車いすに乗ったまま乗車できるスロープ車やリフト車、乗り降りを助ける回転シート、障害のある方が運転するための手動運転装置。
こうした福祉車両や運転補助装置は、通院・通勤・買い物など、本人と家族の移動を支えてくれます。
ただし、福祉車両は一般車両より価格が高くなりやすく、購入費や改造費の負担も小さくありません。
そこで確認しておきたいのが、自治体の自動車改造費助成や、自動車税・軽自動車税の減免、消費税の非課税制度などです。
この記事では、2026年7月11日時点の公式情報をもとに、千葉県で利用できる福祉車両関連の支援制度を解説します。
最初に結論|2026年度に確認したい3つのポイント
1.自動車改造費助成は「障害者本人が運転するための改造」が中心
千葉県内の主要市が実施する自動車改造費助成は、身体障害のある本人が運転するための、ハンドル・ブレーキ・アクセル・手動運転装置などの改造費を助成する制度です。
家族が運転するスロープ車や、車いす用リフト、回転シートの購入費まで広く助成する制度ではありません。
千葉市・船橋市・市川市・松戸市・柏市の制度を確認すると、いずれも本人が運転するための操作装置・駆動装置の改造が中心となっています。
2.申請時期は自治体によって異なる
「福祉車両の助成は、すべて改造前に申請しなければならない」とは限りません。
例えば、千葉市は改造後1か月以内、船橋市は改造費を支払ってから1年以内の申請です。一方、松戸市と柏市は改造前の申請が必要です。
ただし、改造後に申請できる自治体でも、対象外となる改造を避けるため、契約や施工の前に市役所へ相談しておくのが安全です。
3.2026年度から「環境性能割」が廃止された
2026年3月31日をもって、自動車税の環境性能割は廃止されました。
また、2026年4月1日から、従来の「自動車税種別割」は「自動車税」に名称変更されています。軽自動車についても、環境性能割が廃止され、「軽自動車税種別割」は「軽自動車税」に名称変更されました。
そのため、古い情報にある「福祉車両購入時の環境性能割の減免」は、2026年度には利用できません。
千葉県で確認したい福祉車両の支援制度
個人や家族が確認したい制度は、主に次の7つです。
- 市区町村の自動車改造費助成
- 千葉県の自動車税減免
- 市区町村の軽自動車税減免
- 8ナンバーの車いす移動車等に対する自動車税減免
- 福祉車両・改造費に対する消費税の非課税
- 有料道路の障害者割引
- 福祉タクシー券・自動車燃料費助成・福祉車両貸出
それぞれ申請先や対象条件が異なります。
「市役所へ行けば、すべてまとめて手続きできる」というわけではないため注意しましょう。
市区町村の自動車改造費助成
助成の対象になりやすい改造
千葉県内の主要市では、次のような運転補助装置が助成対象となっています。
- 手動運転装置
- ハンドル旋回装置
- 左足用アクセル
- アクセル・ブレーキの改造
- 操向装置や駆動装置の改造
- 障害の状態に合わせた運転席の改造
基本的には、身体障害者手帳を持つ本人が、自分で車を運転するために必要な改造が対象です。
対象になりにくいもの
次のような費用は、主要市の自動車改造費助成では対象にならないのが一般的です。
- 車両本体の購入費
- 家族が運転する車のスロープ装置
- 車いす用リフト
- 車いす固定装置
- 助手席リフトアップシート
- 回転シート
- カーナビやドライブレコーダー
- ETC車載器
- タイヤやバッテリー
- 修理・点検・メンテナンス費用
ただし、自治体独自の制度が設けられている可能性もあるため、居住地の障害福祉担当課に確認してください。
千葉県内の主要市|自動車改造費助成の違い
千葉市
千葉市では、上肢・下肢・体幹機能障害が1級または2級の方が対象です。
就労などの社会参加に伴い、本人が所有し運転する自動車を改造する場合、10万円を上限として助成されます。
申請期限は、改造後1か月以内です。所得制限があり、2回目以降の助成は原則として前回の改造から4年以上経過している必要があります。
船橋市
船橋市では、身体障害者手帳の肢体不自由に該当する方が対象で、等級は問われません。
車両の所有者は、本人のほか、配偶者または生計を維持する扶養義務者でも認められます。ただし、実際に運転するのは障害のある本人です。
ハンドルやアクセルなどの改造費について、10万円を上限として助成されます。申請期限は、改造費を支払ってから1年以内です。
市川市
市川市では、上肢・下肢・体幹機能障害が1級または2級の方、またはこれに準ずる難病等の方が対象です。
本人が運転免許を持ち、本人または親族が所有する車を運転することが条件です。
操作装置や駆動装置などの改造費について、10万円を上限として助成されます。所得制限があり、再申請は前回の申請から4年以上経過している場合に限られます。
公式ページには見積書・請求書・領収書などが必要書類として掲載されていますが、申請時期については事前に障害者支援課へ確認しておきましょう。
松戸市
松戸市では、身体障害者手帳の肢体不自由が1級または2級で、本人が所有する車を就労のために改造する場合が対象です。
操向装置・駆動装置などの改造費について、10万円を上限として助成されます。
松戸市は、改造を行う前の申請が必要です。就労証明書や見積書なども求められます。
柏市
柏市では、上肢・下肢・体幹機能障害が1級から3級までの方が対象です。
本人または配偶者等の1親等の親族が所有する車を改造し、障害のある本人が運転できるようにすることが条件です。
助成額は対象経費の全額で、上限は10万円です。
改造前の申請が必要で、交付可否の決定まで30日程度かかる場合があります。また、改造は申請した年度内に終了させる必要があります。
自治体ごとに申請時期が違うので注意
主要5市だけでも、申請のタイミングは次のように異なります。
- 千葉市:改造後1か月以内
- 船橋市:改造費の支払いから1年以内
- 市川市:担当課への事前確認を推奨
- 松戸市:改造前
- 柏市:改造前
「後から申請すれば大丈夫だろう」と考えて改造すると、自治体によっては助成を受けられません。
販売店や改造業者へ正式に発注する前に、居住地の障害福祉担当課へ連絡しておきましょう。
千葉県の自動車税減免
普通自動車の自動車税は、一定の障害等級や利用条件を満たす場合、千葉県の減免を受けられることがあります。
対象となるのは、次の手帳を持つ方のうち、千葉県が定める障害区分・等級に該当する方です。
- 身体障害者手帳
- 戦傷病者手帳
- 療育手帳
- 精神障害者保健福祉手帳
療育手帳は、原則として「〇A・〇Aの1・〇Aの2・Aの1」などが対象です。精神障害者保健福祉手帳は1級が対象となります。
身体障害者手帳については、障害の種類や本人運転・家族運転によって対象等級が異なるため、千葉県の等級表を確認する必要があります。
家族が運転する車も対象になる場合がある
自動車税の減免は、障害のある本人が運転する場合だけではありません。
本人または生計を同じくする家族が車を所有・運転し、その車を手帳所持者の移動に使用する場合も、条件を満たせば対象になります。
ただし、手帳所持者が入院中で、実際には本人の移動に車を使用していない場合などは、減免対象になりません。
減免を受けられる車は原則1台
自動車税と軽自動車税の減免を同時に複数台で受けることはできません。
原則として、障害のある方1人につき、自動車または軽自動車のいずれか1台です。
申請先
普通自動車の自動車税減免は、千葉県の県税事務所または自動車税事務所へ申請します。
市役所の障害福祉課ではないため注意してください。
申請期限
4月1日時点で所有している車について初めて減免申請する場合は、納税通知書に記載された納期限までに申請します。
年度途中に新車や登録抹消済みの中古車を取得した場合は、原則として登録日から1か月以内です。
期限を過ぎると、その年度ではなく翌年度からの減免になる場合があります。
買い替えの場合は、これまで減免を受けていた車の抹消・名義変更時期によって、新しい車の減免開始時期が変わります。車を入れ替える前に、自動車税事務所へ確認しましょう。
軽自動車税の減免
軽自動車税は千葉県ではなく、車両の定置場がある市区町村が課税・減免を行います。
対象となる障害等級や所有者・運転者の要件、申請期限、必要書類は市区町村によって異なります。
多くの自治体では、納税通知書が届いてから納期限までの間に申請する必要があります。期限を過ぎると、その年度の減免を受けられない場合があるため注意してください。
普通自動車の減免を受けている場合、別の軽自動車について重ねて減免を受けることはできません。
8ナンバーの車いす移動車等に対する減免
車検証の「車体の形状」欄に、次のいずれかが記載されている8ナンバーの特種用途自動車は、構造を理由とした自動車税減免の対象になります。
- 車いす移動車
- 入浴車
自家用・営業用の別は問われず、リース車も対象です。
ただし、スロープや車いす固定装置が付いているだけで、すべての福祉車両がこの減免を受けられるわけではありません。
重要なのは、8ナンバーで登録され、車検証の車体の形状欄に「車いす移動車」などと記載されているかどうかです。
5ナンバーや3ナンバーの福祉車両でも、手帳所持者の障害等級や利用条件を満たせば、個人を対象とした自動車税減免を受けられる可能性があります。
福祉車両の消費税は非課税になることがある
一定の要件を満たす福祉車両は、消費税が非課税になります。
対象となる代表例は次のとおりです。
- 手動装置や左足用アクセルなどを備えた運転補助車
- 車いす昇降装置を装備した車
- 車いす固定装置など、必要な固定手段を備えた車
完成した福祉車両として購入する場合は、車両の譲渡代金が非課税になることがあります。
一方、一般車両を先に購入し、その後に福祉改造を行った場合は、最初に購入した一般車両は課税対象となり、改造費だけが非課税になる扱いです。
すべての「福祉仕様車」が自動的に非課税になるわけではありません。
見積書を受け取る際は、販売店に次のように確認しましょう。
「この車両または改造費は、身体障害者用物品として消費税非課税になりますか」
見積書では、車両本体・福祉装置・改造工賃・一般オプションを分けてもらうと確認しやすくなります。
自動車重量税は一律免除ではない
福祉車両だからという理由だけで、個人が所有する車の自動車重量税が一律に免除される制度はありません。
国土交通省が案内している自動車重量税の主な優遇制度は、エコカー減税、バス・トラック等のASV特例、ノンステップバス・リフト付きバス・ユニバーサルデザインタクシーに対するバリアフリー特例です。
個人用のスロープ車やリフトアップシート車は、障害者手帳を持っているという理由だけで重量税が免除されるわけではありません。
ただし、購入する車がエコカー減税の対象であれば、車両の環境性能に応じた免税・軽減を受けられる可能性があります。
有料道路の障害者割引
一定の条件を満たす身体障害者手帳または療育手帳所持者は、有料道路の障害者割引を利用できます。
割引率は通常料金の50%で、10円未満の端数は10円単位に切り上げられます。
利用には事前登録が必要で、所定の手続きを行えばETC走行でも割引を受けられます。
これは福祉車両の購入補助ではありませんが、通院や外出で高速道路を利用する家庭にとって、継続的な負担軽減につながります。
車いす用スロープ車を家族が運転する場合
家族が運転し、車いす利用者を乗せるためにスロープ車を購入する場合、主要市の自動車改造費助成は対象外となる可能性が高いです。
確認したい制度は次のとおりです。
- 障害者手帳を利用した自動車税または軽自動車税の減免
- 8ナンバーの車いす移動車に対する自動車税減免
- 車両または福祉改造費の消費税非課税
- 有料道路の障害者割引
- 市区町村の福祉タクシー券
- 市区町村の自動車燃料費助成
- 福祉車両の貸出制度
例えば千葉市では、対象者が福祉タクシー助成または自動車燃料費助成を選択する制度があります。また、市町村によってはスロープ付き福祉車両の貸出制度も設けられています。
購入費の直接補助だけを探すのではなく、税金・燃料費・高速料金などを組み合わせて、年間の負担を減らす視点が大切です。
申請前に準備したい書類
制度によって異なりますが、一般的には次の書類を求められます。
- 身体障害者手帳などの対象手帳
- 運転免許証
- 車検証または自動車検査証記録事項
- 改造内容が分かる見積書
- 改造装置のカタログ
- 改造費の請求書・領収書
- 本人または世帯の所得を確認できる書類
- 振込先口座が分かるもの
- 車の使用目的や家族関係を確認できる書類
- 就労を理由とする場合の就労証明書
電子車検証の場合は、電子車検証だけでなく「自動車検査証記録事項」の提出を求められることがあります。
失敗しない申請の進め方
1.居住地の障害福祉担当課へ相談する
販売店へ正式に注文する前に、市役所へ連絡します。
電話では、次のように伝えると話が早く進みます。
「障害者本人が運転するために、自動車へ手動装置を付ける予定です。自動車改造費助成の対象になるか、申請時期と必要書類を教えてください」
家族が運転するスロープ車の場合は、次のように確認します。
「車いす利用者を乗せるスロープ車を家族名義で購入予定です。利用できる購入助成、税金の減免、燃料費助成はありますか」
2.見積書を細かく分けてもらう
販売店や改造業者には、次の費用を分けた見積書を依頼しましょう。
- 一般車両本体
- 福祉装置本体
- 改造工賃
- 一般オプション
- 登録諸費用
- 消費税非課税部分
- 消費税課税部分
「福祉車両一式」としか書かれていない見積書では、助成対象経費を判断できないことがあります。
3.申請が改造前か改造後かを確認する
自治体ごとに申請時期が異なります。
必ず担当者に、次の3点を確認してください。
- 契約前の申請が必要か
- 改造前の申請が必要か
- 改造後の場合、何日以内に申請するのか
4.税金の申請先を確認する
申請先は制度ごとに異なります。
- 自動車改造費助成:市区町村の障害福祉担当課
- 普通自動車の自動車税:千葉県の県税事務所・自動車税事務所
- 軽自動車税:市区町村の税務担当課
- 消費税非課税:販売店・改造業者
- 有料道路割引:市区町村の福祉窓口またはオンライン申請
一つの窓口だけで手続きが完了するわけではありません。
よくある質問
中古の福祉車両でも支援を受けられますか?
中古車でも、自動車税・軽自動車税の減免対象になる可能性があります。
ただし、普通自動車を年度途中に名義変更だけで取得した場合、その年度の自動車税は前の所有者に課税されるため、新しい所有者の減免は翌年度からになることがあります。
自動車改造費助成については、新車か中古車かよりも、誰が所有・運転するか、どの装置を改造するか、申請時期を守っているかが重要です。
家族名義の車でも自動車改造費助成を受けられますか?
自治体によって異なります。
千葉市と松戸市は、原則として本人所有の車が対象です。
船橋市は、本人のほか、配偶者や生計を維持する扶養義務者の所有車も対象です。市川市と柏市も、一定範囲の親族所有車を認めています。
ただし、いずれも障害のある本人が運転することが基本条件です。
要介護認定だけでも改造費助成を受けられますか?
千葉県内の主要市で確認した自動車改造費助成は、身体障害者手帳や対象となる難病等を要件としています。
要支援・要介護認定を受けているだけでは、対象にならない可能性が高いでしょう。
スロープ付き福祉車両なら自動車税は必ず無料ですか?
必ず無料になるわけではありません。
8ナンバーの「車いす移動車」として登録されている場合は、構造を理由とする減免対象になります。
8ナンバーではない場合は、手帳の種類・等級、車の所有者、運転者、使用目的など、個人に対する減免条件を満たす必要があります。
契約後でも自動車改造費助成を申請できますか?
自治体によって異なります。
千葉市や船橋市のような事後申請型もありますが、松戸市や柏市のように改造前の申請が必要な自治体もあります。
契約後に気付いて慌てるより、契約前に確認するのが最も確実です。
福祉車両は自動車重量税も免除されますか?
個人用の福祉車両が、障害者手帳を理由として全国一律に重量税免除となる制度はありません。
エコカー減税の対象車であれば、車両の環境性能による軽減を受けられる可能性があります。
事業者向けの福祉車両導入支援
介護事業所、福祉タクシー事業者、NPO法人などが利用する車両については、個人向け制度とは別に、国・千葉県・市町村の公募型補助金が実施されることがあります。
ただし、公募の有無、対象車両、補助率、申請期間は年度ごとに変わります。
2026年度には、千葉県で地域交通事業者向けの次世代自動車導入補助が案内されていますが、これは福祉車両全般の購入補助ではなく、EV・PHEV・FCVなどを対象とする制度です。
事業者は、次の情報を定期的に確認しましょう。
- 千葉県公式サイトの補助金・公募情報
- 市区町村の事業者向け補助制度
- 国の補助金電子申請システム「jGrants」
- 国土交通省・厚生労働省の公募情報
- 公益財団法人や福祉団体の車両助成
補助金は交付決定前の契約・登録を認めないケースが多いため、募集要項を確認してから発注する必要があります。
まとめ|福祉車両を注文する前に市役所と税務窓口へ確認しよう
2026年度の千葉県では、個人向け支援の中心となるのは、自動車改造費助成と自動車税・軽自動車税の減免です。
ただし、自動車改造費助成は、障害のある本人が運転するための装置改造が中心です。
家族が運転するスロープ車やリフト車を購入する場合は、改造費助成だけでなく、次の制度を確認しましょう。
- 自動車税または軽自動車税の減免
- 8ナンバー車いす移動車の減免
- 消費税の非課税
- 有料道路の障害者割引
- 燃料費助成
- 福祉タクシー券
- 福祉車両貸出制度
また、申請時期は自治体によって異なります。
千葉市や船橋市は事後申請が可能ですが、松戸市や柏市は改造前の申請が必要です。
一番確実なのは、販売店へ正式注文する前に、居住地の障害福祉担当課と税金の担当窓口へ相談することです。
見積書を準備し、「誰が運転するのか」「誰が車を所有するのか」「どの装置を付けるのか」を伝えたうえで、利用できる制度を確認しましょう。
※この記事は2026年7月11日時点で確認できた公式情報をもとに作成しています。制度の対象要件、所得制限、上限額、必要書類、申請期限は変更される可能性があります。申請前に、千葉県および居住地の市区町村へ最新情報をご確認ください。
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