車時の定員
・家族や介助者の人数
・荷物や医療機器を積めるか
・スロープや固定装置を安全に操作できるか
・目的地の道路や駐車場で扱える大きさか
料金の安さだけでなく、利用者が無理のない姿勢で乗れること、家族全員が安全に移動できることが最も重要です。
条件に合う福祉車両を選べば、これまで諦めていた旅行や外出も、現実的な選択肢に変わります。

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