※本記事は2026年7月時点の情報を基に、トヨタ・シエンタの福祉車両「ウェルキャブ」について解説しています。価格や設定グレードは変更される場合があるため、購入時にはトヨタ販売店で最新情報をご確認ください。
家族が車いすを使用している場合、車選びで最も重要なのは、単に「車いすが載るか」だけではありません。
車いすに乗ったまま安全に乗車できるか、介助者が無理なくスロープを操作できるか、車内で頭や足が当たらないか、普段の買い物にも使えるかなど、実際の生活に合わせて確認する必要があります。
トヨタ・シエンタの福祉車両「ウェルキャブ」は、コンパクトな車体でありながら、車いすのまま乗車できるスロープを備えた福祉車両です。
大型ミニバンより運転しやすく、軽自動車の福祉車両よりも室内に余裕があるため、家族の介護送迎と日常使用を両立したい家庭に向いています。
この記事では、現行シエンタの車いす仕様車について、タイプごとの違い、価格、乗車人数、装備、中古車の選び方、購入前の確認ポイントまで詳しく解説します。
シエンタは現在も製造・販売されている?
シエンタは、現在も製造・販売されているトヨタの現行車種です。
現行型は2022年8月に発売された3代目で、ガソリン車とハイブリッド車が設定されています。
福祉車両についても、現在トヨタの「ウェルキャブ」として新車を注文できます。
ポルテやラクティスのような生産終了車とは異なり、新車と中古車の両方から選べることがシエンタの大きなメリットです。
現行シエンタには予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」が全車に標準装備されており、介護送迎だけでなく、日常の運転にも配慮されています。
シエンタの福祉車両「ウェルキャブ」とは?
シエンタのウェルキャブには、主に次の仕様があります。
- 車いす仕様車 タイプⅠ
- 車いす仕様車 タイプⅡ
- 車いす仕様車 タイプⅢ
- フレンドマチック取付用専用車
- 一部仕様に設定される助手席ターンチルトシート
家族の介護送迎で中心となるのは、車両後部にスロープを備えた「車いす仕様車」です。
後部のバックドアからスロープを出し、利用者が普段使用している車いすに座ったまま車内へ乗り込みます。
車内では車いすを固定し、利用者には車いす用シートベルトを装着します。
シエンタが介護送迎に向いている理由
車いすのまま乗り降りできる
シエンタの車いす仕様車は、利用者を車いすから自動車の座席へ移乗させる必要がありません。
車いすに座ったまま後部から乗車できるため、次のような方に向いています。
- 車いすから自動車の座席へ移るのが難しい
- 抱きかかえての移乗を減らしたい
- リクライニング機構付き車いすを使用している
- 移乗による本人や介助者の負担を軽減したい
- 通院や施設送迎の回数が多い
ただし、すべての車いすが乗車できるわけではありません。
車いすの全長、全幅、座面高、背もたれ高、フットレストの位置などによっては乗車できないため、購入前の実車確認が必要です。
車高降下機能でスロープを緩やかにできる
車いす仕様車では、バックドアを開けると車両後部の車高が下がります。
タイプⅠでは、車高降下機能によってスロープ角度を約9.5度に抑えています。
スロープの傾斜が緩やかになることで、介助者が車いすを押し上げる負担を軽減できます。
ただし、車いす利用者の体重、車いす本体の重量、駐車場所の傾斜によって、実際の介助負担は異なります。
コンパクトで運転しやすい
シエンタは、5ナンバーサイズのコンパクトミニバンです。
ノアやヴォクシーより小さく、住宅街、病院の駐車場、スーパーの立体駐車場などでも比較的扱いやすい車です。
軽自動車の福祉車両よりも室内や荷室に余裕があるため、次のような荷物も載せやすくなります。
- 車いす用クッション
- 吸引器などの医療機器
- おむつや着替え
- 歩行器
- 介護用品
- 買い物の荷物
ただし、車いす乗車時はシートの一部を折りたたむため、通常車と同じ荷室容量を確保できるわけではありません。
普段使いと介護送迎を両立しやすい
車いすを使用しないときには、スロープを前方へ倒して収納できる仕様があります。
車いすを乗せない日でも、買い物や家族の移動に使用しやすい設計です。
福祉車両専用の大型車を所有するほどではないものの、日常的に車いす送迎が必要な家庭に適しています。
シエンタの車いす仕様車は3タイプ
現行シエンタの車いす仕様車には、タイプⅠ・タイプⅡ・タイプⅢがあります。
名称が似ていますが、車いす利用者が乗る位置やスロープの構造、乗車人数、向いている用途が異なります。
| タイプ | 主な特徴 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| タイプⅠ | 一般的な引き出し式スロープ。2列目位置に車いす乗車 | 家庭での通院・買い物・介護送迎 |
| タイプⅡ | 車いすが1.5列目まで進入可能。ストレッチャーにも対応 | 障害児の送迎、医療的ケア、長い車いす |
| タイプⅢ | バンパー一体型ショートスロープ | 施設・法人の短時間送迎 |
タイプⅠ|一般家庭で選びやすい標準タイプ
タイプⅠは、シエンタの車いす仕様車の中で、一般家庭が最初に検討しやすいタイプです。
車両後部から手動スロープを引き出し、車いすを2列目の乗車位置まで進めて固定します。
タイプⅠには、次の2種類があります。
- 助手席側セカンドシート付
- 助手席側セカンドシート無
助手席側セカンドシート付
車いす利用者のすぐ横に介助者が座れる仕様です。
走行中に利用者の表情や姿勢を確認しやすく、吸引、体位の調整、声かけなどが必要な家庭にも向いています。
車いすを使用しないときは、5人で乗車できます。
車いす利用時は、基本的に「3名+車いす利用者1名」の乗車になります。
助手席側セカンドシート無
助手席側の2列目シートをなくし、車いすスペースを広く確保した仕様です。
通常の車いすだけでなく、全長の長いリクライニング機構付き車いすを使用している場合にも候補となります。
乗車定員は4名ですが、車いすを使用しないときに座席として使用できるのは3名です。
助手席側セカンドシート無は8ナンバー車となります。
タイプⅠが向いている家庭
- 一般的な介助用車いすを使用している
- 車いす利用者の横に介助者が座りたい
- 通院、買い物、デイサービス送迎が中心
- 家族用の車としても使いたい
- 車いすを使用しない日は複数人で乗りたい
タイプⅠは車高降下機能によって約9.5度のスロープ角度を実現し、リクライニング機構付き車いすにも対応しています。
タイプⅡ|運転席の近くまで車いすが入る
タイプⅡは、助手席を折りたたむことで、車いすが1.5列目まで乗り入れられる仕様です。
車いす利用者が運転席の近くに乗るため、運転者が利用者の状態を確認しやすくなります。
トヨタでは、主に車いすを使用する子どもの送迎を想定した仕様として案内しています。
タイプⅡの特徴
- 車いすが運転席に近い1.5列目まで入る
- 通常の2列目位置にも乗車できる
- 助手席側セカンドシートはない
- リクライニング機構付き車いすに対応
- 全長の長い車いすに対応しやすい
- 条件を満たすストレッチャーも乗車可能
- 8ナンバー
- 乗車定員4名
1.5列目に車いすを固定した場合は、基本的に「2名+車いす利用者1名」です。
2列目に固定した場合は「3名+車いす利用者1名」で乗車できます。
タイプⅡが向いている家庭
- 車いすを使用する子どもを送迎する
- 運転席から利用者の様子を確認したい
- 医療的ケアが必要
- 大型または全長の長い車いすを使用している
- ストレッチャーでの移動を検討している
- 利用者との距離をできるだけ近くしたい
ストレッチャーで乗車する場合は、対応する寸法や固定方法に条件があります。
「タイプⅡなら、どのストレッチャーでも乗る」という意味ではないため、使用中の機器を販売店へ持ち込んで確認してください。
タイプⅢ|ショートスロープの法人向け仕様
タイプⅢは、リヤバンパーと一体化したショートスロープを備えた仕様です。
バックドアを開けると、車高降下とスロープの展開が行われます。
一般的な引き出し式スロープよりも、車両後方に必要な作業スペースを短くできるのが特徴です。
トヨタでは、短時間で何度も乗降を行う施設や法人向けの仕様として案内しています。
タイプⅢのメリット
- スロープを手動で引き出す作業が不要
- 車両後方の乗降スペースを抑えやすい
- 乗降準備にかかる時間を短縮しやすい
- 介助者が利用者から目を離す時間を減らせる
- 送迎回数の多い施設で使いやすい
タイプⅢの注意点
ショートスロープは、一般的な引き出し式スロープとは形状や操作方法が異なります。
家庭で使用できないわけではありませんが、通常のタイプⅠと比べて本当に使いやすいか、実際に車いすを乗せて確認する必要があります。
タイプⅢが向いている利用者
- デイサービスや介護施設
- 病院や福祉事業所
- 1日に何度も車いすを乗降させる
- 車両後方のスペースが限られている
- スロープ展開作業を短くしたい
タイプⅢには、助手席側セカンドシート付と、セカンドシート無の2仕様があります。
迷ったときのタイプ選び
家庭の通院・買い物が中心
最初に検討したいのは、タイプⅠの助手席側セカンドシート付です。
車いす利用者の横に家族が座れ、車いすを使わない日は5人で乗車できます。
リクライニング車いすを使っている
タイプⅠの助手席側セカンドシート無、またはタイプⅡが候補です。
ただし、背もたれを倒した状態での全長や頭上スペースを確認する必要があります。
車いすを使用する障害児を送迎する
運転席から手が届く位置まで車いすが入るタイプⅡが候補です。
医療機器を使用する場合は、機器の置き場所、電源、チューブの取り回しも確認してください。
施設で何度も送迎する
乗降準備を短縮しやすいタイプⅢが候補です。
ただし、施設の駐車環境と使用する車いすに適しているか、導入前の確認が必要です。
介助者を助ける主な装備
車高降下機能
バックドアを開けると車両後部の車高が下がり、スロープを緩やかにします。
車高が完全に下がる前に車いすを乗せるのは危険です。
必ず車高降下の完了を確認してから乗降を開始してください。
セーフティベルト
車いすにベルトを掛けることで、スロープ上で車いすが後ろへ下がるのを防ぎます。
ベルトのたるみは自動的に巻き取られるため、介助者が車いすを押しやすい仕組みです。
セーフティベルトは、走行中の車いす固定装置とは役割が異なります。
車いす固定装置
車内の所定位置まで車いすを進めたあと、車いすを車両へ固定します。
発進前には、固定装置が確実にロックされているか確認します。
車いすの形状によっては正しく固定できない場合があるため、必ず実際の車いすで確認してください。
車いす用3点式シートベルト
車いすを車両に固定するだけでは、利用者本人の安全は確保できません。
利用者には、車いす用の3点式シートベルトを正しい位置で装着します。
腰ベルトが腹部にかからないよう、腰骨のできるだけ低い位置へ密着させる必要があります。
夜間照明灯
車いす乗車位置には夜間照明が用意されており、暗い場所でのベルト操作や固定確認を助けます。
ただし、照明があっても足元が見えにくい場所はあります。
夜間に使用する家庭は、実車で明るさを確認しましょう。
シエンタの車いす仕様車には、固定装置、3点式シートベルト、セーフティベルト、夜間照明、スロープ収納機能などが装備されています。
電動ウインチは必要?
シエンタの一部仕様では、電動ウインチを装着できます。
電動ウインチは、ベルトで車いすを引き上げ、スロープを上る介助を補助する装置です。
次のような場合には、電動ウインチを検討する価値があります。
- 利用者と車いすを合わせた重量が重い
- 介助者が高齢
- 腰や腕に不安がある
- 坂のある場所で乗降することが多い
- 介助者が一人で送迎する
- 乗降回数が多い
ただし、電動ウインチを付けても、介助者が車いすから手を離してよいわけではありません。
車いすの方向を調整し、利用者の姿勢を確認しながら操作する必要があります。
また、電動ウインチが故障した場合の緊急操作についても、納車時に説明を受けておきましょう。
トヨタでは、現行シエンタ車いす仕様車について、電動ウインチ装着車の操作方法や緊急時の対処方法を案内しています。
助手席ターンチルトシートとは?
ターンチルトシートは、助手席が外側へ回転しながら前方へ傾く装置です。
両足をそろえた状態で乗り降りしやすくなり、通常の助手席では身体をひねりにくい人の乗降を助けます。
現行シエンタでは、車いす仕様車タイプⅠの一部グレードなどにメーカーオプションとして設定されています。
ターンチルトシートが向いている人
- 車いす利用者とは別に、足腰の弱い家族も乗る
- 助手席への乗り降りで身体をひねりにくい
- 膝を大きく曲げるのが難しい
- 座席からの立ち上がりに不安がある
注意点
ターンチルトシートは、車外の低い位置まで電動下降するリフトアップシートではありません。
手動で回転・チルトさせる装置です。
また、膝や首が曲がりにくい人、シートへ深く座れない人は、足や頭が車体に当たり、使用できない場合があります。
ターンチルトシートにはチャイルドシートを装着できません。
現行シエンタ福祉車両の新車価格
トヨタ公式サイトに掲載されている現行シエンタ車いす仕様車のメーカー希望小売価格は、約213万9,000円から316万1,000円です。
価格は仕様、グレード、ガソリン車・ハイブリッド車によって異なります。
タイプⅠの価格
助手席側セカンドシート付
- ガソリン X:224万7,000円
- ガソリン G:256万円
- ガソリン Z:284万3,000円
- HYBRID X:257万4,000円
- HYBRID G:287万8,000円
- HYBRID Z:316万1,000円
助手席側セカンドシート無
- ガソリン X:218万9,000円
タイプⅡの価格
- ガソリン X:241万7,000円
- ガソリン G:273万円
タイプⅢの価格
助手席側セカンドシート付
- ガソリン X:219万7,000円
- ガソリン G:251万円
- HYBRID X:252万4,000円
助手席側セカンドシート無
- ガソリン X:213万9,000円
上記は、トヨタ公式サイトで2026年7月に確認したメーカー希望小売価格です。
シエンタの車いす仕様車は、対象となる構造を備えているため、掲載価格は消費税非課税です。
登録費用、保険料、自動車税、リサイクル料金、メーカーオプションなどは別途必要です。
車両価格以外に必要な費用
福祉車両を購入するときは、車両本体価格だけではなく、次の費用も確認しましょう。
- 登録諸費用
- 自動車保険
- リサイクル料金
- 希望ナンバー
- メーカーオプション
- 販売店装着オプション
- ドライブレコーダー
- スタッドレスタイヤ
- メンテナンスパック
- 車いす用ヘッドレスト
- 胸部固定ベルト
- 電動ウインチ
- スペースアッププレート
車いす用ヘッドレストや胸部固定ベルトは、利用者の姿勢や車いすの構造によって必要性が変わります。
「標準装備だけで十分」と判断せず、本人の姿勢に合わせて検討してください。
消費税非課税と自動車税減免の違い
福祉車両の税制度で混同しやすいのが、消費税非課税と自動車税の減免です。
消費税非課税
車いすと利用者を一緒に乗せるための昇降装置と、車いす固定装置を備えた車両は、一定の条件により消費税が非課税になります。
シエンタの車いす仕様車は、メーカー価格が消費税非課税として表示されています。
ただし、すべての福祉装備や通常車が自動的に非課税になるわけではありません。
自動車税の減免
自動車税の減免は、利用者の障害等級、車の所有者、運転者、使用目的などによって決まります。
福祉車両を購入しただけで、自動的に全額免除される制度ではありません。
制度や申請期限は自治体によって異なります。
必ず契約前に、都道府県税事務所や市区町村の障害福祉窓口へ確認してください。
補助金を前提に購入しない
福祉車両には、自治体、社会福祉協議会、財団などの助成制度が利用できる場合があります。
しかし、すべての個人が車両購入費の補助を受けられるわけではありません。
制度によって、対象者、所得制限、車両条件、申請時期が異なります。
特に注意したいのが、購入前申請です。
車を契約したあとや納車後に申請しても、対象にならない制度があります。
購入を決める前に、次の窓口へ確認しましょう。
- 市区町村の障害福祉担当窓口
- 都道府県税事務所
- 社会福祉協議会
- 勤務先の福祉制度担当
- 福祉車両に詳しい販売店
法人や福祉施設向けの助成は、個人向け制度とは別に募集されることがあります。
募集時期や対象条件が毎年変わるため、過去の助成事例だけを見て購入計画を立てないようにしましょう。
中古のシエンタ福祉車両を選ぶときの注意点
シエンタの車いす仕様車は、中古市場でも流通しています。
中古車では、新車より費用を抑えられる可能性がありますが、福祉装置の状態を通常車以上に詳しく確認する必要があります。
年式によってモデルが異なる
シエンタの車いす仕様車には、大きく分けて次の世代があります。
- 2015年7月~2022年7月販売モデル
- 2022年8月以降の現行モデル
旧型と現行型では、車内レイアウト、スロープ、固定装置、車いす乗車スペース、操作方法が異なります。
「シエンタのタイプⅠ」という名称だけで判断せず、年式と型式を確認しましょう。
福祉装置を一通り動かす
中古車を見学するときは、次の動作を連続して確認してください。
- バックドアを開ける
- 車高が正常に降下する
- スロープを展開する
- セーフティベルトを引き出す
- 車いすを乗車位置まで進める
- 車いす固定装置を作動させる
- 車いす用シートベルトを装着する
- 固定を解除する
- スロープを収納する
- 車高が元へ戻る
一度動いただけで正常と判断せず、可能であれば複数回操作してください。
異音や動作の遅れを確認する
次の症状がある車両は、購入前に点検や修理費用を確認しましょう。
- 車高が下がるまで時間がかかる
- 車高降下中に異音がする
- 左右で車高の下がり方が違う
- スロープが引っかかる
- ベルトが巻き取られない
- 固定装置がロックされにくい
- 警告音が止まらない
- 夜間照明が点灯しない
- 電動ウインチの動作が不安定
福祉装置の整備記録を確認する
一般的な点検記録簿だけでなく、福祉装置の点検歴を確認してください。
販売店には次の内容を質問しましょう。
- 福祉装置を最後に点検した時期
- 車高降下装置の修理歴
- 固定ベルトやワイヤーの交換歴
- スロープの修理歴
- 電動ウインチの点検歴
- 購入後の保証範囲
- 福祉装置を修理できる店舗
- 部品が取り寄せられるか
中古車保証に加入しても、福祉装置が保証対象外になっている場合があります。
保証書の「対象部品」を確認してください。
購入前に自分の車いすを測る
シエンタの車いす仕様車を選ぶうえで、車いすの寸法確認は欠かせません。
少なくとも次の寸法を測りましょう。
- 車いすの全長
- 車いすの全幅
- 地面から頭頂部までの高さ
- 床から座面までの高さ
- 背もたれの高さ
- 介助用ハンドルまでの高さ
- フットレストの先端位置
- 後輪の外幅
- 車いす本体の重量
- 利用者を含めた総重量
リクライニング車いすの場合は、背もたれを実際の乗車角度まで倒した状態で全長と高さを測ります。
ヘッドレスト、酸素ボンベ、人工呼吸器、吸引器などを装着した状態でも確認してください。
トヨタは仕様ごとに「乗車可能な車いすの目安」を示していますが、目安以内でも車いすの形状や付属品によって干渉する場合があります。
必ず本人と車いすを実車へ持ち込む
カタログ寸法だけで購入を決めるのはおすすめできません。
可能であれば、次の人と物をそろえて展示車や試乗車を確認しましょう。
- 実際に乗る車いす利用者
- 普段使っている車いす
- 主に介助する家族
- 日常的に使用する医療機器
- 普段持ち歩く介護用品
確認する項目は次のとおりです。
- スロープを無理なく上がれるか
- 頭がバックドアや天井に当たらないか
- フットレストが床やスロープに当たらないか
- 車いすを正しい位置で固定できるか
- シートベルトが首や腹部にかからないか
- 車内で姿勢を保てるか
- 介助者が横に座れるか
- 医療機器を置けるか
- 荷物を積む場所が残るか
- 車いすを乗せた状態でバックドアを閉められるか
販売店の車いすで問題なく乗れても、自分の車いすが乗れるとは限りません。
自宅と病院の駐車スペースを確認する
スロープ車は、車両本体の大きさだけでなく、後方にスロープを展開するスペースが必要です。
次の場所を測っておきましょう。
- 自宅の駐車場
- 病院の駐車場
- 通所施設の乗降場所
- よく利用する店舗
- マンションの機械式駐車場
- 月極駐車場
確認するポイントは次のとおりです。
- 車両後方に十分な長さがあるか
- 地面が平らか
- 車止めが邪魔にならないか
- 後方を人や自転車が通らないか
- 雨の日に介助できるか
- バックドアを開けられる高さがあるか
- 道路へ車いすがはみ出さないか
スロープは、平坦で安全な場所で使用するのが基本です。
急な坂道や大きな段差がある場所では、カタログどおりの角度にならず、介助負担が増える可能性があります。
軽福祉車両とシエンタの違い
N-BOX、タント、スペーシアなどの軽自動車にも、車いすスロープ仕様があります。
軽福祉車両は維持費や取り回しの良さが魅力ですが、シエンタとは室内の余裕が異なります。
| 比較項目 | 軽福祉車両 | シエンタ |
|---|---|---|
| 車体 | 小さく運転しやすい | 軽より大きいが5ナンバーサイズ |
| 維持費 | 比較的安い | 軽より高い |
| 車いす周辺 | 狭くなりやすい | 比較的余裕がある |
| 荷物 | 積載量が限られる | 介護用品を載せやすい |
| 長距離移動 | 車種によって負担が出やすい | 比較的安定しやすい |
| 家族の乗車 | 人数が限られやすい | セカンドシート付なら使いやすい |
近距離の送迎が中心で、駐車場が狭い場合は軽福祉車両が向いていることがあります。
家族も乗り、荷物も多く、通院距離が長い場合はシエンタが候補になります。
ノア・ヴォクシーとシエンタの違い
ノアやヴォクシーのウェルキャブは、シエンタより室内が広く、多人数での移動に向いています。
一方、車体が大きく、購入価格や維持費も高くなります。
| 比較項目 | シエンタ | ノア・ヴォクシー |
|---|---|---|
| 車体 | コンパクト | ミドルサイズ |
| 運転 | 比較的しやすい | 狭い道では注意が必要 |
| 室内 | 車いす1名の家庭利用向き | 多人数・大きな車いすに対応しやすい |
| 荷物 | 日常使用には十分 | 介護用品を多く積みやすい |
| 新車価格 | 比較的抑えやすい | シエンタより高い |
| 送迎用途 | 家庭・小規模送迎 | 家族・施設・多人数送迎 |
車いす利用者1名と家族数名で使うならシエンタが選びやすく、乗車人数や荷物が多い場合はノア・ヴォクシーが候補になります。
シエンタ福祉車両が向いている家庭
シエンタの車いす仕様車は、次のような家庭に向いています。
- 車いすのまま乗車したい
- 大型ミニバンは運転しにくい
- 通院や買い物で日常的に使用する
- 家族用の車と介護送迎車を兼用したい
- 軽福祉車両では室内が狭い
- 車いす利用者の横に介助者が座りたい
- 新車の福祉車両を選びたい
- ハイブリッド車を検討したい
- 将来も長く使用する予定がある
一方、次のような場合は、ほかの車種も比較した方がよいでしょう。
- 車いすを2台載せたい
- 大型電動車いすを使用している
- 背の高いリクライニング車いすを使用している
- 医療機器や荷物が非常に多い
- 6人以上で乗る機会が多い
- 施設で多人数を送迎する
- 車いす利用者の頭上に大きな余裕が必要
購入前チェックリスト
シエンタの福祉車両を契約する前に、次の項目を確認しましょう。
利用者と車いす
- 車いすの全長・全幅・高さを測った
- 利用者を乗せた状態で実車確認した
- 頭や足が車体に当たらない
- 車内で姿勢を保てる
- シートベルトを正しく装着できる
- 使用中の医療機器も積める
介助者
- 一人でスロープを操作できる
- 車いすを無理なく押し上げられる
- 固定装置を扱える
- 腰や腕に大きな負担がない
- 電動ウインチが必要か確認した
- 雨天時の介助方法を確認した
車両と装備
- タイプⅠ・Ⅱ・Ⅲの違いを理解した
- 必要な乗車人数を確保できる
- 助手席側セカンドシートの有無を確認した
- スロープと車高降下装置を操作した
- 固定装置とシートベルトを確認した
- オプションと標準装備を区別した
購入後
- 福祉装置の保証範囲を確認した
- 点検や修理ができる店舗を確認した
- 故障時の緊急操作を教わった
- 税の減免を契約前に確認した
- 補助制度を購入前に確認した
- 福祉車両の代車があるか確認した
よくある質問
シエンタは車いすのまま乗れますか?
車いす仕様車であれば、車両後部のスロープから車いすに座ったまま乗車できます。
通常仕様のシエンタには、スロープや車いす固定装置はありません。
シエンタの福祉車両は新車で買えますか?
現在も現行モデルとして販売されており、新車を注文できます。
ただし、通常車より納期が長くなる場合があるため、販売店へ確認してください。
どのタイプが一般家庭向きですか?
一般的な通院や買い物で使用する家庭では、タイプⅠの助手席側セカンドシート付が最初の候補になります。
ただし、使用する車いすの大きさや必要な介助によっては、タイプⅡやセカンドシート無が適している場合があります。
電動車いすも乗せられますか?
電動車いすの寸法、重量、最低地上高、タイヤ幅などが乗車条件を満たせば、乗車できる可能性があります。
ただし、電動車いすは一般的な手動車いすより重く、形状も異なります。
必ず実車と実際の電動車いすで確認してください。
リクライニング車いすも乗せられますか?
タイプⅠやタイプⅡは、条件を満たすリクライニング機構付き車いすにも対応しています。
背もたれを倒したときの全長と頭上の高さを確認する必要があります。
スロープは自動ですか?
タイプⅠとタイプⅡは、基本的に引き出し式の手動スロープです。
タイプⅢは、バックドアを開けると車高降下とショートスロープの展開が行われます。
車いすを固定すれば、利用者のシートベルトは不要ですか?
必要です。
車いすの固定装置は車いすを車両へ固定するもので、利用者本人を保護するものではありません。
利用者には車いす用シートベルトを正しく装着してください。
中古車でも税金の減免を受けられますか?
中古車でも条件を満たせば、自動車税の減免対象になる場合があります。
ただし、障害等級、所有者、運転者、使用目的、自治体によって条件が異なります。
購入前に管轄の税事務所へ確認してください。
まとめ|シエンタは日常使用しやすい現行の車いす福祉車両
トヨタ・シエンタの車いす仕様車は、コンパクトな車体と車いすスロープを組み合わせた、家庭で使いやすい福祉車両です。
タイプ選びの基本は次のとおりです。
- 家庭での通院や買い物にはタイプⅠ
- 運転席の近くに車いすを乗せるならタイプⅡ
- 施設などで短時間の乗降を重視するならタイプⅢ
ただし、同じタイプでも、助手席側セカンドシートの有無、車いすの大きさ、乗車人数によって使い勝手は変わります。
カタログに書かれた寸法だけで判断せず、利用者本人、普段使用している車いす、主な介助者がそろって実車を確認することが重要です。
車いすが車内へ入るだけでなく、正しく固定できるか、利用者が安全な姿勢を保てるか、介助者が毎日無理なく操作できるかまで確認してください。

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