購入前に測る車いすの寸法|車いすに合う中古車探し【全3回・第1回】

中古車で福祉車両を探すとき、年式や走行距離、車両価格から見始める人は少なくありません。

しかし、最初に確認したいのは、

「今使っている車いすが、その車に本当に乗るか」

という点です。

同じ「車いす対応車」でも、乗せられる車いすの大きさや形状は車種によって異なります。

メーカーが示す寸法の範囲内であっても、車いすの形状や付属品によっては乗車できない場合があります。そのため、購入前には実際に使用している車いすで乗車確認をすることが大切です。

この記事では、車いすに合う中古車を探す前に測っておきたい寸法と、測定時に見落としやすいポイントを解説します。

目次

「車いすだけ」の寸法を測っても足りない

中古車探しで必要なのは、カタログに書かれている車いす単体の寸法だけではありません。

実際に車へ乗るときと同じ状態、つまり、

  • 利用者が車いすに座っている
  • 普段使っているクッションを敷いている
  • ヘッドレストやフットサポートを取り付けている
  • 医療機器や荷物を載せている

という状態で測る必要があります。

車いす本体は入っても、利用者の頭が天井やバックドアの開口部に当たることがあります。

反対に、車内の高さには余裕があっても、フットプレートや転倒防止バーがスロープの途中で引っかかることもあります。

トヨタも車いすで乗車できるかを判断するときは、車両の開口高や室内高だけでなく、利用者の座高を考慮するよう案内しています。

測定前に準備するもの

車いすの寸法を測るときは、次のものを用意します。

  • 2メートル程度まで測れるメジャー
  • 寸法を書き込むメモ
  • スマートフォンまたはカメラ
  • できれば測定を手伝ってくれる人

測定場所は、傾斜のない平らな床を選びましょう。

利用者には、普段車に乗るときと同じ姿勢で車いすに座ってもらいます。

一人がメジャーを持ち、もう一人が数値を確認したり、写真を撮ったりすると正確に測りやすくなります。

購入前に測っておきたい車いすの寸法

1.利用者を含めた全高

最も重要なのが、利用者が車いすに座った状態での高さです。

床から次のうち最も高い位置までを測ります。

  • 利用者の頭
  • ヘッドレスト
  • 車いすの背もたれ
  • 医療機器や取り付け部品

利用者の頭よりヘッドレストのほうが高い場合は、ヘッドレストの上端まで測ります。

ティルト機能やリクライニング機能を使用している場合は、普段の乗車姿勢だけでなく、高さが最も高くなる姿勢でも測っておくと安心です。

車いす単体の高さではなく、利用者が座った状態での床から最高部までの高さを記録しましょう。

2.車いすの全幅

全幅は、車いすの左右で最も外側に出ている部分を測ります。

一般的には、次の部分を含めます。

  • ハンドリム
  • 後輪
  • アームサポート
  • サイドガード
  • 酸素ボンベホルダー
  • バッグや取り付け部品

タイヤ部分だけを測ると、実際の幅より狭く記録してしまうことがあります。

Hondaの車いす仕様車でも、乗車可能な車いすの全幅は「ハンドリムを含む寸法」として示されています。

左右で張り出している部品が異なる場合は、一番幅が広い部分を測ってください。

3.車いすの全長

全長は、車いすの前端から後端までを測ります。

前側は、つま先やフットプレートの先端まで含めます。

後ろ側は、次のうち最も後方に出ている部分まで測ります。

  • 介助用ハンドル
  • 転倒防止バー
  • リクライニング機構
  • 荷物入れ
  • 酸素ボンベ
  • 医療機器の取り付け部品

中古車の車内寸法に車いす本体が収まっても、介助者用ハンドルが前席に当たったり、フットプレートがバックドアに干渉したりすることがあります。

運転席や助手席を普段の位置まで下げた状態で、十分な長さが残るか確認することが重要です。

4.前輪から後輪までの長さ

車いすの全長とは別に、

前輪の前端から後輪の後端まで

の長さも測ります。

この寸法は、車いすが車内の床面に収まるか、固定装置を適切な位置に取り付けられるかを確認するときに役立ちます。

メーカーの寸法表でも、全長とは別に、前輪から後輪までの寸法が示されていることがあります。

5.フットプレートの幅と地上高

フットプレートは、スロープ乗車時に見落とされやすい部分です。

次の2か所を測っておきましょう。

  • 左右のフットプレートを含めた外側の幅
  • 床からフットプレートの最も低い部分までの高さ

フットプレートの位置が低いと、スロープの入口や折れ曲がる部分に接触することがあります。

フットプレートを上げたり高さを調整したりできる場合は、通常使用時と調整時の両方を記録しておくと、販売店で相談しやすくなります。

6.介助用ハンドルまでの高さと長さ

車いすの後ろにある介助用ハンドルも測ります。

確認したいのは、

  • 床からハンドル上端までの高さ
  • 前輪の前端からハンドル後端までの長さ

です。

車内に入った後、ハンドルが天井や前席に近すぎると、介助者が固定ベルトを操作しにくくなります。

リクライニング式やティルト式の車いすは、背もたれの角度によってハンドルの位置が大きく変わることがあるため注意してください。

7.利用者・車いす・付属品を合わせた重量

重量は寸法ではありませんが、必ず一緒に記録しておきたい項目です。

確認する重量は、

  • 利用者の体重
  • 車いす本体の重量
  • クッションやヘッドレスト
  • 医療機器
  • 酸素ボンベ
  • 車いすに載せた荷物

を合計したものです。

車両のスロープや電動ウインチ、リフトには、それぞれ使用できる重量の上限があります。

特に電動車いすは、手動車いすより重くなることが多いため、販売店に合計重量を伝えて確認しましょう。

医療機器や付属品も付けた状態で測る

車いす本体だけなら入る場合でも、付属品を取り付けることで寸法が大きく変わることがあります。

特に注意したいのは、

  • 呼吸器
  • 吸引器
  • 酸素ボンベ
  • バッテリー
  • テーブル
  • 点滴スタンド
  • 転倒防止バー
  • 大型ヘッドレスト
  • バッグや荷物入れ

などです。

日産も、電動車いすや、車いすの下に呼吸器や転倒防止部品などを取り付けている場合は、特に注意が必要だと案内しています。

普段は取り外している部品でも、外出時に使用する可能性があるものは、取り付けた状態と外した状態の両方を測っておきましょう。

測定するときによくある失敗

車いすに誰も座っていない状態で測る

利用者が座るとクッションが沈んだり、車いすの姿勢が変わったりします。

また、利用者の頭や膝、つま先が車いす本体より外側に出ることもあります。

必ず実際に座った状態で測りましょう。

最も広い部分を測っていない

後輪の幅だけを測り、ハンドリムや酸素ボンベホルダーを含めていないケースがあります。

メジャーを車いすの左右に当て、最も外側に出ている部分を探してください。

数値を切り下げて記録する

例えば67.8センチだった場合に「67センチ」と記録すると、実際より小さな車いすとして判断されてしまいます。

端数は切り下げず、できるだけミリ単位で記録しましょう。

寸法だけで「乗れる」と判断する

車いすの寸法がメーカーの目安以内でも、フレームの形状や付属品、固定ベルトを取り付ける位置によっては乗車できない場合があります。

数値は中古車を絞り込むための目安です。

最終的には、実際に使用している車いすを持ち込み、乗車と固定まで確認しましょう。

写真を撮っておくと販売店に伝わりやすい

寸法を測るときは、メジャーを車いすに当てた状態で写真を撮っておくと便利です。

撮影しておきたいのは、

  • 利用者を含めた全高
  • 車いすの全幅
  • 車いすの全長
  • フットプレートの高さ
  • 車いすの側面
  • 車いすの正面
  • 車いすの後ろ側
  • 付属品や医療機器

です。

電話やメールで中古車販売店へ問い合わせる場合も、数値と写真を一緒に送れば、車いすの形状を伝えやすくなります。

ただし、写真だけで購入を決めず、契約前には実車で確認してください。

車いす寸法の記録表

中古車販売店へ行く前に、次の項目を記入しておきましょう。

【車いすの基本情報】

メーカー・製品名:

手動・電動:

ティルト機能:あり・なし

リクライニング機能:あり・なし

【利用者が座った状態での寸法】

床から最高部までの高さ:    mm

車いすの最大幅:        mm

車いすの最大長:        mm

前輪の前端から後輪の後端:   mm

前輪の前端からハンドル後端:  mm

フットプレートの最大幅:    mm

床からフットプレート最下部:  mm

【重量】

利用者の体重:         kg

車いす本体の重量:       kg

付属品・医療機器の重量:    kg

合計重量:           kg

【使用している付属品】

□ クッション

□ ヘッドレスト

□ テーブル

□ 酸素ボンベ

□ 呼吸器・吸引器

□ 転倒防止バー

□ バッグ・荷物入れ

□ その他

中古車販売店には車いすを持ち込む

寸法を測って候補車を絞り込んだ後は、実際に使用している車いすを中古車販売店へ持ち込みます。

確認するのは、単に「車内へ入るか」だけではありません。

  • スロープへ真っすぐ進入できるか
  • フットプレートが接触しないか
  • 利用者の頭や肩が開口部に当たらないか
  • 車内で頭上に余裕があるか
  • 膝やつま先が前席に当たらないか
  • 車いすを正しい位置で固定できるか
  • 利用者用シートベルトを正しく装着できるか
  • 運転席を普段の位置に調整できるか
  • バックドアを無理なく閉められるか

まで確認します。

中古車の場合は、同じ車種でも装備やシートの状態、床に敷かれているマットなどが異なります。

「同じ車種で乗れたことがあるから大丈夫」と考えず、購入する車両そのもので確認しましょう。

まとめ|車を探す前に車いすを測ろう

車いすに合う中古車を探すときは、車両の価格や年式を見る前に、まず現在使用している車いすの寸法を把握することが大切です。

特に確認したいのは、

  • 利用者を含めた全高
  • ハンドリムや付属品を含めた全幅
  • フットプレートから後方部品までの全長
  • 前輪から後輪までの長さ
  • フットプレートの幅と高さ
  • 介助用ハンドルの位置
  • 利用者と車いすを合わせた重量

です。

寸法表は候補車を絞り込むためには役立ちますが、数値だけで乗車できるとは限りません。

最後は必ず、普段使用している状態の車いすを実車に乗せ、乗降・乗車姿勢・固定まで確認してください。

次回は、車いすで乗車したときの負担や安全性に関係する「スロープ角度・室内高・乗車姿勢」について解説します。

車いすに合う中古車探し【全3回】

中古車の候補を絞るには、車いすの寸法だけでなく、スロープの傾斜や車内での乗車姿勢も確認する必要があります。

▶ 次の記事
スロープ角度・室内高・乗車姿勢|車いすに合う中古車探し【全3回・第2回】

この記事を書いた人

やんち
出歩くのが好きなやんちが、外出が困難な方に役立つ色んな情報を発信しています。

仕事:技士をしていましたが現在事務職です。車いすユーザーです。
   手動装置のクルマと電車で通勤してます。
趣味:テニスと英語と美術館巡り
特技:ラジオドラマ脚本は5分番組から1時間番組まで多数放送化されました。
資格:福祉車両取扱士

関西を中心に出来る限り実体験ベースで検証記事を書いています。

Xでは日常で気づいたことを書いています。

Substackでは「やんち」名義で、テーマを深掘りしています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次