中古福祉車両を買って後悔する原因|中古福祉車両の選び方【全4回・第1回】

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中古福祉車両は、新車より価格を抑えられることが大きな魅力です。

しかし、普通の中古車と同じ感覚で選んでしまうと、

「車いすを乗せにくかった」

「家族の介助が思ったより大変だった」

「購入後に福祉装置の修理費がかかった」

と後悔することがあります。

中古福祉車両を選ぶときに大切なのは、年式や走行距離、車両価格だけではありません。

車いすを乗せるためのスロープやリフト、回転シートなどの福祉装置が、自分たちの使い方に合っているかを確認する必要があります。

このシリーズでは、中古福祉車両を購入してから後悔しないための選び方を、全4回に分けて解説します。

第1回では、まず「中古福祉車両を買って後悔する主な原因」を見ていきましょう。

目次

中古福祉車両は「安いからお得」とは限らない

中古福祉車両を探していると、新車よりかなり安い車両が見つかることがあります。

予算内で購入できそうな車を見つけると、つい価格を最優先にしてしまうかもしれません。

しかし、福祉車両には、一般的な車にはない専用の装置が付いています。

例えば、次のような装置です。

・車いすを乗せるためのスロープ
・車いすを引き上げる電動ウインチ
・車いすを固定するベルトやフック
・車いすごと乗り込むためのリフト
・座席が外側へ回転する回転シート
・座席が車外へ下降する昇降シート

車両本体の状態が良くても、福祉装置に不具合があれば、安全に使用できません。

また、購入後に修理や部品交換が必要になると、せっかく安く購入しても、結果的に費用が高くなることがあります。

中古福祉車両は、単純に「車両価格が安いかどうか」だけでは判断できないのです。

後悔する原因1 車いすを実際に乗せずに購入した

中古福祉車両を購入するときに、特に避けたいのが、普段使用している車いすを乗せずに契約することです。

ひと口に車いすといっても、サイズや形状はそれぞれ異なります。

・一般的な自走式車いす
・介助式車いす
・リクライニング車いす
・ティルト式車いす
・電動車いす
・姿勢保持装置付きの車いす

車内の高さや幅が足りなければ、車いすを乗せることができません。

乗せられたとしても、車いす利用者の頭が天井に近すぎたり、介助者が無理な姿勢で固定作業をしなければならなかったりすることがあります。

特に、リクライニング車いすや電動車いすは、一般的な車いすより大きくて重い傾向があります。

販売店から「車いすを乗せられます」と説明されても、自分たちが使用している車いすが問題なく乗るとは限りません。

実際の車いすを持ち込み、乗せ降ろしまで確認することが重要です。

後悔する原因2 スロープの角度を確認していなかった

スロープタイプの福祉車両は、車いすを押して乗せられるため、便利そうに見えます。

しかし、車種や駐車場所によっては、スロープの傾斜が思ったより急になることがあります。

車いすを押し上げるときに電動ウインチを使用する車両でも、介助者は車いすの向きを調整したり、左右に傾かないように支えたりしなければなりません。

スロープが急すぎると、介助者の腕や腰に負担がかかります。

さらに、自宅の駐車場に傾斜がある場合や、道路との段差がある場合は、販売店の平らな展示スペースとは使用感が変わります。

店舗で問題なく乗せられたからといって、自宅でも同じように使えるとは限りません。

購入前には、スロープの長さや角度だけでなく、実際に使用する場所の広さや傾斜も考える必要があります。

後悔する原因3 介助する人の負担を考えていなかった

福祉車両を選ぶときは、車いす利用者の乗り心地だけでなく、介助する人の負担も重要です。

毎回の乗車では、次のような作業が発生します。

・スロープを出す
・車いすをスロープの前まで移動させる
・電動ウインチのフックを取り付ける
・車いすを車内へ誘導する
・車いす固定ベルトを取り付ける
・シートベルトを装着する
・降車時に同じ作業を逆の順番で行う

たまに使用するだけなら気にならなくても、通院や通学、デイサービスの送迎などで頻繁に使用すると、小さな負担が積み重なります。

介助者が高齢の場合や、腰痛、肩の痛みがある場合は、操作のしやすさが特に重要です。

「車いすを乗せられる車」ではなく、「毎回無理なく乗せ降ろしできる車」を選ばなければなりません。

後悔する原因4 福祉装置の状態を確認していなかった

中古車を選ぶとき、多くの人がエンジンやタイヤ、車体の傷、走行距離を確認します。

もちろん、それらも重要です。

しかし、中古福祉車両では、福祉装置の状態も同じくらい重要です。

例えば、電動ウインチが動いていても、次のような問題が隠れている場合があります。

・作動音が大きい
・途中で動きが遅くなる
・ワイヤーやベルトに傷みがある
・スイッチの反応が悪い
・左右の巻き取り速度が違う
・固定ベルトやフックが劣化している

スロープについても、開閉できるかどうかだけでなく、がたつきや変形、ロック部分の状態を確認する必要があります。

福祉装置の修理は、一般的な整備工場では対応できないことがあります。

部品の取り寄せや専門店での作業が必要になると、修理に時間がかかったり、費用が高くなったりする可能性があります。

「今は動いているから大丈夫」と考えず、整備記録や点検状況まで確認することが大切です。

後悔する原因5 必要な座席数と荷物スペースを考えていなかった

車いすを車内に乗せると、一般的な車より座席や荷物スペースが少なくなります。

車種によっては、車いすを乗せるために後部座席の一部を折りたたむ必要があります。

そのため、購入後に次のような問題が起きることがあります。

「家族全員が乗れなかった」

「介助者の座る場所が狭かった」

「買い物の荷物を置けなかった」

「旅行用の荷物を積めなかった」

「車いすを降ろさないと大きな荷物を積めなかった」

カタログ上の乗車定員だけを見ても、実際の使いやすさは分かりません。

車いす利用者が乗車した状態で、何人乗れるのか。

荷物をどこに置けるのか。

介助用品や酸素ボンベ、吸引器などを使用している場合は、それらを安全に置けるスペースがあるのか。

普段の外出だけでなく、通院や旅行など、荷物が多くなる場面も想定して選ぶ必要があります。

後悔する原因6 車いす利用者の乗り心地を確認していなかった

車いすのまま乗車する場合、車いす利用者は一般の座席より後方に乗ることが多くなります。

車の後方は、道路の段差や振動を感じやすいことがあります。

また、車いすの固定位置や車内の形状によっては、窓の位置が合わず、外が見えにくい場合もあります。

乗車中の音や振動、車内の明るさ、空調の効き方も、車いす利用者にとって重要です。

特に、体幹が不安定な人や、揺れに弱い人、感覚過敏がある人は、短時間の確認だけでは判断しにくいことがあります。

可能であれば、車いすを固定した状態で試乗し、普段よく走る道路に近い環境で乗り心地を確認したいところです。

後悔する原因7 今の状態だけで選んでしまった

福祉車両は、数年間使用することを前提に購入するケースが多いでしょう。

そのため、現在の身体状況だけでなく、今後の変化も考える必要があります。

今は介助者が抱きかかえて座席へ移乗できていても、体重が増えたり、介助者の体力が低下したりすると、移乗が難しくなることがあります。

現在は一般的な車いすを使用していても、将来的にリクライニング車いすや電動車いすへ変更する可能性もあります。

もちろん、将来の変化をすべて予測することはできません。

しかし、

「この車を何年くらい使用する予定なのか」

「介助方法が変わる可能性はないか」

「車いすが大型化しても対応できるか」

という視点を持つだけでも、車選びの失敗を減らせます。

中古福祉車両は走行距離だけでは判断できない

一般的な中古車選びでは、走行距離の少ない車が好まれる傾向があります。

しかし、中古福祉車両の場合、走行距離が少ないからといって、必ずしも福祉装置の状態が良いとは限りません。

短い距離の送迎を何度も繰り返していた車両では、走行距離が少なくても、スロープやウインチが頻繁に使用されている可能性があります。

反対に、走行距離が多少多くても、福祉装置の点検や整備がきちんと行われている車両もあります。

確認したいのは、走行距離だけではありません。

・どのような用途で使用されていたのか
・福祉装置がどのくらい使われていたのか
・定期的に点検されていたのか
・修理や部品交換の履歴があるのか

こうした情報を含めて判断する必要があります。

中古福祉車両で後悔しないために大切なこと

中古福祉車両を買って後悔する原因の多くは、車両の故障だけではありません。

自分たちの使い方と車両が合っていなかったことが、大きな原因になります。

特に重要なのは、次の5点です。

・普段使用している車いすを実際に乗せる
・車いす利用者と介助者の両方が確認する
・福祉装置を実際に動かす
・乗車人数と荷物スペースを確認する
・現在だけでなく数年後の使い方も考える

中古福祉車両は、価格や見た目だけで選ぶ車ではありません。

家族構成、車いすの種類、介助者の体力、使用する頻度、駐車場所などを整理してから探すことが大切です。

まとめ

中古福祉車両を購入して後悔する主な原因は、次のとおりです。

・車いすを実際に乗せずに購入した
・スロープの角度を確認していなかった
・介助する人の負担を考えていなかった
・福祉装置の状態を確認していなかった
・必要な座席数や荷物スペースを考えていなかった
・車いす利用者の乗り心地を確認していなかった
・将来の身体状況や介助方法の変化を考えていなかった

中古福祉車両選びでは、「車いすが乗るかどうか」だけでなく、「家族が無理なく使い続けられるか」を確認することが重要です。

価格が安くても、使いにくければ、外出の負担は減りません。

むしろ、乗せ降ろしのたびに大変な思いをすることになります。

次回は、中古福祉車両を探す前に整理しておきたい「自分たちに必要な福祉車両のタイプ」について解説します。

車いすスロープ車、リフト車、回転シート車などの違いを知り、使用目的に合った車両を絞り込んでいきましょう。

▶ 次回:年式・走行距離だけでは決められない中古福祉車両の選び方【全4回・第2回】

この記事を書いた人

やんち
出歩くのが好きなやんちが、外出が困難な方に役立つ色んな情報を発信しています。

仕事:技士をしていましたが現在事務職です。車いすユーザーです。
   手動装置のクルマと電車で通勤してます。
趣味:テニスと英語と美術館巡り
特技:ラジオドラマ脚本は5分番組から1時間番組まで多数放送化されました。
資格:福祉車両取扱士

関西を中心に出来る限り実体験ベースで検証記事を書いています。

Xでは日常で気づいたことを書いています。

Substackでは「やんち」名義で、テーマを深掘りしています。

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