リフト車とは?サイドリフトアップシート車との違いと、個人家庭で必要になるケース

福祉車両を調べていると、「リフト車」という言葉を見かけることがあります。

ところが、この言葉は少し曖昧です。

車いすに乗ったまま昇降機で乗車する「車いす用リフト車」を指すこともあれば、車の座席が車外へ下がる「サイドリフトアップシート車」をイメージする人もいます。

この2つは、仕組みも利用する人もまったく異なります。この記事では、リフト車の意味と、個人家庭で車いす用リフト車が必要になるケースを分かりやすく解説します。

目次

車いす用リフト車とは?

車いす用リフト車とは、車両後部に設置された昇降機に車いすを載せ、利用者が車いすに乗ったまま車内へ乗り込める福祉車両です。

スロープを上るのではなく、リフトの床面が上下することで、車いすを車内の高さまで持ち上げます。

代表的なのは、ハイエースなどをベースにした大型の車いす仕様車です。ハイエースには、車いすの台数や乗車人数に応じた複数のレイアウトが用意されており、施設や病院などの送迎にも対応しやすい設計になっています。

一方、個人家庭でも比較的使いやすい車種として、日産セレナの「チェアキャブ リフタータイプ」があります。

セレナのリフタータイプは、車いす利用者を含めて6人乗り。リフトの昇降能力は通常160kgで、手動式の車いす固定装置を選んだ場合は170kgです。

サイドリフトアップシート車との違い

車いす用リフト車とサイドリフトアップシート車の大きな違いは、車いすのまま乗車するか、車の座席へ移乗するかです。

比較項目車いす用リフト車サイドリフトアップシート車
乗車方法車いすに乗ったまま乗車する車いすから車のシートへ移乗する
動く部分車両後部の昇降リフト助手席や2列目のシート
主な対象車の座席への移乗が難しい人車の座席へ移乗できる人
車いすの扱い車いすを車内に固定する車いすは別に収納する

サイドリフトアップシート車は、助手席や2列目シートが回転し、車外へスライドダウンする仕組みです。立ち上がりや着座を補助する車であり、車いすごと乗車する車ではありません。

簡単に分けると、次のようになります。

車いすごと乗るのが車いす用リフト車、車の座席そのものが下がるのがサイドリフトアップシート車です。

個人家庭ではスロープ車が候補になりやすい

個人家庭で車いすのまま乗車する場合は、まずスロープ車が候補になりやすいでしょう。

スロープ車は車両後部からスロープを展開し、車いすを車内へ乗せる仕組みです。軽自動車やコンパクトミニバンにも設定されているため、買い物や通院などの日常生活で使いやすいという利点があります。

現在のスロープ車には、大きめの車いすに対応した車種もあります。例えば、日産クリッパーリオのチェアキャブはスロープの耐荷重が200kgで、リクライニング車いすにも対応できる室内空間を備えています。トヨタ・シエンタにも、車いすのまま乗車できるスロープ式の福祉車両が用意されています。

そのため、車いすが少し大きいという理由だけで、必ずリフト車が必要になるわけではありません。

個人家庭でリフト車が必要になるケース

車いす用リフト車を個人家庭で使う人は、一般的には少数です。

ただし、スロープ車では対応が難しい次のような場合は、リフト車が選択肢になります。

  • 大型・重量級の電動車いすを使用している
  • リクライニング車いすや座位保持装置を使用している
  • スロープの傾斜によって姿勢が崩れてしまう
  • スロープを上ることに強い恐怖を感じる
  • 車いすと利用者の合計重量が、候補車の対応範囲を超えている
  • 車いすが長く、スロープ車の車内に収まらない
  • 車いす利用者のほかにも、複数の家族が乗車する必要がある

リフトは車いすを水平に近い状態で上下させるため、スロープの傾斜が難しい人には大きな利点があります。

ただし、リフトの耐荷重を満たしていても、車いすの全長や全高、足元の位置によっては乗車できないことがあります。

日産セレナのリフタータイプでも、完全にリクライニングした状態では乗車できず、足が車体に干渉しないか確認するよう案内されています。

リフト車を選ぶ前に確認したいこと

リフト車を検討するときは、カタログだけで判断しないことが重要です。

購入前には、少なくとも次の点を確認しましょう。

  • 車いすと利用者を合わせた重量
  • 車いすの全長・全幅・全高
  • リフト床面に車いす全体が収まるか
  • 乗車後に頭や足が車内へ干渉しないか
  • 車いすを安全に固定できるか
  • 自宅や利用先に車体を停められるか
  • リフトの点検や修理に対応できる販売店があるか

可能であれば、実際に使用している車いすを販売店へ持ち込み、本人が乗った状態で試乗・乗車確認を行いましょう。

メーカーも、車いすの乗車可否については、実車や販売店で確認するよう案内しています。

まとめ

車いす用リフト車は、車いすに乗ったまま後部の昇降機を使って乗車する福祉車両です。

座席が車外へ下がるサイドリフトアップシート車とは、仕組みも利用方法も異なります。

個人家庭では、日常的に扱いやすいスロープ車が候補になりやすく、車いす用リフト車を選ぶ家庭は限られます。

しかし、大型・重量級の電動車いすを使用している場合や、スロープの傾斜では安全に乗車できない場合など、リフト車でなければ対応できないケースもあります。

名称だけで車を選ぶのではなく、本人の移乗能力、車いすのサイズや重量、家族の乗車人数まで含めて判断することが大切です。

※この記事は2026年7月時点のメーカー公式情報をもとに作成しています。

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この記事を書いた人

やんち
出歩くのが好きなやんちが、外出が困難な方に役立つ色んな情報を発信しています。

仕事:技士をしていましたが現在事務職です。車いすユーザーです。
   手動装置のクルマと電車で通勤してます。
趣味:テニスと英語と美術館巡り
特技:ラジオドラマ脚本は5分番組から1時間番組まで多数放送化されました。
資格:福祉車両取扱士

関西を中心に出来る限り実体験ベースで検証記事を書いています。
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