車いすでホテルに泊まる|「バリアフリー対応」だけでは安心できない【第1回】

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車いすでホテルを探すとき、「バリアフリールームあり」「車いす利用可」と書かれていれば安心できそうに見えます。

でも、本当に知りたいのはそこではありません。

自分の車いすで部屋を使えるのか。
そして、介助者がいなくても泊まれるのか。

ここまで確認しないと、実際に泊まれるホテルかどうかは判断できません。

同じ部屋でも、介助者と一緒なら問題なくても、一人だと使えない場合があります。

このシリーズでは、単に「車いす対応ホテル」を探すのではなく、自分の身体状況や介助の有無に合ったホテルを選ぶ方法を全4回で考えます。

目次

「バリアフリー対応」でも使えるとは限らない

ホテルによって、「バリアフリールーム」「ユニバーサルルーム」「アクセシブルルーム」など表記はさまざまです。

一定規模のホテル・旅館には、法令上「車いす使用者用客室」の設置基準もあります。

ただし、基準を満たした部屋だからといって、すべての車いす利用者が同じように使えるわけではありません。

たとえば、

  • ベッドまで車いすで入れる
  • トイレに車いすで近づける
  • 浴室に段差がない

という部屋でも、

ベッドへ自力で移乗できるか、便器へ横付けできるか、シャワーチェアへ移れるか

によって使いやすさは変わります。

「車いすで入れる」と「車いす利用者が泊まれる」は、同じではありません。

介助者がいれば泊まれる。でも一人なら?

ホテル選びで見落としやすいのが、この違いです。

たとえば、ベッド横のスペースが少し狭くても、介助者が車いすを動かしてくれるなら問題にならないことがあります。

浴室も、介助者がいれば使えるかもしれません。

一方、一人で泊まる場合は違います。

自分でドアを開け、ベッドへ移乗し、トイレを使い、必要なら入浴する。

途中で「ここだけ誰かに手伝ってもらえれば」という場所があると、そこで宿泊が難しくなることがあります。

だからホテルを見るときは、

「介助者がいれば使えるか」

だけでなく、

「一人でも一連の動作ができるか」

という視点が必要です。

自分がどこまで介助を必要とするか

ホテルを探す前に、自分の宿泊スタイルを大まかに分けてみると分かりやすくなります。

ほぼ介助なしで宿泊できる人

設備が自分に合っていれば、一人で宿泊できるタイプです。

重要なのは、部屋の広さやベッド、トイレ、浴室などの設備。

ホテルスタッフによる身体介助をほとんど必要としないので、部屋の条件を正確に確認することが中心になります。

一部だけ手助けが必要な人

荷物を運んでもらいたい、家具を少し動かしてほしい、シャワーチェアを借りたいなど、一部分だけサポートが必要なケースです。

このタイプでは、設備だけでなくホテルがどこまで対応できるかも確認する必要があります。

継続的な身体介助が必要な人

移乗、トイレ、入浴などで継続的な介助が必要な場合は、ホテルのバリアフリー設備だけでは解決できません。

介助者との宿泊や、旅行先で利用できる介助サービスまで含めて考える必要があります。

つまり、「車いす利用者」という一括りではホテル選びはできないということです。

ホテルには「合理的配慮」という考え方もある

2024年4月から、民間事業者にも障害のある人への「合理的配慮の提供」が法的義務となりました。ホテルや旅館も対象です。

厚生労働省は、障害のある人が社会的なバリアを取り除くよう求めること自体は、新たな宿泊拒否事由には当たらないとしています。

具体例として、

「車いす利用者がベッドに移動する際に介助を求めること」

も挙げられています。

ただし、これは「ホテルスタッフが必ず移乗介助をしてくれる」という意味ではありません。

お願いできることと、ホテルが実際に対応できることは別です。

ホテル側の設備、人員、安全面などによって対応できる範囲は変わります。

この「ホテルはどこまで手伝ってくれるのか?」については、第3回で詳しく取り上げます。

予約サイトの「車いす対応」だけでは判断できない

ホテル予約サイトは候補を探すには便利ですが、一人で泊まれるかどうかまで判断できる情報が掲載されているとは限りません。

必要なのは、

予約サイトで候補を探す
→ 客室の設備を確認する
→ 分からない部分だけホテルに確認する

という使い分けです。

何を確認すればいいのかが分かっていれば、ホテルへの問い合わせも短く済みます。

逆に「車いすですが泊まれますか?」だけでは、ホテル側も判断しにくいでしょう。

大切なのは、障害名を詳しく説明することではなく、宿泊するときに何ができて、何に配慮が必要なのかを伝えることです。

このシリーズで確認していくこと

「車いすで泊まれるホテルの選び方」は全4回です。

第1回|「バリアフリー対応」だけでは安心できない
介助者同行と一人で泊まる場合の違いを含め、ホテル選びの基本を考えます。

第2回|車いすで泊まれる部屋の条件
ベッド、トイレ、浴室、客室内の動線など、実際に確認したい設備を整理します。

第3回|ホテルはどこまで手伝ってくれる?
合理的配慮と身体介助の違いを中心に、ホテルへお願いできることを考えます。

第4回|車いす対応ホテルの探し方
予約サイト、ホテル公式サイト、問い合わせを使って、自分に合うホテルを探す方法を紹介します。

「バリアフリー対応」という表示だけで選ぶのではなく、自分がその部屋で実際に宿泊できるか。

ここを基準にすると、ホテル選びはかなり変わってきます。

次回は、ベッド・トイレ・浴室など、車いすで泊まれる部屋を見分ける具体的なポイントを整理します。


車いすで泊まれるホテルの選び方【全4回】

第1回|「バリアフリー対応」だけでは安心できない ← 今ここ

第2回|車いすで泊まれる部屋の条件

第3回|ホテルはどこまで手伝ってくれる?

第4回|車いす対応ホテルの探し方

この記事を書いた人

やんち
出歩くのが好きなやんちが、外出が困難な方に役立つ色んな情報を発信しています。

仕事:技士をしていましたが現在事務職です。車いすユーザーです。
   手動装置のクルマと電車で通勤してます。
趣味:テニスと英語と美術館巡り
特技:ラジオドラマ脚本は5分番組から1時間番組まで多数放送化されました。
資格:福祉車両取扱士

関西を中心に出来る限り実体験ベースで検証記事を書いています。

Xでは日常で気づいたことを書いています。

Substackでは「やんち」名義で、テーマを深掘りしています。

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