福祉車両が故障し、修理費も高くなってくると、「そろそろ買い替えた方がいいのでは」と考えるようになります。
そこで気になるのが、
「故障している福祉車両でも売れるのか」
ということです。
結論から言えば、故障していても査定してもらうことはできます。
ただし、一般的な中古車と福祉車両では、査定で見られるポイントが少し違います。
今回は「福祉車両の故障・修理・維持費【全4回】」の最終回として、故障した福祉車両の査定・売却と、買い替えの進め方を解説します。
故障していても福祉車両は売れる?
故障しているからといって、必ずしも価値がなくなるわけではありません。
たとえば、
- 電動ウインチが動かない
- 車いす固定装置に不具合がある
- スロープの動きが悪い
- リフトが故障している
- 回転・昇降シートが動かない
といった状態でも、車本体に価値が残っていれば査定対象になります。
また、故障している福祉装置を修理できる業者や、部品取りとして活用できる業者であれば、一般的な中古車店とは違う評価になることもあります。
大切なのは、「壊れているから売れない」と自分で決めつけないことです。
福祉車両は一般車とは査定ポイントが違う
一般的な中古車では、
- 年式
- 走行距離
- 車種
- グレード
- 内外装の状態
- 修復歴
などが査定の中心になります。
福祉車両では、それに加えて、
- スロープの状態
- 電動ウインチの作動
- 車いす固定装置
- リフト
- 回転・昇降シート
- 福祉装置の種類
- 福祉装置の年式や状態
なども重要になります。
つまり、同じ車種・同じ年式でも、福祉装置の状態によって評価が変わる可能性があります。
故障を直してから売った方が高くなる?
これは必ずしもそうとは限りません。
たとえば、査定額を数万円上げるために10万円以上の修理費をかけるのであれば、結果として損をする可能性があります。
そのため、売却を考えているなら、
先に修理するのではなく、故障した状態のまま査定してもらう
のが基本です。
査定時に、
- どこが故障しているのか
- 修理見積もりはいくらか
- いつ頃から症状が出ているのか
を伝えれば、業者側で修理費を考慮して査定します。
そのうえで、
修理して乗る場合の費用
と
現状で売却した場合の査定額
を比較した方が判断しやすくなります。
「修理見積もり」と「査定額」を同時に取る
修理か買い替えか迷っている段階なら、どちらか一方だけを見るのではなく、両方の数字を確認するのがおすすめです。
たとえば、
修理費が15万円。
今の福祉車両の査定額が50万円。
この場合、
15万円をかけて乗り続けるのか、
50万円を次の車の購入資金に回すのか、
という比較ができます。
逆に査定額がそれほど高くなく、修理すればまだ何年も乗れそうなら、修理を選ぶ方が合理的な場合もあります。
数字が分からないまま悩むより、修理費と査定額を並べて考える方が判断しやすくなります。
一般の中古車店だけで決めない
福祉車両を売る場合、一般的な中古車買取店だけでなく、福祉車両を扱う業者にも査定してもらう価値があります。
一般の買取店では車本体の価値を中心に見ることがありますが、福祉車両を多く扱っている業者なら、福祉装置を含めて評価できる可能性があります。
特に、
- 車いすスロープ車
- 車いすリフト車
- サイドリフトアップシート車
- 助手席リフトアップシート車
などは、一般車とは異なる需要があります。
査定先によって金額に差が出る可能性があるため、1社だけで決めない方が安心です。
査定前に確認しておきたいもの
査定を受ける前に、次のような情報を整理しておくとスムーズです。
- 車検証
- 年式
- 走行距離
- 福祉装置の種類
- 故障箇所
- 修理・点検の記録
- 取扱説明書
- 福祉装置の付属品
特に福祉装置の説明書や付属品が残っている場合は、まとめておきましょう。
また、故障についても隠さず伝えた方がいいでしょう。
後から不具合が分かるより、最初から正確に伝えた方が査定も進みやすくなります。
買い替えでは「次の車」を先に考える
今の車を売ることばかり考えてしまいがちですが、福祉車両では次の車選びも重要です。
一般車なら、
「今の車を売ってから次を探す」
という方法もあります。
しかし福祉車両は、利用者に合う車がすぐ見つかるとは限りません。
そのため、
今の車を売却する前に、次の福祉車両の候補をある程度探しておく
方が安心です。
特に、
- 車いすの高さ
- 車いすの幅
- 車いすを含めた全長
- スロープ角度
- 車内高
- 固定方法
- 介助スペース
などは、必ず確認したいポイントです。
車いすが変わる可能性も考える
今の車いすが問題なく乗るからといって、次の車も同じ条件でいいとは限りません。
障害児の場合は成長によって車いすが大きくなることがあります。
大人の車いす利用者でも、身体状況の変化によって背もたれやヘッドレストが高くなることがあります。
そのため買い替えでは、
「今の車いすが入るか」だけでなく、「今後も使える余裕があるか」
まで考えたいところです。
車内高やスロープ角度に余裕がある車を選んでおけば、将来の車いす変更にも対応しやすくなります。
買い替えを急ぎすぎない
故障すると、
「もう早く買い替えたい」
という気持ちになります。
ただ、福祉車両は一般車よりも確認する項目が多く、焦って決めると後悔しやすい車でもあります。
特に、
- 車いすを実際に乗せていない
- スロープ角度を確認していない
- 頭上の高さを見ていない
- 介助者の立ち位置を確認していない
という状態で決めるのは避けたいところです。
可能であれば、実際に使用している車いすを持ち込み、乗降まで確認してから決めるのがおすすめです。
買い替えの基本的な流れ
福祉車両を買い替えるなら、次の順番で進めると分かりやすくなります。
- 今の車の修理見積もりを取る
- 現状のまま査定を取る
- 修理か買い替えかを判断する
- 次の福祉車両を探す
- 車いすを実際に乗せて確認する
- 購入する車を決める
- 今の車を売却する
特に重要なのは、今の車を先に手放さないことです。
次の福祉車両が決まる前に売却してしまうと、通院や外出に使う車がなくなる可能性があります。
査定額は「買い替えるかどうか」の判断材料になる
査定は、車を売ると決めてから受けるものではありません。
修理か買い替えか迷っている段階でも役立ちます。
今の福祉車両にまだ十分な価値が残っていれば、
「今売った方が次の車に資金を回せる」
という判断もできます。
逆に査定額が低く、修理費もそれほど高くないのであれば、そのまま乗り続けるという選択もあります。
査定額を知ることは、買い替えを決断するための材料を一つ増やすことでもあります。
まとめ|故障したら「修理」「査定」「次の車」を同時に考える
福祉車両が故障したからといって、すぐに修理する必要も、すぐに買い替える必要もありません。
まず確認したいのは、
- 修理費はいくらか
- 修理後あと何年乗れそうか
- 今の車にいくら価値が残っているか
- 次の福祉車両はいくら必要か
という4点です。
故障した福祉車両でも査定してもらうことはできます。
高額な修理をする前に、現在の査定額を確認しておけば、修理と買い替えを比較しやすくなります。
そして買い替える場合は、価格だけでなく、現在の車いすと利用者、介助者に本当に合う車を選ぶことが大切です。
福祉車両は単なる移動手段ではありません。
毎日の通院や外出、家族の負担にも直接かかわる車だからこそ、**「まだ走れるか」ではなく「これからも安心して使えるか」**を基準に判断したいところです。
福祉車両の故障・修理・維持費【全4回】
◀ 第3回|福祉車両は修理して乗る?買い替える?判断するポイント
これで「福祉車両の故障・修理・維持費【全4回】」は終了です。
最初から読み直す場合はこちら。

コメント