福祉車両を購入するとき、できるだけ利用したいのが補助金や税金の減免制度です。
ただし、「福祉車両なら購入費を補助してもらえる」とは限りません。
名古屋市の自動車改造補助金は、原則として身体障害者本人が所有し、本人が運転する自動車の改造費を支援する制度です。
家族が運転する車いすスロープ車の場合は、改造補助金ではなく、自動車税・軽自動車税の課税免除や消費税の非課税制度などが中心になります。
この記事では、2026年度に名古屋市で利用できる福祉車両関連の制度を、個人・家族向けに分かりやすく整理します。
※2026年7月12日時点の公式情報をもとにしています。申請前には、必ず担当窓口で最新情報を確認してください。
名古屋市で利用できる主な制度
| 制度 | 主な対象 | 支援内容 |
|---|---|---|
| 身体障害者自動車改造補助金 | 障害者本人が所有・運転する車 | 改造費を上限10万円まで支給 |
| 愛知県の自動車税減免 | 一定の障害者本人・家族等が使用する普通車 | 年税額4万5,000円を上限に減免 |
| 車いす移動車の構造による減免 | 車検証上の車体形状が車いす移動車等の普通車 | 条件を満たせば自動車税を全額減免 |
| 名古屋市の軽自動車税課税免除 | 一定の障害者が使用する軽自動車や構造車 | 軽自動車税を免除 |
| 福祉車両の消費税非課税 | 法令上の装置・構造要件を満たす車 | 車両代または改造費が非課税 |
| 有料道路の障害者割引 | 本人運転または重度障害者の介護運転 | 通常料金の半額 |
| 名古屋市ZEV購入補助金 | 対象となるEV・PHEV・FCV | 5万~60万円 |
重要なのは、補助金・税金の減免・高速道路割引は、それぞれ別の制度だということです。
車両の名義、運転する人、障害者手帳の種類・等級、車検証に記載された車体の形状によって、利用できる制度が変わります。
名古屋市の身体障害者自動車改造補助金
名古屋市では、身体障害者本人が自動車を運転するために必要な改造費の一部を支給しています。
対象となる改造
主に次のような改造が対象です。
- ハンドルの改造
- ブレーキやアクセルの改造
- 手動運転装置の取り付け
- 左足用アクセルなどの操作装置
- 運転席への乗降・着席を補助する装置
支給額は、改造費用のうち上限10万円です。
改造費が10万円を超える場合、超えた部分は自己負担になります。
対象者
主な対象要件は次のとおりです。
- 身体障害者手帳を所持している
- 障害者本人が自動車を所有する
- 障害者本人が自動車を運転する
- 就労等のために改造が必要である
- 本人の所得が特別障害者手当の所得制限以下である
「身体障害者手帳1種の人だけが対象」という制度ではありません。
一方で、知的障害者や精神障害者、家族が運転する車を対象にした購入補助金でもありません。
家族が運転するスロープ車は対象?
名古屋市の自動車改造補助金は、原則として本人所有・本人運転の自動車が対象です。
そのため、家族が運転し、車いす利用者が後部スロープから乗車するタイプの福祉車両は、この10万円補助の対象にならない可能性が高いです。
ただし、自動車税・軽自動車税の免除、消費税の非課税、高速道路料金の割引を利用できる場合があります。
必ず改造前に申請する
この制度でもっとも重要なのが、原則として改造前の申請が必要という点です。
販売店や改造業者へ正式に発注した後や、改造が完了した後では、助成対象にならない可能性があります。
車種や改造内容が決まった段階で、住所地を担当する区役所福祉課または支所区民福祉課へ相談してください。
普通車は愛知県の自動車税減免を確認
普通車や小型車などの登録車にかかる自動車税は、愛知県が担当します。
一定の障害者が所有・使用する自動車は、自動車税の減免を受けられる場合があります。
対象となる主なケース
- 障害者本人が所有し、本人が運転する
- 一定の重度障害者の通学・通院・通所・生業のため、家族が運転する
- 障害者だけで構成される世帯で、常時介護する人が運転する
車検証の所有者は、原則として障害者本人であることが必要です。
ローン購入で販売会社に所有権が残っている場合は、車検証の使用者が障害者本人であることが必要です。
未成年の重度身体障害者、知的障害者、精神障害者などについては、家族名義が認められる場合があります。
対象となる手帳・等級
自動車税の減免は、身体障害者手帳のほか、療育手帳・愛護手帳、精神障害者保健福祉手帳なども対象になる場合があります。
身体障害者手帳は障害部位と等級によって条件が異なり、本人運転と家族運転でも対象範囲が違います。
手帳の総合等級だけでなく、個別の障害等級で判定される場合があるため、契約前に県税事務所へ確認してください。
減免額
減免額は、原則として年税額4万5,000円が上限です。
自動車税が4万5,000円を超える車は、超過分を納めます。
古い車に対するグリーン化税制の重課がある場合は、上限額が異なることがあります。
申請期限に注意
新車や一時抹消された中古車は、原則として運輸支局で新規登録するときまでに申請します。
すでに所有している車については、原則として5月31日の納期限までです。
ナンバー付き中古車を年度途中に購入した場合、減免は翌年度からになることがあります。
公式情報:
愛知県|身体障害者等の自動車税減免
車いす移動車は構造による全額減免もある
愛知県には、障害者本人の手帳や車両名義による減免とは別に、車両の構造を基準とした減免制度があります。
次の条件を満たす普通車は、自動車税が全額免除される場合があります。
- 身体障害者の利用に供している
- 車検証の「車体の形状」が「車いす移動車」または「入浴車」になっている
一般的には、ナンバープレートの分類番号が8で始まる特種用途自動車です。
構造による減免では、所有者が障害者本人でなくても対象になる場合があり、リース車やレンタカーも対象になり得ます。
ただし、手帳による自動車税減免と、構造による減免を重複して受けることはできません。
公式情報:
愛知県|自動車税減免申請書(構造車用)
軽自動車は名古屋市の課税免除を確認
N-BOXスロープ、タントスローパー、スペーシア車いす移動車などの軽自動車には、名古屋市の軽自動車税がかかります。
次の車両は、課税免除の対象になる場合があります。
- 一定の障害者が所有し、使用する軽自動車
- 身体障害者等の利用に専ら供する構造の軽自動車
障害者本人の手帳による課税免除
身体障害者手帳、愛護手帳・療育手帳、精神障害者保健福祉手帳などを持ち、一定の要件を満たす人が所有・使用する軽自動車は、1人1台に限って課税免除になる場合があります。
車両の構造による課税免除
次のような軽自動車は、構造を理由に課税免除となる場合があります。
- 分類番号が8で始まり、車検証上の車体形状が車いす移動車等になっている車
- 分類番号が5で始まる車でも、後部座席を完全に取り払い、車いす用に構造変更した車
ここで注意したいのが、折りたたみ式の後部座席を残した軽スロープ車です。
名古屋市では、折りたたみ式等の後部座席を備えた車は「専ら身体障害者等の利用に供する構造」とは認められず、構造を理由とする課税免除の対象になりません。
ただし、利用者の手帳・等級・車両名義による課税免除に該当する可能性はあります。
課税免除の届出は年間を通して受け付けられており、オンラインまたは窓口で手続きできます。
公式情報:
名古屋市|軽自動車税の課税免除
2026年度から環境性能割は廃止
自動車税環境性能割と軽自動車税環境性能割は、2026年4月1日に廃止されました。
そのため、2026年度に購入・登録する自動車について、「環境性能割の障害者減免」を申請する必要はありません。
2025年度以前の記事には環境性能割の減免が掲載されていることがありますが、2026年度の購入には適用されません。
また、環境性能割の廃止に伴い、愛知県の「自動車税種別割」は「自動車税」に名称が変更されています。
公式情報:
愛知県|自動車税環境性能割・軽自動車税環境性能割の廃止
福祉車両の消費税は非課税になる場合がある
福祉車両なら、すべて消費税が非課税になるわけではありません。
国税庁が定める装置・構造要件を満たす車が対象です。
本人運転用の改造車
身体障害者本人が運転するため、次のような装置を備えた車は非課税になる場合があります。
- 手動運転装置
- 左足用アクセル
- 足踏式方向指示器
- 運転用改造座席
車いす移動車
車いす利用者を車いすに乗ったまま搬送できるよう、次の設備を備えた車が対象です。
- 車いす昇降装置またはスロープ
- 車いす固定装置などの安全設備
完成した福祉車両として購入する場合は、要件を満たせば車両代金全体が非課税になります。
一方、一般車を先に購入して、その後に福祉装置を取り付けた場合は、一般車の購入代金には消費税がかかり、改造費だけが非課税になるのが基本です。
装置や部品を単品で購入するだけでは、原則として非課税になりません。
公式情報:
国税庁|身体障害者用物品に該当する自動車
自動車重量税は一律免除ではない
障害者手帳を持っていることや、個人用の車いす移動車であることだけを理由に、自動車重量税が一律免除される制度ではありません。
自動車重量税は、新規登録や車検時に車両の重量、登録時期、燃費性能などによって決まります。
電気自動車や一定の低燃費車についてはエコカー減税が適用される場合がありますが、障害者向けの自動車税減免とは別の制度です。
重量税の金額は、購入予定の販売店または運輸支局へ確認してください。
高速道路料金の障害者割引
有料道路の障害者割引を事前申請すると、高速道路料金が通常料金の半額になります。
本人が運転する場合
身体障害者手帳を持つ本人が運転する場合が対象です。
家族などが運転する場合
身体障害者手帳または療育手帳を持ち、手帳の旅客鉄道株式会社旅客運賃減額が第1種に該当する重度障害者を乗せて、家族や介護者が運転する場合が対象です。
知人の車、レンタカー、代車、一定のタクシーなど、事前登録していない車でも割引を受けられる場合があります。
ただし、登録していない車では、ETCレーンをノンストップで通過して自動的に割引を受けることはできません。
ETCで割引を受ける場合は、車両・ETCカード・ETC車載器の事前登録が必要です。
公式情報:
有料道路における障害者割引制度
EV福祉車両なら名古屋市のZEV補助金も確認
福祉車両専用の制度ではありませんが、購入する車が対象となる電気自動車などであれば、名古屋市のゼロエミッション車購入補助金を利用できる可能性があります。
| 車種 | 補助額 |
|---|---|
| 電気自動車(EV) | 10万円 |
| プラグインハイブリッド車(PHEV) | 5万円 |
| 燃料電池自動車(FCV) | 60万円 |
対象となるのは、外部給電機能を備えた新車を購入する個人、または4年以上のリース契約をする個人です。
補助を受けるには、名古屋市の災害時電源協力車制度への登録など、複数の条件があります。
2026年度の申請受付期間は、2026年6月1日から2027年3月12日までです。
ただし、初度登録日によって提出期限が異なり、予算額に達した時点で受付終了となります。
公式情報:
名古屋市|2026年度ゼロエミッション車購入補助金
福祉車両を契約する前に確認すること
福祉車両の制度は、購入後では手続きできないものがあります。
契約前に次の順番で確認しましょう。
- 本人が運転するのか、家族や介護者が運転するのか
- 普通車か軽自動車か
- 車検証上の車体形状が車いす移動車になるのか
- 車両の所有者・使用者は誰になるのか
- 障害者手帳の種類、等級、第1種・第2種
- 改造費と車両本体価格が見積書で分かれているか
- 補助金や税金の申請期限に間に合うか
特に、名古屋市の自動車改造補助金は改造前の申請が原則です。
販売店から「納車後でも大丈夫だと思います」と言われても、正式発注前に区役所へ確認してください。
まとめ
2026年度の名古屋市で福祉車両を購入する場合、まず覚えておきたいのは次の3点です。
- 名古屋市の自動車改造補助金は、原則として本人所有・本人運転の車が対象で、上限10万円
- 家族が運転するスロープ車は、自動車税・軽自動車税・消費税の制度を中心に確認する
- 2026年4月1日から環境性能割は廃止された
同じ車種でも、座席の残し方や車検証の区分、車両名義によって、税金の扱いが変わります。
福祉車両は車両価格だけで判断せず、補助金、税金、消費税、高速道路割引まで含めて総額を比較しましょう。
そして、車を契約する前に、区役所の障害福祉担当、県税事務所、市税事務所へ確認することが、制度を確実に利用する一番の近道です。

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