「バリアフリールームだから大丈夫」と思って予約しても、自分には使いにくいことがあります。
大切なのは、設備の有無だけではありません。
車いすで近づけるか。
そこで必要な動作ができるか。
さらに、一人で泊まるなら「介助者がいなくてもできるか」まで確認する必要があります。
今回は、車いすでホテルに泊まるときに確認したい客室のポイントを整理します。
まず見るのは「広さ」より車いすの動線
客室面積が広くても、車いすで使いやすいとは限りません。
重要なのは、
- 入口からベッドまで進める
- ベッド横まで車いすを寄せられる
- トイレや浴室へ入れる
- 必要な場所で方向転換できる
といった実際の動線です。
椅子やテーブル、荷物台などが邪魔になることもあります。
ホテルの写真を見るときも、部屋全体の豪華さより床がどれくらい見えているか、家具の間を車いすで通れそうかを見たほうが参考になります。
一人で泊まるなら
家具を避けながら自分で移動できるかまで考えます。
介助者がいるなら
多少狭くても、車いすの向きを変えたり家具を動かしたりして対応できる場合があります。
同じ部屋でも、ここで評価が変わります。
ベッドは「高さ」だけでは判断できない
車いす利用者にとって、ベッドは特に重要です。
確認したいのは、
- ベッド横まで車いすを寄せられるか
- 移乗する側に十分なスペースがあるか
- ベッドと車いすの高さが大きく違わないか
- 移乗後の車いすをどこに置くか
です。
ベッドの高さだけ聞いて安心しても、横に車いすを付けられなければ意味がありません。
ツインルームでは、ベッド同士や壁との間隔も確認しておきたいところです。
一人で泊まるなら
特に考えたいのが、移乗した後の車いすです。
ベッドへ移ったあと、自分で手が届く位置に車いすを置けるか。
翌朝、一人で再び車いすへ戻れるか。
「ベッドへ移れるか」だけではなく、移乗前後まで含めて成立するかを見る必要があります。
介助者がいるなら
車いすを移動してもらえるため、ベッド周囲の条件は多少緩くできます。
ホテル側へ家具やベッド位置を変更できるか相談する方法もあります。
トイレは「手すりあり」だけでは足りない
ホテルのバリアフリー情報には、「手すり付きトイレ」と書かれていることがあります。
でも、重要なのは手すりの有無だけではありません。
- 車いすで便器まで近づけるか
- 自分が移乗する側にスペースがあるか
- 手すりの位置が自分に合っているか
- ドアを閉めた状態でも車いすを置けるか
を確認します。
車いすから便器への移乗方法は人によって違います。
正面から近づく人もいれば、横付けが必要な人もいます。
だから「車いす対応トイレ」という表示だけでは、自分に使えるかどうかまでは分かりません。
一人で泊まるなら
トイレは特に慎重に確認したい場所です。
ベッドは工夫できても、トイレで必要な移乗ができなければ一人での宿泊そのものが難しくなります。
浴室は「使わない」という選択もある
浴室はホテルによる違いが大きい場所です。
確認したいのは、
- 浴室入口の段差
- 車いすで入れるか
- シャワーチェアの有無
- シャワーまで手が届くか
- 手すりの位置
- 浴槽をまたぐ必要があるか
などです。
ただし、すべてをクリアするホテルを探す必要はありません。
浴槽への移乗が難しいなら、浴槽は使わずシャワーだけにするという選び方もあります。
旅行中の一泊なら、普段の生活とまったく同じ環境を求めるより、「何ができれば困らないか」で考えたほうがホテルを探しやすくなります。
一人で泊まるなら
濡れた場所での移乗は、普段できている動作でも条件が変わります。
シャワーチェアへ移れるか、入浴後に車いすへ戻れるかまで考えておきます。
介助者がいるなら
浴室は介助者のスペースも必要です。
「車いすが入れる広さ」だけではなく、車いす+利用者+介助者が動けるかを見る必要があります。
洗面台やスイッチも意外に使いにくい
大きな設備ばかりに目が向きますが、
- 洗面台の下に膝が入らない
- 鏡が高い
- コンセントに手が届かない
- カーテンを閉められない
- エアコンの操作パネルが高い
といったこともあります。
一つひとつは小さな問題ですが、一人で泊まる場合は誰かに頼めません。
特に、
ドア・照明・カーテン・空調・コンセント
など、宿泊中に必ず使うものは確認しておくと安心です。
「全部バリアフリー」である必要はない
ホテル選びで条件を増やしすぎると、泊まれるホテルが極端に少なくなります。
重要なのは、自分にとって必要な条件を分けることです。
たとえば、
絶対必要
- ベッドへ自力で移乗できる
- トイレを一人で使える
- 客室内を車いすで移動できる
できれば欲しい
- シャワーチェア
- 広い洗面台
- ベッド周囲の余裕
なくても困らない
- 浴槽
- 特定の位置の手すり
という具合です。
必要条件は人によって違います。
だからこそ、ホテル側が決めた「バリアフリー」という分類より、自分専用の宿泊条件を持っておくほうが役に立ちます。
ホテルの写真だけで分からなければ聞けばいい
予約サイトやホテル公式サイトの写真で分からないことは、予約前にホテルへ確認できます。
そのときも、
「車いすですが大丈夫ですか?」
ではなく、
「ベッドの右側に車いすを横付けできますか?」
「トイレの便器横に車いすを付けられますか?」
「シャワーチェアは借りられますか?」
のように、自分が必要とする動作を具体的に聞くほうが答えを得やすくなります。
ホテルに何を頼めるのか、どこからが身体介助になるのか。
これは次回、**「ホテルはどこまで手伝ってくれる?」**で詳しく取り上げます。
まとめ|部屋ではなく「自分の動作」を確認する
車いすで泊まれる部屋かどうかは、「バリアフリールーム」という名称だけでは判断できません。
見るべきなのは、
入口 → ベッド → トイレ → 浴室
と、自分の宿泊中の動作です。
そして介助者がいる場合と、一人で泊まる場合では必要な条件も変わります。
特に一人で泊まるなら、
「ここで少し手伝ってもらえれば大丈夫」
という場所がないかを事前に考えておくことが重要です。
ホテルの設備に自分を合わせるのではなく、自分に必要な条件に合うホテルを探す。
これが、車いすでホテルを選ぶ基本です。
車いすで泊まれるホテルの選び方【全4回】
第2回|車いすで泊まれる部屋の条件 ← 今ここ

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