福祉車両の装置が動かなくなったとき、まず気になるのが「修理にいくらかかるのか」ではないでしょうか。
スロープや電動ウインチ、車いす固定装置などは、一般の車にはない装備です。
軽い調整や部品交換で済むこともあれば、装置本体の交換で10万円を超えるケースもあります。
今回は「福祉車両の故障・修理・維持費【全4回】」の第2回として、福祉装置の修理費と維持費について見ていきます。
※掲載している金額は、福祉車両を扱う整備工場などが公開している料金・修理事例をもとにした目安です。車種、故障箇所、部品代、作業内容によって実際の費用は大きく変わります。
福祉車両の修理費は故障箇所によって大きく違う
福祉車両の修理費で注意したいのは、同じ「スロープが動かない」「リフトが止まった」という症状でも、原因によって金額がまったく違うことです。
スイッチやセンサーの交換だけで済む場合もあれば、モーターや固定装置そのものを交換する場合もあります。
そのため、
症状=修理費
ではありません。
まず故障原因を特定し、部品代と工賃を含めた見積もりを取る必要があります。
福祉装置の修理費はどれくらい?
公開されている整備料金や修理事例を見ると、おおよそのイメージは次のようになります。
| 修理・点検箇所 | 公開されている費用例 |
|---|---|
| スロープの点検・修理 | 工賃3,000〜5,000円程度〜 |
| リフト・プラットホームの点検・修理 | 工賃8,000〜30,000円程度〜 |
| リフトアップシートの点検・修理 | 工賃5,000円程度〜 |
| リフトのセンサー交換 | 約3万円の修理事例あり |
| 車いす固定ベルト | 部品で1万円台〜3万円台の例 |
| 車いす固定装置本体 | 交換すると10万円を超える場合あり |
ただし、これはあくまで公開例です。
特に電動ウインチ、モーター、制御装置などは部品代によって修理総額が大きく変わります。
スロープの修理費
手動スロープなら、ヒンジやロック部分の調整、がたつきの修理など比較的軽い作業で済むことがあります。
実際に福祉車両を扱う整備工場では、スロープの点検・修理工賃を数千円から設定している例があります。
ただし、
- スロープ本体の変形
- ロック機構の破損
- 電動スロープのモーター故障
- センサーや配線の故障
まで進むと、部品交換が必要になります。
「スロープ修理は数千円で済む」という意味ではなく、軽い調整なら比較的安く済む可能性があると考えた方がいいでしょう。
電動ウインチの修理費
スロープ車で費用が気になりやすいのが電動ウインチです。
ウインチが動かなくても、原因はさまざまです。
- スイッチ
- 配線
- リレー
- センサー
- モーター
- ベルト
- ウインチ本体
スイッチや電気系統の修理だけなら比較的軽く済む可能性があります。
一方、モーターやウインチ本体の交換になると高額になることがあります。
電動ウインチの場合は、症状だけで修理費を予想するより、まず診断してもらう方が確実です。
車いす固定装置の修理費
車いす固定装置も、部品だけならそれほど高額ではない場合があります。
たとえば固定ベルトには、1万円台から3万円台程度で販売されている製品があります。
しかし問題は、固定装置本体が故障した場合です。
古い固定装置では修理部品が供給されておらず、本体交換が必要になることがあります。
実際に、固定装置本体の交換では10万円以上になるため、別の部品を流用して修理した事例もあります。
福祉車両では、故障そのものより「修理用部品がまだ手に入るか」が重要になることがあります。
車いす用リフトの修理費
リフトは構造が複雑なので、修理内容による費用差が大きい装置です。
整備工場が公開している料金では、点検や軽い修理が1万円前後から、リフト修理の工賃を3万円程度からとしている例があります。
また、リフトのセンサー交換で約3万円だった修理事例もあります。
ただし、
- モーター
- 油圧装置
- 制御装置
- プラットホーム
- センサー類
など、大きな部品の交換が必要になれば費用はさらに上がります。
リフト車は車いすごと持ち上げる装置だけに、不具合を感じた状態で使い続けるのは避けたいところです。
回転・昇降シートの修理費
回転シートやリフトアップシートも、故障箇所によって金額が変わります。
公開されている整備料金では、点検・軽修理の工賃が5,000円程度からという例があります。
ただし電動タイプでは、
- モーター
- スイッチ
- センサー
- 配線
- シートを動かす機構
などが故障する可能性があります。
単純な調整で済むのか、部品交換になるのかで修理費は大きく変わります。
福祉車両は「部品があるか」も重要
年式が古い福祉車両では、修理費だけでなく部品供給も確認したいポイントです。
車本体にはまだ乗れていても、福祉装置の修理部品が手に入りにくくなることがあります。
そうなると、
数千円の部品を交換すれば直る故障でも、その部品がないため装置一式を交換する
といったことも起こり得ます。
中古の福祉車両を長く乗るなら、走行距離だけでなく福祉装置の年数も無視できません。
福祉装置にも点検・維持費がかかる
福祉車両の維持費というと、車検、オイル、タイヤ、バッテリーなどを思い浮かべます。
しかし福祉車両では、それに加えて福祉装置の点検も考えておきたいところです。
整備工場の公開料金では、福祉装置の定期点検について、
- スロープ車:8,000円程度〜
- リフトアップシート車:5,000円程度〜
- リフト車:12,000〜15,000円程度〜
といった例があります。
毎回大きな費用がかかるわけではありませんが、一般車にはない維持費です。
一方で、固定ワイヤーの傷みやスロープのがたつきなどを早く見つければ、大きな故障を防げる可能性があります。
修理はどこに頼めばいい?
福祉車両だからといって、必ず購入したディーラーでしか修理できないわけではありません。
選択肢としては、
- メーカー系ディーラー
- 福祉車両専門店
- 福祉車両に対応した整備工場
などがあります。
重要なのは、故障している福祉装置を扱えるかどうかです。
一般整備には対応できても、リフトや車いす固定装置の修理には対応できない整備工場もあります。
電話で問い合わせるときは、
「福祉車両です」
だけではなく、
「車いす用電動ウインチが動かない」
「固定装置のワイヤーが戻らない」
など、装置と症状まで伝えた方が話が早く進みます。
修理費だけで判断しない方がいい場合もある
5万円の修理なら直す。
20万円なら買い替える。
そう簡単に決められないのが福祉車両です。
たとえば10万円かけて修理しても、
- 車自体の年式がかなり古い
- 走行距離が多い
- 別の福祉装置にも不具合が出始めている
- 次の車検で大きな整備費がかかりそう
- 今の車いすと車が合わなくなっている
という状態なら、さらに費用が続く可能性があります。
逆に、車自体の状態がよく、福祉装置の一部を直せばまだ何年も乗れそうなら、修理する価値は十分あります。
大切なのは、今回の修理費だけではなく、これから何年乗れるのかを含めて考えることです。
まとめ|見積もりを取ってから「直す価値」を考える
福祉車両の修理費は、故障箇所によって大きく変わります。
軽い調整なら数千円程度で済む場合がありますが、モーターや固定装置などの交換になれば10万円を超えることもあります。
さらに古い福祉車両では、部品供給の問題も出てきます。
故障したら、
修理費はいくらか
→ 部品はまだ供給されているか
→ 修理後あと何年乗れそうか
まで確認したいところです。
では、修理費が高くなったとき、どこまでなら直して乗るべきなのでしょうか。
次回は、**「福祉車両は修理して乗る?それとも買い替える?」**をテーマに、年式や走行距離、今後の故障リスクを含めた判断方法を考えます。
福祉車両の故障・修理・維持費【全4回】
◀ 第1回|福祉車両で故障しやすいところは?よくある故障と症状
修理費が分かったら、次に悩むのが「直して乗るか、それとも買い替えるか」です。

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