車いすで泊まれるホテルを探すとき、最初から一軒ずつホテルへ電話する必要はありません。
まず予約サイトで候補を絞り、ホテル公式サイトで詳しい設備を確認する。
それでも分からないことだけ、ホテルへ問い合わせる。
この順番なら、車いすで使えるホテルを効率よく探せます。
ただし、ひとつ注意したいことがあります。
「バリアフリー対応」と表示されているだけで予約を決めないこと。
第1回から見てきたように、「車いすで泊まれる」と「自分がその部屋を使える」は別だからです。
今回は、自分に合ったホテルを探して予約するまでの流れを整理します。
まず自分の「絶対条件」を決めておく
ホテルを検索する前に、自分に必要な条件を絞っておきます。
たとえば一人で泊まるなら、
- ベッドへ自力で移乗できる
- トイレを一人で使える
- 客室内を車いすで移動できる
- 浴室はシャワーだけ使えればいい
などです。
介助者と泊まる場合なら、
- 車いすでベッド横まで行ける
- トイレに車いすで入れる
- 浴室に介助スペースがある
といった条件になるかもしれません。
すべての設備が理想的なホテルを探すのではなく、これがなければ泊まれないという条件を先に決めるのがポイントです。
予約サイトは「候補を探す場所」と考える
予約サイトでは、バリアフリー客室や車いす対応に関する情報から宿を探せます。
ここで目的地、宿泊日、料金などと合わせて候補を絞ります。
ただし、
「車いす可」
「バリアフリー対応」
「バリアフリールーム」
と書かれていても、設備内容は同じではありません。
実際に予約サイトを見ると、
「車いす可」「貸出用車いす」「バリアフリー用トイレ」といった設備情報を掲載しているホテルもあれば、客室の段差や浴室、手すりまで詳しく説明しているホテルもあります。
つまり、予約サイトの表示は候補を見つける入口として使うのがいいでしょう。
まずは、じゃらんで宿の候補と空室を確認してみましょう。表示だけで予約を決めず、気になる宿が見つかったら、公式サイトやホテルへの問い合わせで必要な設備を確認してください。
※じゃらんnetへ移動します(PR)。設備・利用条件は予約前に各宿へご確認ください。
ここで予約を急がない
条件に合いそうなホテルを見つけても、すぐ予約する必要はありません。
いったんホテル名を控えて、次に公式サイトを確認します。
次にホテル公式サイトを見る
予約サイトより詳しいバリアフリー情報を、ホテル公式サイトに掲載している場合があります。
確認したいのは、
- バリアフリールームの写真
- 客室平面図
- ベッド周囲
- トイレ
- 浴室
- 客室入口
- 館内の段差
- エレベーター
- 貸出備品
などです。
特に写真は重要です。
「広いバリアフリールーム」と書かれていても、自分が移乗したい側に家具が置かれていることがあります。
逆に、詳しい寸法が書かれていなくても写真を見れば、
「これならベッド横まで行けそうだ」
と判断できる場合もあります。
予約サイトと公式サイトの両方を見ることで、かなり情報を補えます。
それでも分からないことだけホテルに聞く
ここまで調べても判断できない部分は、ホテルへ直接確認します。
何でも電話で聞く必要はありません。
自分が宿泊できるかどうかを左右する部分だけ聞けば十分です。
たとえば、
「ベッドの右側に車いすを横付けできますか?」
「便器の右側に車いすを付けられますか?」
「シャワーチェアはありますか?」
「ベッド横の椅子を移動してもらえますか?」
などです。
「車いすですが泊まれますか?」
だけでは、十分な確認にはなりません。
ホテル側は、利用者がどんな動作をするのか分からないからです。
一人で泊まるなら「できないこと」を伝える
車いすで一人旅をする場合は、ここが特に重要です。
ホテル側へ長い障害説明をする必要はありません。
たとえば、
「手動車いすを使用しています。ベッドとトイレへの移乗は自分でできます」
「一人で宿泊します。ベッドの右側に車いすを横付けする必要があります」
「浴槽は使用しません。シャワーチェアがあればシャワーは自分で利用できます」
このように伝えれば、ホテル側も判断しやすくなります。
そして、一部だけ手助けが必要なら、
「ベッド横の椅子だけ移動していただくことはできますか?」
など、必要なことだけ確認します。
第3回で見たように、ホテルには合理的配慮という考え方があります。
ただし、ホテルスタッフがすべての身体介助を行ってくれるわけではありません。
だからこそ、予約前に「ここだけ手伝ってほしい」という部分を確認しておくことが重要です。
介助者同行なら、そのことも伝えておく
介助者と宿泊する場合は、
「移乗やトイレ、入浴の介助は同行者が行います」
と伝えることで、ホテル側も必要な対応を判断しやすくなります。
ホテルにお願いしたいのが、
- 家具の移動
- シャワーチェアの準備
- 荷物の運搬
など環境面の対応だけなら、そのことを伝えれば十分です。
一人で泊まる場合と介助者同行では、同じ部屋でも必要な条件が違います。
予約時にも、この違いを伝えておいたほうが話が早くなります。
ホテルへの問い合わせ文は短くていい
メールや問い合わせフォームを使う場合は、必要な情報をまとめて送ります。
一人で宿泊する場合
車いすを使用しており、一人で宿泊予定です。
ベッド・トイレへの移乗は自分でできます。
ベッドの右側に車いすを横付けする必要がありますが、十分なスペースはありますでしょうか。
また、シャワーチェアの貸し出しがあれば利用したいと考えています。
ご確認をお願いいたします。
介助者と宿泊する場合
車いす利用者1名と介助者1名で宿泊予定です。
移乗・トイレ・入浴の介助は同行者が行います。
車いすでベッド横とトイレまで移動できるか、またシャワーチェアの貸し出しがあるか確認をお願いいたします。
障害の状態をすべて説明するより、ホテルで必要になる条件だけ伝えるほうが分かりやすくなります。
条件を確認できたら予約する
ここまで確認して問題なければ予約します。
流れをまとめると、
予約サイトで候補を探す
↓
ホテル公式サイトで客室を確認する
↓
分からない部分だけ問い合わせる
↓
自分の条件に合えば予約する
これで十分です。
予約サイトは「車いすで泊まれるホテルを探す場所」であり、最終的に自分が泊まれるかを判断するのは、設備情報とホテルへの確認です。
逆に言えば、条件さえ確認できれば、予約そのものは普通の旅行と変わりません。
「バリアフリールーム」が満室でも諦めない
バリアフリールームが満室でも、一般客室が使える人もいます。
たとえば、
- 客室入口に段差がない
- ベッド横まで車いすで入れる
- ユニットバスは使わない
- 館内に車いす対応トイレがある
という条件で問題なければ、必ずしも専用客室である必要はありません。
もちろん身体状況によりますが、
「車いすだからバリアフリールームしか泊まれない」と最初から決めない
ことも、選択肢を増やす方法の一つです。
一般客室を検討するときも、必要な条件だけホテルへ確認します。
予約サイトの口コミは「車いす利用者の口コミ」とは限らない
ホテルを選ぶとき、口コミも参考になります。
ただし、
「部屋が広かった」
「お風呂が使いやすかった」
という評価が、そのまま車いす利用者にも当てはまるとは限りません。
一般利用者にとって広い部屋でも、ベッド横に車いすを付けられなければ使いにくい。
浴室が高評価でも、入口に段差があれば使えないことがあります。
口コミはホテル全体の雰囲気やスタッフの対応を見る参考にして、車いすで使えるかどうかは設備情報で判断するほうが確実です。
まとめ|「車いす対応ホテル」を探すのではなく、自分が泊まれるホテルを探す
このシリーズで一貫して伝えてきたのは、
「バリアフリー」という表示だけでは、その人が泊まれるかどうかは分からない
ということです。
車いすの種類も違えば、移乗方法も違います。
一人で泊まる人もいれば、介助者と泊まる人もいます。
だから、
予約サイトで候補を広く探し、自分に必要な条件だけ確認する。
これが一番現実的です。
完璧なバリアフリーホテルを探す必要はありません。
自分が困る場所を知っていれば、自分に泊まれるホテルを選べます。
それが、車いすでのホテル選びを難しくしすぎないコツです。
自分に必要な条件を整理できたら、じゃらんで宿の候補と空室を確認してみましょう。候補が見つかったら、設備や利用条件をホテルへ確認してから予約すると安心です。
※じゃらんnetへ移動します(PR)。設備・利用条件は予約前に各宿へご確認ください。
車いすで泊まれるホテルの選び方【全4回】
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