福祉車両の買い方2025|新車・中古・改造の正しい手順
はじめに
福祉車両の選択肢(自操用・介護用)がすでに決まっていても、「どこに問い合わせるのか」「何を確認するべきか」「補助金や税金優遇はいつ申請すべきか」という“手順の迷い”は必ず発生します。
しかも、新車・中古・改造の3ルートは必要な相談先・書類・順番がまったく異なるため、誤ると補助金が不支給になったり、装置が付かない車を買ってしまったりすることもあります。
この記事では、2025年時点の最新情報をもとに、**新車・中古・改造の3ルート別に「正しい問い合わせ先」「確認事項」「補助金の順番」**を体系的にまとめます。
◆購入前に知っておく共通ポイント
●なぜ“順番”が最重要なのか
福祉車両は一般のクルマと異なり、運転補助装置・リフト・スロープなどの機構が入り、
- 補助金の申請タイミング
- 改造の可否
- 免許条件との整合性
- 前オーナーの使い方
が購入に直結します。
そのため「気に入ったから契約」ではなく、手順どおりに進めることが失敗防止の核心です。
●購入前に整理しておく項目
- 身体状況(自操か・介護用途か)
- 乗る頻度
- 車椅子の大きさ・重さ
- 将来の身体変化(筋力・可動域の変化など)
- 補助金を使う可能性
- 車種の条件(スロープ角度、車高、荷室長など)
◆新車(メーカー純正)を買う手順
① 情報収集(公式ページで比較)
以下が主要メーカーの福祉車両公式サイト。純正のメリット・装置構造・対応車種を比較できる。
- トヨタ:ウェルキャブ
https://toyota.jp/welfare/ - 日産:ライフケアビークル(LCV)
https://www3.nissan.co.jp/vehicles/lcv.html - ホンダ:福祉車両
https://www.honda.co.jp/welfare/ - スズキ:ウィズシリーズ
https://www.suzuki.co.jp/car/with/ - ダイハツ:フレンドシップシリーズ
https://www.daihatsu.co.jp/friendship/
② ディーラーで相談
- 福祉車両担当の有無
- 乗降のフィッティング
- 純正で足らない部分の確認(自操用装置は後付けが多い)
- 改造が必要な場合は、後付け装置メーカーの担当者を同席させるとベスト
(例:ニッシン自動車工業 https://www.nissin-auto.co.jp/
フジオート https://www.fujiauto.co.jp/)
③ 見積・補助金の確認
新車は税金優遇を受けやすい。
- 自動車税減免(自治体)
https://www.soumu.go.jp/menu_kyotsuu/important/kouji_2022.html - 自動車重量税の免除(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr1_000012.html - 消費税非課税(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6272.htm
改造部分がある場合 → 自動車改造費助成へつながるため、その“タイミング”が重要。
④ 契約〜納期
- 装置保証の範囲を確認(本体と装置の保証が異なる場合あり)
- 改造が必要な場合は、納車前に改造工場へ搬入する段取りを組む
- ディーラーが改造工場と連携してくれるかを確認
⑤ 納車・操作説明
- リフト・スロープ・昇降シートの実演
- 故障時の連絡先
- メンテナンス時期(装置は自動車より点検頻度が多い)
◆中古車を買う手順
① 専門店を探す
中古は“店選び”がすべて。
以下のポイントを満たす専門店が理想。
- 福祉車両の専門店
- 取扱実績が多い
- 福祉車両整備士がいる
(資格情報:https://www.ntf.or.jp/project/welfare/)
② 車両履歴の確認
特に重要なのは「何に使われていたか」。
- 施設の送迎 → 装置が酷使されている可能性
- 自家用 → 全体的に劣化が少ない傾向
チェックするべき情報
- 前オーナー
- 装置の修理歴
- 使用目的(デイサービス頻度など)
③ 現車確認(核心)
必ず以下を確認する。
- スロープ角度(重い車椅子で試すのが理想)
- リフトの上下速度
- 異音(ギア・モーター)
- 車椅子固定装置の錆
- 床のたわみ
- 手動装置のガタつき
可能なら スマホで動画撮影→家族・支援者に共有。
④ 見積・補助金確認
中古でも以下の優遇が使える場合がある。
- 自動車税減免
- 重量税免除
- 改造追加がある場合は「自動車改造費助成」(自治体)
▼自治体例
- 東京都 自動車改造費助成(身体障害者福祉)
https://www.fukushishien.metro.tokyo.lg.jp/support/car-repair/ - 大阪市 自動車改造費助成
https://www.city.osaka.lg.jp/index.html
(※自治体により名称差あり。居住地によって上限額・対象装置が異なる)
⑤ 契約・整備
- 納車前整備の“項目”を紙で確認
- 装置・電装系の点検範囲を確認
- 次に壊れやすい部位を教えてもらう
⑥ 納車
- 装置動作の最終チェック
- 故障時の対応先の連絡先
- 保証期間(装置部分は短い場合あり)
◆改造前提で買う手順(自操用含む)
改造ルートは、新車・中古とは手順が逆。
車を先に買うと高確率で失敗するため、必ず以下の順番で進める。
① 装置メーカー/工場/病院に相談(車より先)
●装置メーカー
- ニッシン自動車工業(手動運転装置)
https://www.nissin-auto.co.jp/ - フジオート(左アクセル・旋回ノブ)
https://www.fujiauto.co.jp/
●相談先
- かかりつけの病院(作業療法士)
- 運転リハビリ施設
- 認定改造工場
ここで 身体状況に合う装置 と 適合する車種リスト をもらう。
② 車種候補の選定
状況に応じて条件が変わる。
- 右足が使えない → 左アクセル対応
- 片腕 → 旋回グリップ
- 車椅子サイズとスロープ角度
- 電動スライドドア/手動
- 車体の配線スペース(改造しやすさ)
③ 見積・補助制度の事前相談
改造費助成は 着工前申請が絶対条件。
●補助制度例
- 東京都 自動車改造費助成
https://www.fukushishien.metro.tokyo.lg.jp/support/car-repair/ - 大阪市 自動車改造費助成
https://www.city.osaka.lg.jp/
●民間助成
④ 補助申請〜交付決定
申請書は自治体により違うが、一般的には
- 医師の意見書
- 改造装置の見積書
- 車検証の写し(購入前なら不要の場合あり)
- 本人確認書類
交付決定前に工事すると全額不支給なので注意。
⑤ 改造作業
- 認定工場で施工
- 期間:2〜6週間が一般的
- 代車が必要なら早めに依頼
⑥ 納車・フィッティング
- 運転姿勢を細かく調整
- 緊急時解除方法を確認
- メンテナンス周期(3〜6ヶ月点検が目安)
◆ケース別おすすめルート
- 自操用 → 改造の専門家を先に訪ねる
- 介護用 → 中古で選択肢が広い
- 予算重視 → 中古+最小限の改造
- 長く使う → 新車+一部後付け改造
◆まとめ
福祉車両の買い方は、新車・中古・改造で必要な相談先も申請の順番も大きく異なります。
しかし、この記事の手順に沿って
- 相談先
- 装置の適合
- 補助金のタイミング
- 販売店の質
を確認していけば、「後から装置が付かない」「補助金を逃した」という失敗は確実に避けられます。
あなたの状況に合った最善の一台に近づくための、2025年版の“買い方ルートマップ”として活用してください。
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◆共通チェックリスト(全ルート)
●身体状況・利用環境
- 車椅子のサイズ・重量は?
- 片手/片足など可動域の制限は?
- 乗降時に介助が必要か?
- 将来の身体状況の変化を見込んでいるか?
- 自操用の場合、免許条件(AT限定・左アクセル・手動装置条件など)は確認済みか?
●利用目的と生活動線
- 週に何回使う?
- 家の駐車場スペースは十分か?
- スロープの角度は自宅環境に合うか?
- 荷物(医療機器等)の積載量は足りるか?
●制度・費用
- 自動車税減免・重量税免除・消費税非課税は対象か?
- 自治体の「自動車改造費助成」を使う可能性はあるか?
- 民間助成(JKA・日本財団)の対象か?
- 任意保険(車両保険)の条件はクリアしているか?
◆新車(純正福祉車両)チェックリスト
●ディーラー確認ポイント
- 福祉車両担当が在籍しているか?
- 試乗・乗降フィッティングができたか?
- 純正装置で足りない部分は何か?
- 必要に応じて改造工場と連携できるか?
●見積・装置
- 本体価格+装置価格+登録費の総額を確認したか?
- 装置保証の範囲(本体保証と同じか、別か)
- 納期はどれくらいか?
- ディーラーが改造工場への搬入調整をしてくれるか?
◆中古福祉車両チェックリスト
●車両履歴
- 前オーナーは個人?施設?
- 使用目的(デイサービス送迎など多頻度か)
- 修理歴・交換部品の記録があるか?
- 大きな事故歴はないか?
●装置の状態
- リフト上下速度・音
- スロープ角度・ガスダンパーの疲労
- 回転シート・昇降シートの異音
- 電装系(配線の痛み・断線リスク)
- 車椅子固定装置の錆・摩耗
●車両本体
- 床のたわみ
- サビ・腐食
- エンジン・ATの変速ショック
- タイヤ・バッテリーなど基本部分
●販売店の質
- 福祉車両整備士の在籍
- 装置保証の有無
- 納車前整備の内容が明示されているか?
◆改造前提ルート(自操用含む)チェックリスト
●購入前の必須事項
- 車より先に「装置メーカー/病院」に相談したか?
- 装置に適合する“車種リスト”をもらっているか?
- 運転フィッティングを行ったか?
- 必要な装置(手動レバー・左アクセル・旋回ノブなど)の選定は終わったか?
●補助金・申請順番
- 自動車改造費助成は“着工前申請”を理解しているか?
- 医師の意見書は準備できるか?
- 見積書は装置メーカー/工場から取得済みか?
- 交付決定通知が来る前に着工していないか?
●改造工場の質
- 認定工場か?
- 取付実績数を提示できるか?
- 保証対応が明確か?
- 施工後の調整(フィッティング)ができるか?
●納車後
- 装置の緊急時解除方法は理解したか?
- 身体に合った操作姿勢になっているか?
- 点検周期(3〜6ヶ月)を把握しているか?
◆最終チェック(全ルート共通)
●この車で、
- 安全に乗れる
- 将来も使い続けられる
- 補助金・税金優遇が最大限使える
という3条件がすべて満たされているか?

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