福祉車両は、普通の車と同じようにエンジンや足回りが故障するだけでなく、スロープや電動ウインチ、車いす固定装置など、福祉車両ならではの装備が故障することがあります。
しかも厄介なのは、車そのものは走れるのに、車いすでは乗れなくなるケースがあることです。
今回は「福祉車両の故障・修理・維持費【全4回】」の第1回として、福祉車両で起こりやすい故障と、その前兆について紹介します。
福祉車両は普通の車より故障しやすい?
「福祉車両だから故障しやすい」と単純には言えません。
エンジンやブレーキ、エアコンなど、車としての基本部分は一般車とほぼ同じです。
ただし福祉車両には、
- 電動ウインチ
- 車いす固定装置
- スロープ
- リフト
- 回転シート
- 昇降シート
- 電動スイッチやモーター
などの専用装備があります。
つまり、一般車にはない機械や電装品が追加されている分、故障する可能性のある場所も増えるということです。
特に年数が経った福祉車両では、車本体より先に福祉装置に不具合が出ることがあります。
電動ウインチの故障
スロープタイプの福祉車両では、車いすを車内へ引き上げる電動ウインチが重要な装備です。
故障すると、
- スイッチを押しても動かない
- 動いたり動かなかったりする
- 動きが極端に遅い
- 途中で止まる
- 異音がする
- ベルトが巻き取れない
といった症状が出ることがあります。
原因はウインチ本体だけとは限りません。
スイッチや配線、モーター、リレーなど電気系統の不具合や、バッテリーの電圧低下が影響する場合もあります。
車いす利用者にとってウインチが使えない状態は、単なる便利装備の故障ではありません。
車への乗り降りそのものができなくなる可能性があります。
違和感が出始めたら、完全に動かなくなる前に点検した方が安心です。
車いす固定装置の故障
車いすを車内に固定する装置も重要です。
車種によって方式は異なりますが、
- 固定ベルトが戻らない
- ロックされない
- 解除できない
- 固定しても緩む
- バックルやフックが破損する
といった不具合があります。
車いす固定装置は走行中の安全に直接かかわります。
「一応固定できているから大丈夫」と使い続けるのではなく、正常にロックできない場合は早めの修理が必要です。
スロープの故障
手動式スロープの場合、大きな電気系統の故障は少ないものの、
- スムーズに開かない
- 閉じにくい
- ロックしにくい
- ガタつく
- 異音がする
といった不具合が出ることがあります。
ヒンジやロック部分の摩耗、変形、汚れなどが原因になることもあります。
電動スロープの場合は、さらにモーターや配線、センサーなどの故障も考えられます。
毎日使う家庭では開閉回数も多いため、少しずつ動きが悪くなっていることに気づきにくい場合があります。
車いす用リフトの故障
リフト付き福祉車両では、リフトが動かなければ車いすで乗車できなくなります。
よくある症状としては、
- リフトが上がらない
- 下がらない
- 途中で停止する
- 動きが遅い
- スイッチが反応しない
- 異音や振動が出る
などがあります。
リフトは重量のある車いすと利用者を持ち上げる装置です。
動きがおかしい状態で無理に使用するのは避けた方がいいでしょう。
回転シート・昇降シートの故障
助手席や後部座席が回転したり、車外へせり出したりするタイプの福祉車両では、シート部分にも専用機構があります。
電動タイプでは、
- シートが動かない
- 途中で止まる
- 動きが遅い
- スイッチが反応しない
- 正しい位置まで戻らない
といった症状が出ることがあります。
こうした装置もモーターや配線、スイッチ、センサーなど複数の部品で構成されています。
完全に止まる前に、動作の遅さや異音として兆候が出る場合があります。
福祉装置のスイッチ・配線も故障する
福祉車両では、装置本体だけでなく電気系統のトラブルも珍しくありません。
たとえば、
- スイッチの接触不良
- 配線の断線
- コネクターの接触不良
- ヒューズ切れ
- モーターやリレーの不具合
などです。
「ウインチが壊れた」と思っても、実際にはスイッチや配線の修理だけで済むケースもあります。
そのため、症状だけで修理費を判断するのは難しいところです。
バッテリーの弱りが福祉装置に影響することもある
電動ウインチや電動シートなどを使用する福祉車両では、バッテリーの状態も重要です。
バッテリーが弱っていると、
- ウインチの動きが遅い
- 電動装置が途中で止まる
- スイッチの反応が悪い
といった症状が出ることがあります。
福祉装置が故障したと思ったら、実はバッテリーが原因だったということもあります。
特に短距離走行が多い車や、長期間乗らないことがある車は注意が必要です。
「走れるから大丈夫」とは限らない
福祉車両の故障で困るのは、エンジンが故障して車が止まるケースだけではありません。
たとえば、
車は普通に走れる。
でもスロープやウインチが動かず、車いすでは乗れない。
こうなると、実質的には福祉車両として使えません。
介助する家族にとっても大きな問題です。
福祉装置は毎日の移動に必要な設備だからこそ、小さな異常の段階で気づくことが大切です。
こんな症状が出たら点検を考えたい
次のような変化が出てきたら、一度点検を考えてもいいでしょう。
- 以前より動作が遅くなった
- 時々動かないことがある
- 異音がする
- スイッチの反応が悪い
- 固定装置がスムーズに動かない
- スロープの開閉が重くなった
- 途中で止まることがある
完全に故障してから修理するより、早い段階で原因を確認した方が対応しやすい場合があります。
特に通院や送迎などで毎日福祉車両を使っている家庭では、突然使えなくなると代わりの移動手段を確保するのも大変です。
まとめ|福祉車両は福祉装置の故障にも注意
福祉車両には一般車にはない装置が付いているため、故障する場所も増えます。
特に注意したいのは、
- 電動ウインチ
- 車いす固定装置
- スロープ
- リフト
- 回転・昇降シート
- スイッチや配線
などです。
福祉装置の場合、車そのものは走れていても、装置が使えないだけで車いす利用者が乗車できなくなることがあります。
そのため、普段から「動きが遅くなった」「音が変わった」といった小さな変化を見逃さないことが大切です。
福祉車両の故障・修理・維持費【全4回】
次回は、スロープや電動ウインチ、車いす固定装置などが故障した場合、実際にどのくらい修理費がかかるのかを見ていきます。

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