車いすに荷物を掛けすぎると危険?転倒を防ぐ収納位置|車いす用バッグの選び方【全3回・第1回】

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車いすで外出すると、意外と荷物が増えます。

財布やスマートフォン、飲み物だけならまだしも、通院なら診察券や薬、買い物なら購入した商品、子どもとの外出なら着替えやケア用品。

つい便利だからと、車いすの背面や手押しハンドルにバッグや買い物袋を掛けてしまうこともあるでしょう。
(後ろに掛けましょうか? と言ってくれる親切な店員さんもいます、笑)

しかし、車いすは荷物を掛ける位置によってバランスが変わります。

特に注意したいのが、背もたれの後ろに重い荷物を集中させることです。

実際、公益財団法人テクノエイド協会の「福祉用具 事故・ヒヤリハット情報」でも、手押しハンドルに重い荷物を掛けた状態で段差や上り坂を移動すると、重心が後方にかかり、後方へ転倒しやすくなる事例が紹介されています。

車いす用バッグを選ぶ前に、まず知っておきたいのは、

「何を入れるか」だけではなく「どこに収納するか」

ということです。

今回は、車いすに荷物を載せるときに起こりやすい問題と、安全に使うための収納位置について考えてみます。


目次

車いすの背面に重い荷物を掛けると、なぜ危険?

車いすの手押しハンドルは、バッグを掛けるのにちょうどいい高さにあります。

そのため、

  • リュック
  • 買い物袋
  • 通院バッグ
  • 飲み物
  • ケア用品
  • 着替え

などをまとめて掛けている人も少なくありません。

しかし、荷物が重くなるほど注意が必要です。

車いすの後ろ側に重量が加わることで、車いす全体の重心が後方へ移動するからです。
(初めから後ろに重心がある車いすでは絶対禁止です)

テクノエイド協会では、手押しハンドルに重い荷物を掛けた状態では、段差や上り坂で後方転倒しやすくなり、場合によっては後ろにいる介助者も一緒に転倒する可能性があると注意を促しています。

平坦な場所では問題なく走れていても、

「いつも大丈夫だから」

とは限りません。

段差を越える瞬間や坂道など、前輪が浮きやすい状況では、背面の荷物が車いすのバランスに影響する可能性があります。


危険① 背面バッグに荷物を詰め込みすぎる

車いすの背面バッグは、とても便利です。

収納量が多く、介助者からも荷物を出し入れしやすいため、通院や買い物では特に使いやすいでしょう。

問題なのは、

「バッグを付けること」ではなく「重い荷物を背面に集中させること」です。

たとえば、

  • 500mlや1Lの飲み物を何本も入れる
  • 買い物した食品をまとめて入れる
  • 重いモバイルバッテリーや医療・ケア用品を入れる
  • 大型リュックを手押しハンドルに掛ける

といった使い方では、見た目以上の重量になることがあります。

特に小型・軽量の車いすでは、荷物の重さによる影響も無視できません。

また、車いすによって車輪位置や重心、転倒防止装置の有無などが違うため、同じバッグでも安全性は一律ではありません。

「何kgまでなら絶対安全」と考えるのではなく、使用している車いすの取扱説明書やメーカーの指示を優先することが大切です。


危険② バッグが介助者の足に当たる

背面バッグでもう一つ確認したいのが、介助者との距離です。

大きなリュックや、下方向に長いバッグを背面に取り付けると、歩いている介助者の膝や足に当たることがあります。

平地なら少し邪魔に感じる程度でも、

  • 坂道
  • 段差
  • 狭い通路
  • エレベーター
  • 人混み

などでは、介助者が車いすに近づいて操作する場面があります。

そのときバッグが邪魔になると、歩幅や足の運びを妨げてしまいます。

車いす用バッグを選ぶときは、容量だけを見るのではなく、

「介助者が普通に歩けるスペースが残るか」

も確認しておきたいポイントです。


危険③ バッグやベルトがタイヤに近すぎる

サイドバッグや背面バッグでは、バッグ本体だけでなく、

ベルトやストラップの長さ

にも注意が必要です。

車いすの大きな後輪は、走行中ずっと回転しています。

東京都福祉局の福祉用具情報でも、車いすには衣服がタイヤへ巻き込まれるのを防ぐための「スカートガード」が設けられていることが説明されています。

つまり、バッグについても、

  • バッグの端がタイヤに触れていないか
  • 長いベルトが垂れていないか
  • 荷物を入れたことでバッグが膨らみ、タイヤ側へ出ていないか

を確認しておくことが大切です。

空の状態では問題なくても、荷物を入れると形が変わるバッグもあります。

取り付けたあと、一度タイヤを回して干渉しないか確認しておくと安心です。


危険④ サイドバッグを付けたら車いすの幅が広くなった

サイドバッグは、自走する人にとって非常に便利な収納方法です。

身体の横にバッグがあるので、自分で財布やスマートフォンを取り出しやすいからです。

一方で、バッグが車いすの外側へ大きく張り出すタイプでは、

車いすの実質的な横幅が広くなる

ことがあります。

普段なら通れる場所でも、

  • ドア
  • エレベーター
  • 店内の狭い通路
  • 家具の横
  • 駐車場の車と車の間

などでバッグをぶつけることがあります。

自走式の場合は、ハンドリムを操作する手とバッグが干渉しないかも確認しておきたいところです。

「収納量が多いほど便利」とは限りません。


では、荷物はどこに収納すればいい?

基本的な考え方はシンプルです。

重い荷物を一か所に集中させないこと。

そして、

車輪・ブレーキ・足・介助者の動きを邪魔しない位置に収納すること。

です。

たとえば、軽い上着やタオルなら背面バッグでも比較的扱いやすいでしょう。

一方、飲み物や買い物した商品など重量のあるものは、背面だけに集中させず、車いすの構造や対応するバッグに応じて、座面下など低い位置への収納を検討する方法があります。

ただし、座面下ならどこにバッグを付けてもよいわけではありません。

折りたたみ部分やフレーム、車輪、ブレーキなどに干渉する可能性があるため、車いすとバッグ双方の取扱説明書に従って取り付けることが前提です。


収納位置ごとの特徴を簡単に整理

背面バッグ

向いているもの

上着、タオル、おむつ、書類など比較的軽いもの。

注意点

重い荷物を集中させると後方重心になりやすい。

介助者の足に当たらない大きさかも確認する。


サイドバッグ

向いているもの

スマートフォン、財布、診察券、鍵など頻繁に使うもの。

注意点

タイヤやハンドリムとの干渉、車いすの横幅が広くならないかを確認する。


座面下・アンダーバッグ

向いているもの

車いすの構造上取り付け可能なら、比較的重さのある荷物を低い位置に収納したいときの候補になる。

注意点

フレーム、折りたたみ機構、車輪などに干渉しない専用品・適合品を選ぶ。
乗っている車いすメーカーの製品なら安心です。


バッグを付けたら「空の状態」ではなく荷物を入れて確認する

ここは意外と見落としやすいポイントです。

バッグを取り付けた直後は問題がなくても、

荷物を入れるとバッグは膨らみます。

その結果、

  • タイヤに近づいた
  • バッグが低く垂れ下がった
  • 介助者の足に当たるようになった
  • 車いすの左右バランスが変わった

ということがあります。

そのため、新しいバッグを使うときは、

普段持ち歩く程度の荷物を実際に入れた状態で確認する

のがおすすめです。

特に段差や坂道を通ることが多い人は、重い荷物を背面に集中させないよう注意したいところです。テクノエイド協会でも、手押しハンドルに重い荷物を掛けたまま段差や上り坂を移動することが後方転倒の要因として挙げられています。


自走と介助では、使いやすいバッグの位置も違う

ここまで見ると、

「じゃあアンダーバッグが一番いいの?」

と思うかもしれません。

ところが、そう単純でもありません。

自走する人なら、身体の横からすぐ取り出せるサイドバッグが便利な場合があります。

介助中心なら、介助者が取り出しやすい背面バッグのほうが使いやすいこともあります。

通院と旅行でも、必要な容量は大きく違います。

つまり車いす用バッグは、

安全性+取り出しやすさ+荷物量

のバランスで選ぶ必要があります。


まとめ|車いす用バッグは「容量」より「付ける位置」が大切

車いすで外出するとき、バッグは欠かせないアイテムです。

だからこそ、単純に

「たくさん入るバッグが便利」

と考えるのではなく、車いすとの相性まで考えて選びたいところです。

特に注意したいのは次のポイントです。

  • 手押しハンドルや背面に重い荷物を集中させない
  • バッグがタイヤやハンドリムに触れないようにする
  • ベルトやストラップを垂らさない
  • 介助者の足に当たらないサイズを選ぶ
  • サイドバッグで車いすの横幅を広げすぎない
  • 荷物を入れた状態で干渉がないか確認する
  • 車いすとバッグの取扱説明書に従って使用する

特に背面への重い荷物は、段差や坂道で車いすの後方転倒につながる可能性があります。実際のヒヤリハット事例も報告されているため、「今まで大丈夫だったから」と考えず、一度収納方法を見直してみる価値があります。

では、

背面バッグ、サイドバッグ、アンダーバッグは具体的にどう使い分ければいいのでしょうか。

次回は、それぞれのメリット・デメリットを比べながら、通院・買い物・旅行、自走・介助といった使い方別に車いす用バッグの選び方を紹介します。

次回:車いす用バッグの種類と選び方|背面・サイド・アンダーバッグを比較【全3回・第2回】

この記事を書いた人

やんち
出歩くのが好きなやんちが、外出が困難な方に役立つ色んな情報を発信しています。

仕事:技士をしていましたが現在事務職です。車いすユーザーです。
   手動装置のクルマと電車で通勤してます。
趣味:テニスと英語と美術館巡り
特技:ラジオドラマ脚本は5分番組から1時間番組まで多数放送化されました。
資格:福祉車両取扱士

関西を中心に出来る限り実体験ベースで検証記事を書いています。

Xでは日常で気づいたことを書いています。

Substackでは「やんち」名義で、テーマを深掘りしています。

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